08.座談会2:『やっぱり情報統制されてたんじゃ』
高校生コンビがログオフした後。
すみれ、ひまぽ、腹黒小学生の3人は、引き続き会話を続けていた。
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すみれ:
『……やっぱり、どう考えても、情報統制されてたわよね、シオンちゃん』
ひまぽ:
『だねー。学校の授業を受けさせないとか、怪し過ぎるでしょ』
腹黒小学生:
『あの感じだと、都合の悪い情報は隠されてたんでしょうね』
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シオンから異世界の話を聞いた当初。
彼等は今一つ信じ切れなかった。
確かに未来を言い当ててはいるけど、普通に考えて異世界とかあり得ないだろ、と。
しかし、3週間経った今、
彼等は異世界の話を完全に信じていた。
単純なシオンに、こんな完璧な作り話ができるはずがない、と、思ったからだ。
そして、同時に心配になった。
単純な紫苑が、こんなきな臭い世界に勇者として呼ばれて大丈夫なのか、と。
腹黒小学生が、溜息が混じっていそうな口調で言った。
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腹黒小学生:
『……問題は、シオン本人が、情報統制されてたかもしれないという可能性に、全く気が付いてないことかと』
ひまぽ:
『だねー……。すごく良い国だったとか、みんないい人だったとか言っちゃってるし』
すみれ:
『きっと良い人もいただろうから、間違ってはいないんだろうけど……、難しい所ね』
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シオンは、真面目で素直ないい奴だ。
悪いヤツが見たら騙し放題だろうし、実際に騙されていたに違いない。
彼のためにも、今のうちに、異世界が怪しいことを教えるべきだ。
――とは思うものの、3人は迷っていた。
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すみれ:
『今のシオンちゃんって、異世界の人達を救うことをモチベーションに頑張ってるから、変に教えたら、折れちゃいそうな気がするのよね』
腹黒小学生:
『そこなんですよね。いきなり教えたら、人間不信に陥りそうな気もしますし』
ひまぽ:
『そだねー。それに、そもそも信じなそうだよね』
すみれ:
『相手のことを信じ切ってる感じがすごくするわ。仲間に命を救われたって言ってたから、信じ切るのも無理はないとは思うんだけど』
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そうだよね、と、考え込む3人。
そして、しばらくして。
ひまぽが言った。
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ひまぽ:
『まだ時間はあるし、シオンくん自身が気が付くのを待ってみよーか』
すみれ:
『そうね。シオンちゃんが頑張って気付けたら、それが一番よね』
腹黒小学生:
『人に教えられるよりはずっとショックは少なそうですね』
『じゃあ、気付くように誘導できそうな本を薦める感じでいきますか』
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その後、3人は相談。
『中国の歴史もの漫画とかどうかな? 陰謀とか策略がぎっしり詰まってるから、色々考えるようになるんじゃないかなー』
という、ひまぽの提案を採用し、紫苑の課題図書に、有名な中国歴史漫画が加わった。