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「そんなこと言ったら、その役目は僕が担うしかないじゃないか」
「いや、待てよ!」
「大丈夫。別に嫌なわけじゃない、ちょっと淋しいな、なんてぐらいの話だ」
「誰かが、やらなきゃダメなのか? だったら俺が――」
「いや、僕だ。これは、僕の役目だ」
そう言い切る奴に、俺は何も言い返すことができなかった。
「そんな顔するなよ、また、どこかの世界で会おう」
「その、どこかの世界、では俺は、俺達は、お前のことを知らないんだろ」
「さぁ、どうだろうね。世界というのは気まぐれだ、何が起こるかは分からない」
「そうやってお前はまた、はぐらかすようなことを」
「ははは、悪いな。腐ろうが神になろうが、癖は抜けないよ」
「約束だ」
「ん?」
「今度お前が俺達と会ったら、その時は――」
「約束はできない」
「最後まで言わせろ」
「僕だって覚えてられるか定かじゃないんだ、何とも言えないよ」
「それでもいいから、黙って聞け」
俺は息を吸った。埃っぽさを纏った空気だった。
「俺達とお前がまた会ったら、その時は、また仲間になろう」
俺の言葉に驚いたのか、それとも納得がいったのか、奴はふっと笑い、
「分かったよ」と言った。