前へ目次 次へ PR 2/10 くも くも 額田河合 まっさおなそらを しろいくもがひとつ よこぎっていったよ だれもみていない グラウンドではみんなボールをおいかけているし 教室ではみんな黒板を必死で写している 会社員は急な電話に追われ 母親は夕飯の献立に悩んで 若者は恋人の肩を抱いている だあれもみていない きれいでもないおもしろくもない ちょっとへんなかたち わっしだけがみていた だれにもきがつかれることなく ただいちどきり こんなにうつくしい蒼穹を おともなくとおりすぎる まっしろでふあふあのくも わっしだけがみていた いつまでもみていた なみだもながさず めをとじてみていた ああ わっしみたいだなあ とおもって