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制約  作者: クロコ
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制約

名前は、雪凪。僕の住んでる場所は、人口800人程度の小さな島

産まれた時から、肌色や髪が白っぽい体質でわかりやすく例えると、

世間では、(アルビノ)と呼ばれる症状に近いのかもしれない。

幼い日より、周囲の軽蔑した目にさらされ、周りからの扱いもひどかった。

周りの目が怖くて仕方がなかった。


幼稚園の頃なんて、ほとんど外に出てない日々が続いていた。

人って言う生き物は悲しいけど、自分と異なる見た目してると苛めや迫害の対象に陥りやすい。

僕の場合は、さらに性格も内気で、陽キャからすれば、いじめ害のある人物って印象が強かったのかもしれない。


そんな僕にも自分の事を庇ってくれる幼馴染みの女の子がいた。

その子は、僕がいじめられる度にすごい血相をして、怒ってくれていたんだ。

だから、この頃から僕は、その女の子にどれだけ心を救われたのかわからない。


高校生なった今だって、一人河川敷で落ち込んでいると、その子が来て、

「また落ち込んでる~。私は好きだよ。雪凪のこと。

 どんなにしんどくても私の前では笑顔を見せてくれるその強さが!

 それに見た目が異なるだけで偏見が生まれるのはこの島くらいだよ。きっと」

その子は祐菜。本当に僕の事を心配してくれる唯一心許せる友達なんだ。


雪凪「ありがとう。きっと祐菜がいなかったら、僕はもう…。」

祐菜「そんな眼の光が消えた顔しないの。

   大丈夫これからもずっと雪凪には私がいるから…ね?」


そう言いながら、落ち込んでいる僕の頬を両手つまみ 無邪気な笑顔を見せる。

そんなわずかなひと時でも、僕にとって心安らぐ時間に他ならない。

祐菜と2人で話していると、

「そんな白い一反木綿みたいなやつといたら、お前も白くなるぞ~。」


僕に敵意を向け、普段から虐めてくる取り巻き達が祐菜に向かって叫ぶ。

その取り巻き達の後ろから、やってくるのが同世代の神原直哉。

そして、その取り巻き達が続けて


「お前も白くなるってそれもはや感染じゃねぇか(笑) マジウケるんだけど~ それ!!」

取り巻き達が心無い言葉を浴びせる中、神原は黙ってこっちを見ていた。


 「でも、本島や海外では、こいつのよく似た症状をアルビノっていうみたいで

 一昔前 特に海外ではいけない扱い方をされていた見たいっすね。」

そして、その取り巻きが神原に耳打ちでその真実を話す。


神原「へぇー。おもしれぇじゃん!! っつっても、こいつとそれは関係ないねぇ。

   俺は、こいつの性根が嫌いだからね。」

そういうと取り巻き達大声で笑う。


祐菜「なに?あなた達って暇なの?ほかにすることないわけ?」

 

いつものように僕を守ろうと神原に反抗すると、取り巻き達に

「いつも私は正しいんですってこの感じが本当に腹が立つんだよ。

 そんな正義感を振りまきたいなら一人でやってろ!」

そう言って、取り巻きに殴られてしまった。


それを見た僕は…

生まれて初めて怒りを感じ神原達に手を上げるも、力の差には勝てず、ボロボロになってしまった。


祐菜「ごめん。私が勝手にあの子たちに余計なことを言ったから…」

雪凪「守れなくてごめん。もう僕にかかわっちゃダメだ。

   僕にかかわっても祐菜を守れない。君を傷つけるだけ…。」

   それに、僕と会うたび、親にも怒られてるでしょ?知ってるんだ。だからもう…」

そう言って振り向かず、僕はその河川敷を後にした。


僕は気づいていたんだ。高校生になる前からずっと。


昔から、正義感が強くて、周りの生徒だけじゃなく、大人からも扱いが違っていた僕を影で

支えてくれていた。そのせいで祐菜自身も周りから苛めにあっていた。


苛めの対象を庇えば 庇った側も苛めの対象になる。 

悲しいけど…それも現実に起こっていたんだ。

自分1人でも苛められる。 自分のせいで苛められるそんな日々がずっと続いて、

そして今日、大切に思っていた祐菜すら守ることができなかった。

その事実に気持ちが壊れそうになった時、 僕は決まって、村の唯一の神社に行く。


そうして、今日は特に気持ちが壊れかけていた僕は、1人の負の念に駆られていると、

1人の白い女の子が目の前に現れた。


その女の子は僕に語りかけてきた。

「私は、この神社の守り神。君がこの村に生を受けてずっと見てきました。

 よくここまで頑張りましたね。なにより、今日初めて誰かを守ろうと自然に体が動いていた。」


目の前にいたその女の子はいつの間にか僕の隣に そしてそのまましゃべり続ける。


「これまで、何度も君はここにきては、自分を責めていたけれど…。

 今日は誰かのために動き、そのうえで自分の事を拒んでいる。君が悪いわけではないのに。

だから、1度だけ 君の世界を変えてあげよう。

ただし、次、自分の意思でこの神社に願いを込めた場合、その時は対価をもらう。」


そういって、周囲が白い光に包まれ、気が付くと自分の家の寝室だった。

僕は、{夢?}と思いながら、普段通り学校にいくと、今まで挨拶してこなかったクラスメイトが

当たり前に挨拶僕にしてくる。

先生すらも僕の顔を見て、笑顔で挨拶をしてくれる。

その状況に困惑し、休み時間トイレに行って鏡で自分を写し見るが、見た目が変わったわけじゃない。

純粋に周りが僕に対する態度だけが変わっていた 神原とその取り巻きを除いては…。


その日、今まで味わったことのないくらい過ごしやすい1日を過ごすことができた。

放課後、神原と取り巻きに呼ばれた僕は指定の場所に向かう。


「来ましたよ、神原さん一反木綿ですよ。」

神原「今日は、今までにないくらい笑顔見せてたじゃねぇの。

   昨日女一人守れなかった奴が何笑ってんだよ。きもいんだよ。」


そういうといきなり僕は殴られた。ただ、昨日の今日だからか僕は初めて叫んだ。


雪凪「なんで! いつもいつも僕だけがこんな思いしなきゃいけないの!

   何が僕にそんなに不満なんだよ。僕が君たちに何をしたんだ?

   見た目がみんな違うからって何がいけないんだ。殴られる筋合いも

   暴言を浴びせられる筋合いもないんだよ!! ふざけるなよ。」


僕の心の叫びを聞いた取り巻き達が黙れと言わんばかりに殴りかかろうとして来た時。


{バン!ボコッ!ドカッ!}


「神原さん なんで?」


神原「こいつは俺の餌なんだわ。勝手に手を出そうとすんじゃねぇ! ボケがっ」

そう…取り巻き達を止めたのは神原自身だった。


神原「気に食わねぇ! やっぱりお前の性根が気に食わねぇ!

   なんで今までその声を周りに上げねぇ。なんで周りが変わった今になって、を上げたんだ。」

僕は神原が何に怒ってるか見当がつかなかった。


神原「お前が言ったとおりだ。見た目だけでって思うなら今までなんで

   自分からそう言わなかった!? 周りが変わったから自分が変わるのか?」

   違うだろうが…。周りが変わる変わらない関係なく、お前自身がもっと早く自分から

   状況に立ち向かっていれば、もっと早くから変われたんじゃねぇのかよ。」

神原の言葉はなぜか僕の心に重くのしかかってきた。

たしかに周りが僕に対する目が他とは違うかった。

周りと自分は違うそう判断していたのは、他ならぬ自分自身だった。

神原「俺は、お前の見た目で気に食わなかったわけじゃねぇ。

  小学の時はまだ作り笑いだけでも頑張ってたお前がいつしかそれすらもなくなった。

  お前自身が立ち向かうことを諦めた。それがムカついてたんだわ。」


{バン!ボコッ!ドカッ!}


そう言いながら殴る。

神原「いじめられたくなかったら、周りが変わるからじゃなくて、てめぇが変わってみろや。」

そう言葉を残すと、取り巻き立を連れて、帰っていった。


僕は、殴られた場所から少しの間動けなかった。

それは、神原の言葉の意味が気になったからに他ならない。

ただ、その【意味】は後に理解することになる その時の僕には知る余地もなかった。


神原に殴られてからも、取り巻き達からのいじめは受けていたものの、

学校生活は、それ過ごしやすいものになり、気が付くとあっという間に卒業する日がやってきた。


俺は、卒業後、島を出て、本島で就職することに

ただ、両親も心配していたため、父の知り合いの就職先を紹介してもらい、

しっかり、自分の力で面接し、就職が決まった。


祐菜「雪凪は就職?」

雪凪「うん。父の知り合いの会社に新卒の面接を受けたら内定もらったからそっちで。」

祐菜「じゃぁ 私も就職しよ~っと。」

雪凪「進路ってそんな簡単にきめていいものだっけ。」

祐菜「そんなひきつった顔しなくても…。

   今決めたわけじゃないよ。私も内定決まったから。本島で。

   雪凪の会社って○○ってところだよね。私はその取引先みたい。」

そう進路について、話していると 前から神原がやってきた。


神原「お前みたいなやつが本島?この島ですら人の目が怖いっつって怯えてたやつが

   やり遂げれるのかね~。」

嫌味っぽく言い放つ言葉に祐菜が反応する。

祐菜「あんたには関係ないでしょ?なんでそんなに雪凪にかかわるのよ。」

その言葉に神原の表情が変わる。

神原「誰がてめぇと喋ってるっつたよ。黙ってろ!バカ女。」

その言葉に今まで以上にイラっとした顔を表に出す祐菜をよそ眼に、真剣な表情で話し始めた。

  おい。前に言ったこと覚えてるか!?お前が変わらなければ何も変わらない。」

  忘れんじゃねぇぞ。あと、これ!一応渡しておく。」

そう言って渡されたのは番号の書かれた紙。


雪凪「電話番号?」

神原「どうせ会うこともねぇ。ただ、お前を見てきたのは俺だからな。

   そのうちなんかの役に立つかもしれねぇ。いらなきゃ捨てろ。それだけだ。」

そう言うと、神原は明後日のほうへ去って行き。 その姿を見て、笑う祐菜。


祐菜「最後の最後まで不器用なんだから。」小さく呟く。

雪凪「ん? どういうこと?」

祐菜「あの人が一番雪凪をいじめてた。

   でも、一番君の事を気にしていたのもあの人なんだよ…。

   どこかやるせない気持ちになるだろうけど」

そして、これまでのすべてを祐菜の口から明かされた。


僕がにめられていたら、見てない所でそいつらに反論をしていたこと。

中学の時からは容姿の事で虐めてた子たちは神原が怒り狂って殴っていたこと。

そして高校からは、他のやつには直接的にいじめをさせず、一部の自分が御しきれる取り巻きを除いては

に自分が先頭に立って僕を虐めていたこと。


祐菜「だから、あの人が一番君を見ていたってのは本当だと思う。

   現に私の事を叩いたとき、夜家まで来て頭を下げてきたから。

   自分が私を殴ったわけでもないのに…。だから、あの人自身が完全悪ではないのかなって。

   その時、そう思ったんだ。」

今まで知らなかった一面に僕は驚きの表情を隠せなかった。

だからこそ、神原に手渡された電話番号を容易に捨てることができなくなっていた。


その後、僕と祐菜は本州へと渡った。その時に神原は島に残って働くことを

両親から聞いた。しまが小さいからこそ、ささいな情報でも回ってくるのだ。


その後、本島で社会人として働きだした僕は、

すぐ神原が言っていたことを理解することとなる。

会社自身は理解の上で雇ってくれているから、上層部も会社の人たちもむしろ

優しいくらいに僕の事を迎え入れてくれた。


ただ、その場所以外の生活では、買い物を行くにしても、近隣との関係も

精神的にしんどくなるほどの周りの目の痛さを覚えたんだ。

だから、いつしか僕は会社と家の往復が基本で、買い出しは人目の少ない夜中にするようになっていた。

仕事はしっかり業務を覚えてできることも増えていった。

だけど、社外への対応で僕が出ることで取引先との関係値がよくない状況になり、

一部の会社 祐菜が窓口になっている会社以外は、いつしか社外対応はなくなっていた。


そんなこともあり、疲弊していると見覚えのない番号から着信が入った。

それは神原だった。

神原「いきなりかけて悪いな。切るなよ。電話番号はお前の親父さんに聞いたんだ。」

雪凪「なにかご用ですか?」

神原「そうなるよな。でも、そろそろお前がしんどくなるころじゃねぇかって思ってよ。

   俺がお前をいじめていた元凶だから、俺に言われてもかえってしんどくなるのは

   わかってるけど、聞いてくれ。」


神原「卒業式を終えたときに言った言葉覚えてるよな。

   島と違って本島は人口バカ多いだろ?だからこそお前に向ける差別の目も多い。

   だけどお前直接助けてくれるやつもいねぇんだ。だから、バカ女に頼ったり、

   頼れる奴には頼って、お前自身が変われるきっかけにしろ!

   自分から頼りにいけ。そしたらよ。きっと楽今よりは楽になる。」

その言葉になぜか僕は自然と涙がでた。何も今の状況なんて見えてないはずなのに...。

的確に僕のほしかった手を伸ばしてくれたそんな気がしたんだ。


雪凪「あ…ありがとう。でも、どうしてそんなに僕を…?」

神原「深い意味はねぇよ。お前に言ったろ?俺が嫌いなのはお前の性格。つまり性根だ

   でも、今はあの時と違って、削れても自分で前に歩んでんじゃねぇか。

   なら、お前の今までを知ってるからこそ、助け船くらいは出さねぇとな。」

その言葉に刹那の言った[完全悪じゃない]って言葉も

神原の言った周りが変わるからじゃなくて、てめぇがわかってみろ]その言葉の意味も全てが一致した


雪凪「直哉ありがとう…。そういう意味だったんだね。祐菜が言ってたみたいに不器用すぎでしょ?」

直哉「いきなり名前で呼ぶんじゃねぇよ。それに何の変化か知らねぇけど

   俺がお前にしてきた罪は消えるわけじゃねぇんだ…。

   そんな距離感ちじめてくるんじゃねぇ。馬鹿が…。」

心なしかうれしそうな声になる直哉。そういうと一方的に電話がきれた。


その後、俺は、祐菜に今の心境をすべて話した。

祐菜「もっと早く頼ってほしかったな~そのために私は君と一緒にこっちに来たんだから」

そう言って、祐菜とともに暮すことになり、そんな中で僕は祐菜への気持ちに気づき

いつしか僕たちは友達同士のルームシェアから恋人の同棲へと心境は変わっていた。


そして、一緒に住み始めて、祐菜が時折、出張と言って家を空ける日が定期的にあることに気づく…そんなある日 祐菜が倒れて病院へ運ばれた…。


僕は祐菜の会社の人から知らせを受け、すぐ病院へ

雪凪「祐菜 大丈夫?」

慌てた勢いで、病室の扉を開けると、そこには眠っている祐菜と

先生・看護師の姿があった。

担当医「今は落ち着いているよ。君が雪凪くんでいいのかな?」

僕は黙ってうなづいた。

そのまま別室へ担当医に連れられて、祐菜の現状を知ることになる。


担当医「落ち着いて聞いてくださいね。祐菜さんは癌です。それも君と同棲をするずっと前から」

雪凪「えっ! 嘘…ですよね。 嘘って言ってください…。

   だって僕の前ではずっと笑って元気でしたよ…?」

担当医「あなたの前では、いいえ、あなたには心配をかけたくないから

    強めの痛み止めを部分的に飲んで絶えていたのでしょう…。

    時々本人から処方してほしいと頼まれてましたから…。」

雪凪「なんで…なんで僕に何にも言ってくれないんだよ…祐菜。どうして…」

少しの間沈黙が続く。

担当医「全部伝えましょう。」

そして、主治医の口からすべてを聞かされた。


・祐菜の癌は血筋的に多い傾向がある事実

・定期的に出張って言っていた日がすべて、治療だったこと

・祐菜の残りの時間がもうそんなに残っていないこと 


そして、


主治医「君に言わなかったのは、彼女の言葉を借りるとするなら…

    君がこれまでつらい思いをしていただから、これ以上心配かけたくないんです。

    でも、最後は私死んじゃうんで泣かせるのは確定なんですけど…ね(笑)

    その涙だけにしたいんです。そう言ってました。」

そう話していると看護師から目を覚ましたことを知らされ、2人で病室に戻る。


その後、診察と薬の投与を行い、安定してることを確認すると

担当医「すいません。あとはお二人でお話下さい。」

そう言って主治医は病室を後にした。


祐菜「ごめんね。もう少し持つかなって。もう少し一緒に居れるかなって思ったんだけど…。

   だめみたい…だね。」

祐菜は大粒の涙を流しながら、僕に抱き着く。


祐菜「ごめんね…いまだけ全部外に出させて...。

   死にたくないよ…雪凪とまだまだ一緒にいたい。雪凪と結婚したいよ…。

   ずっと好きだった人の傍にやっといれるようになったのに…。神様ひどいよ…。」

僕の胸で泣きながら、思いをすべてさらけ出す。

その気持ちに答えるかのように僕は祐菜を強く抱きしめる。


雪凪「僕も祐菜を失いたくないよ。こんな見た目の僕をずっと支えてくれてる君を祐菜を

   これからも2人で幸せに過ごしたい…。もうだめなの? 助かる見込み…。」

祐菜「ずっと諦めてないし、今もあきらめたわけじゃないけど…ダメみたい。」

   だから最後は私たちの生まれ育った島で過ごしたいな。」

抱きしめていると体力的に限界が来たのか。祐菜は眠りについた。


その後も色々と僕なりに調べたものの、祐菜を助ける術が見つからず、

その間にも祐菜の病気の進行は進み、追い詰められていた僕は直哉に連絡をした。


直哉「お前から連絡ってことは…嫌な予感がよぎんだけど…どうした?」

俺は今の状況と祐菜の症状について全て話した…。

直哉「もし、神様ってのが居るなら、嫌われすぎだろ?前世なんかしたんじゃねぇの?ただ…」

雪凪「ただ…?」

直哉「迷信の域は出ねぇけど、俺らの島の神社には対価天秤の神ってのが祭られていて

   願いの重さに対して神が共感した時、対価を払えば同質のの願いが叶うって言い伝えが

   あるらしいんだわ。」

その時、僕の脳裏には高校時代のあの白い少女が脳裏のよみがえる。


「次、自分の意思でこの神社に願いを込めた場合、その時は対価をもらう。」

その言葉を思い出す。


直哉「おーい!聞いてんのか? 神頼みってのは何の確証もねぇけど、

   答えが決まってんなら最後の最後かけてみるのはアリなんじゃねぇか?」

雪凪「ありがとう…。そうだね。明後日には島に戻るから、一度行ってみるよ。」

そしてその日の夜、僕は夢をみた。


「久しぶりだね。君の力で世界は変えれたみたいだね。」

目の前にはあの時、神社で見た女の子がいた。


「はっきり伝えるよ。君の求めてる結果にできるけど…対価命をもらうよ。

 君にとってあの子を助けたいってのは私欲だからね。

 そのことを踏まえて 会いに来るといい。その覚悟があるならね。」


そう言って目が覚めた。ただ、それがただの夢じゃないことはすぐに理解できた。

そして、その日は、祐菜の処理のため、病院へ。すべての処理を済ませると先生が病室へきて、

僕ら2人に対し

主治医「病は気から、あきらめなければ回復する見込みもゼロじゃない。

私はわずかなたとえ0%に近い可能性であっても信じているよ。

君たちの結婚式には、私にも声をかけてくれ。」

その言葉に笑みがこぼれた。


祐菜「久しぶりの家だね。そんな悲しそうな顔しないでよ。

   泣くのは最後だけにしてね。私もまだあきらめてないんだから。」

その笑顔に僕は迷っていた。


それは贅沢な悩みだということは分かってるんだ

・このままだと祐菜は助からない。

・あの神社に願えば祐菜は助かるけど、きっと僕が助からない。

正直僕が助からないことはいいんだ。祐菜がいなければ、

僕はこんなにも笑うことはできてなかったと思うから。

ただ、結局僕たちはどの結果を選んでも、これ以上共に過ごす未来はない。


だから祐菜の笑顔を見ながら、僕は何度も謝った。

{君は絶対に助ける。それが僕にできる君への恩返し。

ただ、君との未来を約束できないことをどうか許してね。}

その日の夜は、2人で最後の時間をかみしめ合うように過ごした。


-翌日-


舟で島に戻り、すぐさま祐菜の実家に挨拶をして、僕は神社へ向かった。

その道中、直哉が僕の事を待っていた。

卒業以来、電話でこそ声は聴いていたけど、会うのは初めてだった。

僕は軽く挨拶をしようとすると

直哉「挨拶なんざどうでもいい。バカ女時間がないんだろ?最後の神頼みだ。行くぞ。」

雪凪「えっ!きっと来ないほうがいい。気持ちはありがたいけど、僕一人で行くよ。」

直哉「一緒に行かせろ。一人より今は俺なんかでもいるほうが心の足しにはなるだろ?」

その言葉に初めて直哉に対して、口角が上がった。


神社の鳥居をくぐるとあの子はそこにいた。そして、直哉にもその子の存在は見えている様子だった。

「覚悟 そして 君の答えは決まったみたいだね。本当にそれでいいのかい?」

直哉「だれだあの子供?」

「君も理解はしているのだろう? あの子を助ける対価は命だ。

  そして、その対価を払って、あの子が助かったとしても、

君たち2人が思い描く未来はない。」

 その言葉に対し、僕は笑顔で頷く。

「やはり君は優しい子だ。そして覚悟も見た。では対価をいただこう…。」

そういった瞬間 直哉が叫ぶ。


直哉「ちょっと待てよ。話の内容であんたが子の神社に使える神だっつうのは理解した

   対価と天秤の神社。そして内容をあんたが受理したこともなら、

   その対価が命ってんなら、俺でもいいんじゃねぇのか?」

雪凪「何を言ってるんだよ。そんなのダメだ。これは俺と神様との話なんだ。」

直哉「てめぇは黙ってろ。俺が今喋ってんだ。」

強い怒気とともに僕の言葉を遮る。

直哉「対価は命なんだろ?お前乗って指定はされてねぇんなら、俺だって問題ねぇはずだ。」

「その理由を述べよ。さすれば受理せんでもない。」

女の子の口調が僕と話すときとは違うものへと変わった。


直哉「俺はこいつをずっといじめてきた主犯格だ。言葉だけじゃねぇ。

   こいつに幾度も暴力の雨を浴びせた。卒業してからちょっとでもこいつに償いできる方法は

   ねぇかって探してたんだ。」

雪凪「でも、それは君なりの不器用なりのメッセージだったじゃないか。

   確かに当時はただただ、虐めてくるだけのやつだって思ってた。でも今は…。」

直哉「それじゃ、前提条件があったら人を傷つけたこともなかったことになるのか?」

その投げかけられた質問に僕は返す言葉を見つけることはできなかった。


直哉「今となってはあのバカ女みたいな方法だってあるじゃねぇか。

  つまり、どんな前提条件があってもお前に振るった暴力の罪は消えたりしねぇ。これが俺の理由。」


「このものに対する罪の清算。認めよう。」


雪凪「ちょっと待ってよ…そんなのダメだよ。だってこれは僕と君との話じゃないか。」

これ以上、僕が話すと進まなくなることを察したのか言葉を遮るように直哉が叫ぶ。


直哉「早くやれよ。バカ女には時間がねぇんだ。」

そういうとその女の子が直哉の体内に入り、直哉は崩れ落ちた。

「君のいじめっ子が君を救うための行動にしっかり向き合ってあげるといいよ。最後の言葉なのだから」

喋り口調が僕の時はやら可くなる。どうやら、第三者本来この場に認められてないものには

口調が変わるみたいだ


直哉「せつ…な。やっと心が救われたわ。けどよ…ごめんな。いたかったよな。

   つらかったよな…。お前は俺が悲しませた分 ばか…女としあわせになれ…。」

雪菜「嘘だよね 直哉ダメだよ。なおや...。」

どれだけの時間がたったかわからないくらい僕はその場で涙を流した。


ここで僕は初めて知ったんだ。自己都合で無理に得ようとする行為には必ず、

それ相応の対価が必要だということを…それがあるから制約となるのだと。



今回は【制約】をテーマを表に裏にいくつものサブテーマを組み込んでみました。

そのサブタイトルが何かは読んでご理解いただけたかと思います。

ただ読んで楽しむだけではなくサブテーマがわかることでが別の楽しみ方への昇華する。

そんな楽しみ方を短編でできる。そんなつっくり方を意識してみました。


ツッコみたい点はぜひコメント欄でよろしくお願いいたします。


現在連載中の【至福の時間】含め、様々なタイトルで書いていきますので

どうぞ、よろしくお願いいたします。



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