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ガラスのかけら
1年生の夏の号に載せた作品
胸の洞窟の奥に
深い深い青い
水晶のすきとおった水が
乾くことなくあふれることなく
たまっている
その奥底に沈んで
けっして浮かび上がることのない
ガラスのかけら
それは宝石ではなく
ただ運命という名の
忘れなさいと人は言った
受け入れなさいと人は言った
努力しなさいと人は言った
あきらめなさいと人は言った
けれど
手をさしのべても
涙を流しても
何も何一つ変わらなかった
ただ人の想いが
風となってすぎていった
晴れることのない薄闇の洞窟の
青く深い水晶の水底
けっして浮かび上がることなく
けっして溶けることのない
小さく光るガラスのかけら
それはただ運命という名の