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出来損ないと呼ばれ追放された魔王の子供は国を創造し王となる  作者: aosakishinnosuke


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防衛

朝日は昇らなかった。


代わりに空に広がるのは、

黒い六角形の格子。


都市全域が覆われる。


鐘が鳴る。


侵攻警報。


「虚無領域、都市完全封鎖」


通りが静まる。


だがパニックは起きない。


この都市は――

戦いを経験している。



広場に展開される白い紋様。


アークのクリエイトを基盤にした

市民共有術式。


兵士だけではない。


職人が装置を組み、

子供が伝令を走り、

商人が補給を運ぶ。


街そのものが武器になる。


黒い虚無兵が降り立つ。


触れた建物が削れる。


市民術師が叫ぶ。


「履歴共有、展開!」


白光が広がる。


建物が復元され、

消失が止まる。


兵士たちが突撃。


「押し返せ!!」




鍛冶区画。


巨大な創造炉が稼働する。


職人長が怒鳴る。


「次の波来るぞ!」


炉から吐き出されるのは

履歴固定武装。


削除されない武器。


兵士が受け取り、突撃する。


虚無兵を貫く。


今回は再生しない。


「通るぞ!!」


士気が爆発する。




都市中央。


ゼルが単独で立つ。


黒い巨兵が降りる。


高層建築サイズ。


ゼルが吐く。


「でけぇな」


巨兵が腕を振るう。


都市が消えかける。


ゼルが掌を振る。


「断界」


巨兵の攻撃と都市の繋がりが切れる。


衝撃が“存在しなかったこと”になる。


ゼルが跳ぶ。


巨兵の胸へ拳を叩き込む。


構造がほどける。


巨兵が崩壊する。


市民から歓声が上がる。



空の格子が収束する。


最終侵食。


都市全域が消されようとする。


アークが中央塔へ登る。


深呼吸。


両手を空へ。


「クリエイト――《都市同期》」


白光が街路を走る。


家。橋。人。記憶。


すべてが一つの存在として結ばれる。


都市が“個体”になる。


虚無が削ろうとする。


削れない。


都市そのものが再生する。


市民が理解する。


「俺たちが街だ……!」


叫びが共鳴する。


白光が増幅する。



虚無の中枢が空に現れる。


都市を消すための最終構造。


ゼルが笑う。


「兄上、準備は?」


アークが頷く。


「都市全体、同期完了!」


ゼルが中枢へ跳ぶ。


市民の意識が彼を押す。


アークが叫ぶ。


「今だ!」


ゼルの拳に都市の光が宿る。


「これが――俺たちの街だ!!」


一撃。


中枢が砕ける。


黒い格子が崩れる。


空が戻る。


光が降る。


終戦 ― 静かな勝利


誰も消えていない。


都市は立っている。


市民が笑い、泣き、抱き合う。


ゼルが着地する。


「……総出は反則だろ」


アークが笑う。


「それが都市だ」


二人は街を見る。


これはもう、

守られるだけの場所じゃない。


共に戦う存在だ。

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