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出来損ないと呼ばれ追放された魔王の子供は国を創造し王となる  作者: 蒼崎しんのすけ


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17/19

未知

朝。


ノアは目を覚ました瞬間、違和感に気づく。


未来が見えない。


一本も。


可能性の流れが、完全に消えている。


「……ない」


イリスが即座に反応する。


「全観測層、沈黙」


都市全体が“未定義”になっている。


未来が存在しない世界。


アークが低く言う。


「そんなことが……」


ゼルが拳を握る。


「来てるな」


空が裂ける。


だが何も出てこない。


“何もない”が降りてくる。


視界が歪む。


存在の輪郭が曖昧になる。


ノアが震える。


「みえない……いない……でも、いる」


それは形を持たない。


音も影もない。


ただ“確定の拒絶”。


街の一角が揺らぐ。


建物が消えかける――戻る。


存在が“決まらない”。


イリスが呟く。


「観測外存在……」


ゼルが斬りかかる。


手応えゼロ。


攻撃は“なかったこと”になる。


アークの創造も定着しない。


世界のルールが通じない。


ノアとイリスが同時に観測を試みる。


空白。


未来の座標がない。


ノアの声が震える。


「つかめない……!」


イリスも沈黙。


「定義不能……」


空白が広がる。


都市の色が薄れる。


人々の存在がにじむ。


ゼルが叫ぶ。


「このままじゃ街が消える!」


ノアが膝をつく。


未来が見えない恐怖。


その時、アークの声。


「ノア、見るな」


彼女が顔を上げる。


「……え?」


「観測できないなら、

今を固定しろ」


ゼルが笑う。


「感じろってことだ」


イリスの瞳が揺れる。


「観測放棄……?」


ノアは深呼吸する。


未来ではなく、


風。

地面。

鼓動。


今を掴む。


「ここに、ある」


ノアが空白に手を伸ばす。


「あなた、ここ」


名前を与える。


存在を“定義”する。


イリスが理解する。


「観測ではない……命名」


彼女も続く。


「存在識別:外来未定義体」


空白が揺れる。


初めて輪郭が生まれる。


ゼルが踏み込む。


「今なら当たる!」


断界が命中。


アークが空間を固定。


空白が崩れる。


音のない衝撃。


存在がほどける。


消滅ではない。


世界の外へ押し戻される。


都市に色が戻る。


未来の流れが再開する。


ノアが息を吐く。


「……いた」


イリスが静かに言う。


「観測不能でも、

定義は可能」


アークが頷く。


「世界は、決めることで存在する」


ゼルが笑う。


「難しい話は任せた」


空は静かだ。


だが全員が理解している。


観測の外にも――

敵はいる。


ノアが空を見る。


「また、くる」


イリスが答える。


「その時も、定義する」


未来は流れる。


まだ未知を含んだまま。

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