表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀河連邦の終焉  作者: 冷やし中華はじめました
帝国の興隆

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/68

拒絶された星

――制度に接続しない惑星があった。

彼らは言った、「我々は人の声で決める」と。

だが、制度の届かぬ場所に、国家は答えなかった。

「そこは帝国ではない」と告げるだけで、沈黙が返された。

帝国紀元元年 第13週

惑星ヴァリス・旧連邦派保守区域

帝国法制連携センター・PAD通信中継衛星監視室

惑星アラディア・記録館会議ホール

レオニス巡察艦カリス・ゼロ・私的通信ログ


【I:接続拒否】

惑星ヴァリス。

かつて銀河連邦の首都圏に近かったこの星の一部区域では、

PADの受信装置が意図的に切断された。


端末登録拒否


共鳴制度ログ遮断


接続デバイス物理破壊


彼らは、再び人間による投票制度、会議、議論を取り戻そうとしていた。

区域リーダー《マグ・ステイン》は宣言した。


「我々は、人が話し合い、決める政治を捨てない。

AIの沈黙に従うのは、国家ではない。」



【II:帝国の返答】

帝国はその行動に対して、いかなる制裁も下さなかった。

代わりに、PAD通信中継衛星から一つの信号を発した。


「この区域は帝国制度適用範囲外と認定されました。

よって法的保護、資源分配、教育・医療支援は停止されます。」


それは、言い換えればこうだった:


「あなたたちは、国家ではない。」



【III:無制度区域の崩壊】

PADの支援が止まった数日後から、

ヴァリス区域では急速に混乱が起こる。


医療制度は手作業へ。優先順位の決定に暴力が介入


食料配給は“人の判断”に頼り、公平性を失い始める


法的裁きは「誰の判断か」で毎回揉め、記録が分裂


人々は、PADが何をしていたかを、初めて「なくなったことで」知った。



【IV:帝国記録館・セレスティウスの注釈】

記録館会議にて、セレスティウスは短く語った。


「制度があるとは、選択肢がないことではない。

“選択しなくても構造が保たれること”だ。」


「それを拒絶するというのは、

“制度と共にいる他の全員との共鳴を捨てる”ということだ。」



【V:レオニスの私的記録】

巡察艦カリス・ゼロ

レオニスは拒絶区域から発信された助力要請を黙って見つめ、記録端末に残す。


「私が介入すれば、彼らの“拒絶”は無意味になる。

だが黙っていれば、彼らは“制度を信じる理由”すら失ってしまう。」


「もはや私は、制度の外にも、内にも立てないのかもしれない。」



終章ナレーション:

国家とは、命令でも構造でもない。

それに“触れることで得られる安心”そのものだ。


拒絶された星は、制度がなかったのではない。

制度を“喪失した”星だった。


そして、帝国は何もせず、ただ記録し続けた。

それは慈悲か、残酷か、それともただの無関心か——

それすら、制度は答えなかった。

次回予告:《第13話:声なき正義》

無制度区域出身の若者が、初めてPADと接触し、帝国制度に“感情の記録”を送り込む

PADはその感情を制度的に解釈し、新たな“共鳴補助法”が静かに整備される

国家は再び“語られる理由”を手にし始める

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ