3.久しぶりの再会
「ここに来るのも久しぶりですね」
天使さんのとこの守護者の間からゲートで移動してきた私とメグ。
「メグは忍びの里に拠点持ってるもんね」
「先輩もどこか所属したほうがよくないですか?最近は特に物騒ですし」
「ん-……」
とある理由から私はギルドに所属していない。
二年前、私は所謂攻略組のメンバーだった。
そのころの私はギルドに所属していたし、私のギルドは攻略チームの攻略作戦に全員皆勤賞だった。
そんな私のギルドの長は他のギルドメンバーからも、攻略チームの面々からも慕われていたんだと思う。
この世界で私が一番信頼を置き、師匠と言える人だ。
このゲームからログアウト出来なくなった日から一か月ほどが経つと攻略組なるチームが出来始める。
攻略組発足から二年、最初こそ何チームかあったそれも一チームに統合されていた。
もう一年近く攻略チームメンバーは死亡者を出すことがなくなっていた。
稀に慢心する者も居た。
そんな時は私の師匠や、師匠の様に注意を促してくれる人が何人か居てくれた。
そんな攻略組一行、ラストダンジョン手前のIDで事件は起こった。
そこそこの余裕を保ちながら今回もダンジョンボスを倒す。
私含め大半のプレイヤーはハイタッチを交わしたり、今後の話などで盛り上がっていた。
今でも夢に見る、横目に見た師匠の険しい顔を。
いつも出るボスを倒した後のStage Clearの文字が中々出なかった。
それでも皆特に気にすることなく談笑に浸っていた。
そんな次の瞬間……
巨大な地響きと共に地面や壁、更には天井から30体ほどのモンスターが現れた。
よく見ると今までに倒してきたダンジョンボスのようだった。
この数、おそらく一体一体はかなり弱体化されている。
しかし皆完全に不意を突かれた。武器を納刀している者まで居た。
パニックに陥る。
そんな中冷静だった師匠。
彼のおかげでなんとか死亡者を出さず切り抜けていく。
残すところあと数体となった時、私が担当していたモンスターが突如見たことのない詠唱を始める。
私は、詠唱を止め数秒スタンさせるバトルスキル:詠唱破壊を使用し剣に付与させ止めに行く。
しかし剣が敵に触れる事は無かった。
謎の空間の壁に阻まれ、敵モンスターの詠唱が完了する。
その瞬間戦闘フィールドに衝撃波のような物が飛び、戦闘中の全プレイヤーの体を突き抜ける。
するとその場のプレイヤーのMPが全損する。
MPを消費しないプレイヤーの動きなんてたかが知れているが、私はとりあえず距離を取ろうと後ろへ跳ぶ。
そこへ別のボスモンスターが追撃してきた。
本来モンスター同士が連携することなんてありえない。
目の前の敵は魔剣を構えて突っ込んでくる。
後ろの魔法タイプの敵は今度は破壊魔法を詠唱している。
目の前の敵の攻撃すらさばけるビジョンが見えないのに、これは……死んだかな。
目の前の敵に人影が被る。
私は目を丸くする。
師匠だ。
師匠は刀を構え敵に突進、近接タイプの敵ともども、後ろの魔法使いタイプの敵を串刺しにする。
しかし敵の詠唱が止まることはなかった。
詠唱が完了し爆発のような光が膨れ上がる。
師匠は顔だけをこちらへ向けると、
「今度はお前が助けにこい」
そう言った気がする。
そして師匠のHPはゼロになった。
その場は仲間の助けもありなんとか切り抜けたが、一年ぶりの犠牲が師匠になるなんて私含めて誰も想像だにしていなかった。
この世界で死亡者は結晶となり、世界の天上の世界へ連れていかれる。
連れていかれた先はどうなっているのかは分からない。
天上の世界というのは今のところ確認されておらず、試せるあらゆる手段を用いて世界の天井に触れてみようとしたが触れる事すら叶わなかった。
今でこそあの時のことを掘り返されることはない。
でもあの攻略の直後、私は同ギルドメンバーや攻略チームの他のメンバーに責められた。
陰口をたたく者、直接言う者。そして私自身もあの時の行動がなにか一つでも違っていたら……と自分を責めた。
そして攻略チームは最後のIDの最深部、最後のダンジョンボスの間へ到達した。
師匠の様な指揮官の居なくなったチームは、チームというにはあまりにバラバラすぎた。
各々同じギルド同士でサポートしあったり、ペアでパーティを組みサポートしあったり。
私のギルドメンバーはまだ私を一応の戦力と認めていてくれていたおかげか、私をパーティに加え庇いあいながら戦闘する。
しかしやはり冷静な指揮官と統率の取れなくなった攻略組は目の前の人型エネミーに苦戦を強いられる。
なんとか突破するも、突入前30人あまりいたプレイヤー数はなんと3分の1の10人あまりにまで減っていた。
一つ前のIDを攻略中の時のような和気あいあいとした雰囲気はそこには無かった。
Stage Clearの文字が出る。
が、結局その後もプレイヤーがログアウト出来る事は無かった。
このゲームがクリアされてから約1年半、現実の世界の自分の体が心配になるものの、私達はこの世界で生き続けている。
今日集まる他の4人はあの最後の攻略チームの生き残りメンバーだ。
「今はいいかなぁ」
師匠が居なくなったあの日以来、ギルド、七's剣は解散状態だ。
そんな会話をしているとゲートが開き赤い髪に狼耳が生えている人物がゲートから出てくる。
「よぉ、久しぶりだなぁ」




