表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/14

第11章:初めてのクラフト職習得、変わり者の師匠、そして夢への一歩

クラフト職の第一歩を踏み出した犬飼。しかし、それは風変わりな錬金術師との出会いでもあった…。

「バナナ、食べな……」

とても熟れたバナナを渡された。そういえば、まだ何も食べていなかった。俺は皮をむいて一口かじる。


「お茶はないし、まさか誰かが来るなんて思ってなかったし……ましてや子どもなんてね。そうそう、私はアリラ(アリラ)、錬金術の先生よ。見ればわかるでしょ?」

アリラは両手を広げた。どうリアクションすればいいのか分からない。というか、その露出多めのトップス……本当に錬金術師か?


「犬飼 陽輝」と名乗った。「錬金術師になりたいんだけど」

この女、絶対に話が脱線するタイプだ。先に要点を伝えよう。


アリラは俺に近づき、顔をじっと見て、アホみたいな笑みを浮かべて言った。

「超適応の匂いがする」


「俺、匂うの?」バナナをかじりながら聞いた。



「名前と目が物語ってるよ、坊や。でもそれは悪いことじゃない。普通、レベル50から一人前って感じだけど、私はレベル60の錬金術師。違いが分かるでしょ?」

そう言いながら、アリラはポーションを取り出して俺に渡した。


「これが私の最高傑作……」

渡された瓶は丸くて可愛らしく、緑がかった典型的な回復薬だった。


「……君ならすぐにこれ以上のものを作れるわ。唯一の障害はお金。先生として授業はしてあげるけど、その点は理解しておいてね」

アリラは腰をかがめて、座っている俺の目線に合わせてきた。


「超適応って経験値のブーストもあるの?」と俺。


「全部が良くなるの。つまり、私が何年もかけて積み上げたものを、君は数か月で超えてしまう。だからビジネスパートナーとして考えてるの。とはいえ、それが君の足かせにもなるかもしれない。だって、誰が自分より上の人に許可出すと思う?」

そう言って彼女は続けた。

「別名を考えな。君の名前は目立ちすぎる」


「……目も?」


「気づいてないかもしれないけど、青いでしょ? 超適応は変異も含むの。目に出るのよ、青くなるってね」

そう言ってアリラは小さな箱を取り出し、俺に手渡した。


「カラコン。これを使って、他のクラスを受ける時はね」


「え? なんで他のクラスを取るってわかったの?」


アリラは笑った。


「クラスは繋がってるの。私が教えられるのはレベル30まで。そこから先は、他のクラスで必要な素材を作るために必要になるのよ」


その説明を聞いて、俺の頭に**『Conflict Fantasy』**の記憶がよみがえった。みんな、うまくやってるだろうか……


その後、アリラは自分の時計を俺のにかざした。変な音がして、俺のインターフェースが更新された。「錬金術」という新しいメニューが現れ、開くとレシピが表示され、タブには『1-10』と書かれていた。当然ながら、作れるのはそのレベルのレシピだけだ。


さらに、アリラはモルターとアランビックを渡してくれた。


「フレンドに追加して。そうすれば材料を送れるから。インベントリに物をしまえる?」と聞かれた。


俺はうなずきながらアランビックを手に取り、それをインベントリに入れようとした。ただ、触って『入れたい』と念じるだけでよかった。理屈は単純だ。でも、自分の物じゃないものは入れられない——なぜ知っているかは、聞かないでくれ……


アリラは俺をフレンドに追加してきた。すぐに「こんにちは!」というメッセージが届き、中にはいくつかのハーブが入っていた。


「それを取り出して、モルターに入れて」


言われた通りにすると、それらは光に変わった。


「モルターを使って……」指示に従って光を“すり潰す”と、インターフェースに現れたゲージが満タンになった。


「HPポーション作成完了、品質:ノーマル」


ノーマル……


「ねえ、犬飼。なんか尻尾が動いてるように見えるんだけど」


「君もかよっ!」


この世界で作った最初のアイテム。おじいちゃん、俺、夢に一歩近づいたよ……商売を始める、そのための第一歩。



犬飼はついに憧れの職業を手に入れた。だが、その夢を揺るがすものが現れる。


次回、いよいよ第一章スタート!


【ようこそ、新たな現実へ、犬飼さん】


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ