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精神科で起きた、止められなかった事故

作者: 神谷透
掲載日:2026/04/03

そのときは、

ただの口論だと思った。



男性患者のみの閉鎖病棟。



外に出るには制限があり、

必ずスタッフが同伴する。



逃げ場は、なかった。



病室は多床室。



二人、もしくはそれ以上。



プライバシーは、ほとんどない。



以前から、

患者同士のトラブルは続いていた。



相性の問題だった。



どうしようもないほど、

近すぎる距離。



ある日。



古株の患者がいる部屋に、

新しい患者が入ってきた。



スタッフが同伴し、

簡単な挨拶を交わす。



形式的なやり取りだった。



その後、

スタッフは部屋を離れた。



いつも通りの流れ。



問題は、ないはずだった。



——一時間も経たないうちに、


それは起きた。



突然の怒鳴り声。



激しい口論。



そして、



不自然な静寂。



看護師が駆けつける。



一人は、

その場に立ち尽くしていた。



動かない。



視線だけが、宙を見ている。



もう一人は、


床に横たわっていた。



動かない。



呼吸もない。



首の後ろに、

わずかな出血。



それだけだった。



主治医を呼ぶ。



その場で、死亡が確認された。




結論は、簡単だった。



患者同士の争いによる事故。




加害者となった患者は、

普段は穏やかだった。



低姿勢で、


よく笑う人だった。



危険な印象はなかった。



理由を聞いた。



「話をしていて、腹が立った」



「突き飛ばしただけ」



「自分は悪くない」



そう言った。




あのとき、


止めることはできたのか。



考えることがある。



だが、


答えは出ない。




壊れる瞬間は、


予測できない。




そして、


取り返しもつかない。






最後まで読んでいただきありがとうございます。


この出来事を通して強く感じたのは、

「壊れる瞬間は予測できない」ということでした。


ほんの小さなきっかけでも、

取り返しのつかない結果につながることがある。


その積み重ねの中に、

人間関係の難しさがあるのだと思います。


こうした出来事の背景や考え方については、

X「こころの余白」で発信しています。


▶ https://x.com/yohakumaind/

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