第4話:最初の謁見
いよいよ犬飼が異世界へ!!!
クラフター主人公に待ち受けるのは、どんな世界なのか?
俺たちは、すべてを受け入れるために三十分の猶予を与えられた。他のクラスメイトたちは、「どうするか」とか「今後の計画」みたいなことを話し合っていたけど、俺はスキルを使えるか試していた。やり方なんて知らないから、異世界転生の小説で読んだことを適当に真似してみただけ。けど、インターフェースも出てこないし、何も感じなかったし、使うべき言葉も分からない。──要するに、全部無駄だった。
しばらくして、兵士たちが階段の下から現れた。二列に並び、その真ん中を通るようにと示した。中央には、やけに豪華な鎧を着た男が立っていて、彼が俺たちを先導するようだった。皆は緊張した面持ちで、明らかに怖がっていたが、先頭に立ったのはタカハシだった。どうやら自然とリーダーになったらしい。
階段を登ると、まず目に飛び込んできたのは光源だった。もっと素朴な灯りを想像していたが、そこにあったのは強く光る結晶──まるで自然の蛍光灯。俺は触ってみたかったが、観光気分は許されなかったらしく、誰一人として足を止めることなく進み続けた。当然、俺だけが浮いてしまいそうだった。
俺たちは長い廊下を進んでいた。壁は暗い色の木材でできており、床には絨毯が敷かれていた。数メートルごとに装飾や絵画が飾られていた。絵には狩りの場面が描かれており、ドラゴンも存在するらしい。王族と思われる人物の肖像画もあった。途中、大きな窓から見えた庭園は広大で、木々に囲まれた生け垣の迷路まであった。でも、立ち止まることは許されなかった。
数分歩いた後、巨大な扉の前に辿り着いた。三列に整列するように指示され、しばらく待機。やがて司令官が中に入っていった。
あらためて数を確認すると、三十人全員が揃っていた。誰も欠けていないって、すごいな。──いや、たぶん召喚の力で全員が強制的に引き寄せられたんだろう。教室にいなかった連中までいるし、そう考える方が自然だ。
司令官が戻ってきて、扉が開いた。俺たちは中に入るよう促された。
中には強烈な圧力があった。周囲には多数の人々──貴族らしき人物たちが立っており、その服装はどこかヴィクトリア時代を思わせる。彼らは俺たちをじろじろと見つめ、まるで展示物のように扱っていた。緊張した空気の中、俺たちは互いに顔を見合わせながら進んでいった。
その先には、三つの王座があった。そこに座る人物たちは一目で王族だと分かった。
中央の男は三十代前半といったところか。厚手の王衣を身にまとい、鋭い目つきでこちらを睨んでいた。まさに「王」と呼ぶにふさわしい威圧感だ。
その隣には、軽めの衣装を着た女性。長い編み込みの髪と控えめな王冠を付けていた。きっと彼女が女王だろう。
そして最後に、子供。古風な礼服を着ており、年齢は十歳にも満たない。姿勢だけは立派だが、明らかに無理しているのが分かる。真面目な顔でこちらを睨んでくるのが妙にイラッとした。──殴りたくなる。
司令官がひざまずいた。俺たちもそれに倣った。……まあ、この雰囲気じゃ、逆らう気にはなれなかった。
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