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亭主様と恋の種  作者: まるあ
第一章 種は勘違いの末に
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亭主様は、常にプラス志向です。1

今回も読んでくだだってありがとうございます!



リウヴェル視点のお話です(^_^)

 

 白地に金の刺繍を刺した花嫁衣装で立つココット嬢を見て、その可憐さに―――俺は再び恋に落ちた。



 今、祭壇の前にはこの挙式を進めるべく、白一色を纏った神官殿が、嫌に長ったらしい祝詞を読み上げている。

 隣には、緊張の為か、青ざめて俯くココット嬢。

 緊張を解すべく彼女に向かって微笑むと、同じく淡い頬笑みを返してくれる。


 ココット嬢に見惚れていると、不意にしゃがれた爺の声が聞こえてきた。


 

 「……誓いますか? 」



 聞こえてるかね?とでも言わんばかりの表情で、白い神官服に白ひげ、白髪の神官殿が問いかけている。


 そんな事、聞かれなくても即答だ。

 俺は一生彼女を幸せにすると―――…


 「―――誓う」




 ―――ああ、俺はやっと彼女を手に入れた。




 初めて会った時から気になり、ずっと店に通った。

 通い続けている内に、彼女の筋肉親父に俺の心を見透かされ、彼女と話したくば条件を聞けとばかりに無理難題を吹っ掛けられた。



 あれには困った。 

 人間、向き不向きがあるというものだ。

 だが、俺はかなりの努力をしてそれをなした。



 ……条件?



 そんなものが気になるのか?

 それでは教えよう。



 ”俺は軟弱男が嫌いだっ!!ココットと話したくば、俺の大皿料理を一人で毎日完食せぇぇっ!!”


 

 その言葉に俺は、正直な所「おととい来やがれっ!この軟弱野郎がっ!!」と言われた気がした。


 母親に似たからか、体系は優男そのものだが、体力には自信がある。

 ―――『体力』には。

 ……あの店の料理は、絶妙な味加減でとても美味い。だが、量が問題だ。

 人の頭二つ分が入りそうな皿に、大盛りに料理がのっているのだ。俺の胃袋では正直ムリだ。

 だが、ここで尻尾を巻いて帰っては男が廃る。

 売られたケンカは買う、とばかりに闘志を燃やし、その日から無理難題に挑んだ。



 ―――結局、その日は半分以上残して、勝負は俺の完敗に終わった……。




 毎日毎日通い続け、大皿料理を食べ続けたお陰で、俺の胃袋は大きくなったようだ。



 最初の勝負から半年負け続けた頃だ、ココット嬢に言い寄っている逆三角の体系の男を見かけた。

 そいつは、毎日ここの大皿料理を平らげる事の出来るつわものだ。

 ……ダメだ、このままでは彼女があの筋肉ダルマにっ!!



 今までの努力を無駄にしてなるものかと、吐く寸前まで手と口を動かし続けた。


 その結果――――、


 

 ―――とうとう俺は、筋肉親父の勝負に初めて勝つ事が出来た。




 あの時の事は、死んでも忘れないだろう。

 初めてココット嬢が俺に話しかけてくれたんだ!

 「頑張りましたねっ!!」と眩しいほどの笑みを浮かべてっ!!


 その日から毎日、彼女と話すことだけを目当てに、大皿料理を平らげ続けた。

 そして一週間前、彼女にプロポーズと同時に結婚宣誓書にサインをしてもらい、筋肉親父に認められた。



 

 ……ああ、いかん。

 思い出に浸かり過ぎていたようだ。

 どうやら彼女の宣誓の番のようだ。



 ―――むっ?



 神官殿と見つめ合っているのはなぜだ?

 いくら神官でも、男だ!

 爺でも、……男だっ!!

 あまり見つめ合わないでくれ。


 

 ココット嬢を見つめていると、彼女が後ろの親族席に視線を移した。

 後ろからは彼女の家族達が「幸せになれよぉ~~っ!」と泣き叫んでいる。

 彼女は家族との別れを惜しんだのか、少し涙目になりながら、口を開いた。



 「…………チカイマス」



 その言葉を聞いた瞬間、俺の心は一気に浮上した。

 この建物の遥か上空にある雲の上まで昇る勢いだ。

 天にまで逝ってしまいそうだ。



 ……だが、俺の浮上した心は、次に彼女が発する言葉によって急降下する事になった。



 「私、あなたの名前を知りませんが、どちら様ですか……? 」



 その瞬間、俺の天まで昇ろうとしていた心は急降下し、地上に衝突する勢いで落ちだした。



 ……あまりに衝撃的すぎて、俺の身体から魂が抜け出ていたようだ。

 気付けば、俺の店である『うさぎ亭』の従業員兼、師匠であるマルスが俺の肩を叩きながら、苦笑いをしている。



 ―――そうだな。

 笑うしかあるまい。 

 だが俺は、笑えない。

 彼女が俺の名前を知らないから、悲しくて笑えないのではない。

 


 思いっきり大きいため息が出ると同時に、彼女の顔が見れないと思い、手で額と瞳を覆った。

 しかし、指の隙間から覗いた彼女は、何故か頬を紅潮しながらこちらを見ていた。

 瞳を潤ませながら頬を赤くしたその様は、あまりに可愛すぎて、己の犯した彼女に対しての所業に恥入った。



 ズルズルと崩れ落ちる膝に顔を埋め込み、背後から聞こえるマルスの声が、更に俺を恥のどん底に突き落とした。



 あり得ない事だ。

 絶対にあり得ない。


 ―――あまりに浮かれ過ぎて、名前を名乗り忘れるなどっっ!!!!



 






 

 

 

 


 

 

 



 

 

今回のお話……、食べることと筋肉な話ですね(^_^;)


少し長くなったので、分割して投稿します。明日には、この続きを投稿する予定です☆

気になる部分で切ってしまってスミマセン(>_<)



さてさて、今回は『筋肉オジサン』の名前がサラリと出てきましたが、マルス=筋肉オジサンと理解できた方は居ましたでしょうか?


……マルスは何の師匠なの?


そう考えた方もいると思いますが、それは後々……。


実はマルスの名前にはとある意味を含めています。


それはっ!


『筋肉』ですっ(ー△ー)!!

筋肉はフランス語でmuscle(マッスル)→マルスル→マルス……^^;



ホント、しょうもない理由でスミマセン。

コレに懲りずに、次回も読んでいただけると嬉しいです(^v^)



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