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出来損ないと呼ばれ追放された魔王の子供は国を創造し王となる  作者: aosakishinnosuke


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侵攻

都市リベルタ

その日それは起きた


世界が裏返る


夜空が、音もなく反転した。


星が消え、

代わりに黒い海が広がる。


都市リベルタ全域が、

虚無領域へ引きずり込まれた。


人々の悲鳴が止まる。

音が届かない。


世界そのものが「外側」に置かれた。


アークが息を飲む。


「都市ごと持っていかれた……」


ゼルが空を睨む。


「観測じゃねぇ。捕食だ」


黒い海から、

巨大な構造体が降りてくる。


都市よりも大きい。

幾何学的な“虚無の中枢”。


「創造因子・断界因子――排除対象」


声ではない。

思考へ直接叩き込まれる命令。




中枢から無数の光線が走る。


建物が消える。

道路が消える。


アークが叫ぶ。


「都市を固定する!」


両手を広げる。


「クリエイト――《存在係留》!」


白い紋様が都市全体に走る。

建物と記憶と時間を“錨”で縫い止める。


消失が止まる。


だがアークの膝が揺れる。


「範囲が広すぎる……!」


ゼルが前へ出る。


「なら俺が中枢を止める」


「単独は危険だ!」


ゼルが笑う。


「だから共闘だろ?」




ゼルが跳ぶ。


虚無の光線が降る。


彼は掌を振るう。


「《断界》」


空間が裂け、

光線との“繋がり”を断つ。


攻撃が途中で消える。


ゼルは中枢の表面へ到達するが――


触れた瞬間、腕が削れる。


「ぐっ……!」


存在がほどける。


アークが即座に叫ぶ。


「繋ぐ!」


白光が伸び、

ゼルの履歴を再接続。


腕が戻る。


ゼルが息を吐く。


「いい連携だな」


「落ちるなよ」


「落ちねぇよ」



中枢が脈動する。


表面が変質し、

ゼルの断界を“回避”する構造へ進化。


ゼルの一撃が滑る。


「学習しやがった……!」


次の瞬間、

虚無の触手がゼルを包む。


動きが止まる。


「断界因子、拘束完了」


アークの視界が冷える。


「ゼル!」


彼は都市固定を維持したまま、

もう一つの術式を重ねる。


「クリエイト――《概念補強》!」


ゼルの周囲に白い構造が現れる。


断界の定義を上書きする。


ゼルの目が光る。


「おお……来たな」


彼は触手に手を当てる。


「切断」


虚無の拘束がほどける。



ゼルが中枢の核へ踏み込む。


そこには“存在の否定”が渦巻いていた。


触れれば都市ごと消える。


アークが叫ぶ。


「同時に行くぞ!」


ゼルが頷く。


「せーのは嫌いだ」


「合わせろ!」


二人が動く。


ゼルが核を固定する。


「断界――停止!」


虚無の運動が一瞬止まる。


その隙にアークが手を伸ばす。


「創造――再定義!」


核へ白光が流れ込む。


虚無が暴れる。


「存在……拒否……!」


ゼルが吠える。


「ここは俺たちの世界だ!」


彼の断界がさらに深く食い込む。


アークが最後の力を注ぐ。


「帰れ!!」



光と黒がぶつかる。


都市全体が揺れる。


人々の記憶がきらめく。


笑い声。

涙。

日常。


それが白光へ重なる。


虚無が押し返される。


「……理解不能……」


黒い海が崩れる。


中枢が砕け、

裂け目が閉じる。


空が戻る。


音が帰る。


世界が息をする。




ゼルが着地する。


膝が笑う。


「……ギリギリだな」


アークも座り込む。


「都市は無事だ」


二人は空を見る。


黒はない。


ゼルが笑う。


「共闘、悪くねぇ」


アークも笑う。


「最初からこうすればよかったな」


「いや、遠回りが必要だった」


兄弟は立ち上がる。


都市の灯りが戻る。


戦いは終わった。


だが――


世界はもう、

二人で守るものになっていた。

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