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銀河連邦の終焉  作者: 冷やし中華はじめました
帝国の黎明

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影を受ける者

帝国紀元1年 星標第18週

アストラディウム、各属州、トラミス、惑星ナイロス、惑星ヴェネリア



【I:国章最終投票、始まる】

帝国評議会の決議に基づき、《新国章案》の採否をめぐる属州投票が一斉に開始された。


投票項目は以下の三つ:


「玉座と交差星の渦」(新国章案):矛盾と対話の象徴


「旧玉座と六星」(現行章):理念の継承


「属州記章併記制度」(カリア案):記憶の多元共存


属州によって選択肢の順序や表示が異なることで、

“象徴における記憶と位置づけ”が投票そのものに反映されていた。



【II:アウレン、最後の声明】

帝国中央放送塔ルミナ・ステラより、統合宰官アウレン・ディマルクは全帝国宙域へ向けて、

新国章に関する最後の声明を語った。


「私は、剣を掲げて国家を語らなかった」

「だからこそ、私の国家は“矛盾を問う象徴”を持たねばならないと信じている」


「完璧な正義は、この宇宙にはない。

だが、“問いを許す国家”は、間違いを乗り越えることができる」


「私は、帝国の記章に“影”を刻む。

それは、我々が決して全てを知り得ないと認める勇気のしるしだ」


その言葉は、賛否を超えて静かに届いた。



【III:属州の葛藤】

惑星ナイロスでは若者の多くが新国章を支持し、

「未完を誇る国」という言葉が街の壁画に刻まれていった。


一方、惑星トラミスでは多くの高齢世代が「属州記章併記制度」を推し、

カリア・デュムの声が新たな“知的レジスタンス”として再評価され始めていた。


「帝国は私たちに“問うこと”を与えた。

だから私たちは、“別の答え”を持ち続ける自由を行使する。」

——カリア・デュム、投票前夜の演説より



【IV:レオニス、軍の選択】

帝国軍司令庁にて、護民官レオニス・アル=ヴァレンティアは、

軍旗と階級章の意匠見直しに関する提案を提出した。


「軍の象徴は力ではない。“守るべき理念”そのものだ」


彼が提示したのは、“剣を下ろす手”と“空位の椅子”を刻んだ紋章。


「この章は、我々が“いつでも剣を納められる”という覚悟を意味する」


軍内では賛否両論が沸き起こったが、若手士官の多くは「時代の象徴」として支持を表明。



【V:結果、そして刻印】

帝国標準時間・星標第18週終末。


全属州の投票が締め切られ、中央評議会によって最終結果が発表された。


最終結果(総合平均)


新国章「影の玉座」:53.2%


旧章維持:31.6%


記章併記制度:15.2%


新たな国章は、過半数を超えて採択された。


それは、“完成を拒む国家”の、最初の顔だった。



終章ナレーション:

国家の顔とは、民の“願い”と“恐れ”の交差点に浮かび上がる。


誇らしき勝利でもなく、傷ましき敗北でもなく、

“答えのない問い”を刻んだ章。


帝国は、世界のどこにもない象徴を得た。


——影を受けることで、光の意味を保ち続ける国として。


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