06.座談会1:『異世界、なんかきな臭くない?』
異世界の話が大体終わり。
疲れきったシオンが先にログオフした後。
腹黒小学生が切り出した。
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腹黒小学生:
『みんなまだ時間大丈夫?』
ひまぽ:
『OK~』
すみれ:
『大丈夫よ』
柚子胡椒:
『 (´Д`)OK!』
腹黒小学生:
『じゃあ、とりあえず、シオンの今の話についてどう思っているか、ぶっちゃけて話したい』
すみれ:
『賛成よ。すんごい話だったもんね。私もみんながどう思ったか知りたいわ』
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シオンの前では口に出さなかったものの、みんな思っていた。
他の人はどう思っているのだろうか、と。
ひまぽが言った。
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ひまぽ:
『私はさっき言った通りかなー。50%。信じているような、いないような感じ。
でも、さっき詳しい異世界話を聞いて、80%くらい信じる方に傾いたかも』
腹黒小学生:
『俺も同じです。異世界の設定がリアルすぎる』
『シオンは良い奴だけど、ぶっちゃけ、あんな細かくて矛盾のない設定が出来るヤツじゃないと思うんですよね』
すみれ:
『確かにね。彼、深く考えるの苦手そうだものね』
『それに、シオンちゃん。ナンバーズも台風情報も言い当ててるのよね。時間逆行でもしないと、あそこまで的中させられないと思うわ』
柚子胡椒:
『確かに。漫画の続きの展開も合ってた』
腹黒小学生:
『ですよね……』
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悩まし気な返答をする腹黒小学生に、ひまぽが言った。
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ひまぽ:
『とりあえず、面白そうだから、話に乗ってみるって感じでいいんじゃないかなー? 嘘でも楽しければいいし、もしかすると本当かもしれないし』
柚子胡椒:
『ですね』
すみれ:
『そうね。肯定できないけど、否定もできないわけだしね。彼が危ない方向に行ったら、私たちが止めればいいわ』
腹黒小学生:
『それもそうですね……』
『では、シオンの話が全部本当だという前提で聞きますけど、ぶっちゃけ、彼の異世界話をどう思いました?』
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画面上に流れる、しばしの沈黙。
そして、しばらくして。
すみれが思い切ったように口火を切った。
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すみれ:
『異世界の国、ローズタニア王国? は、相当きな臭いわね』
柚子胡椒:
『シオンには悪いけど、僕もそう思った』
ひまぽ:
『私も怪しいと思ったねー。最後、魔王討伐を終えた後、魔物の襲撃を受けて仲間もろとも死んだー、とか言ってたけど、本当に魔物に殺されたか怪しいよね」
腹黒小学生:
『ぶっちゃけ、勇者なんて魔王討伐が終われば用済みですからね。殺して始末しようと思っても不思議はないと思います』
すみれ:
『問題は、シオンちゃんが、きな臭さに全く気づいてないってことよね』
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ちょっと聞いただけで怪しさ満点の話にも関わらず、シオンはまるで召喚した国を疑っていなかった。
それどころか、4人に対し、「異世界はいい人だらけだったし、人に優しい良い国だった」と、言う始末だ。
人を勝手に異世界に呼んで、魔王討伐をさせる国がいい国のはずはないのだが、何故かシオンはかたくなにそう信じ込んでいるらしい。
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ひまぽ:
『シオン君ってさ、単純ですごくいいやつだから、むこうで洗脳されちゃったんじゃないかなー』
柚子胡椒:
『そうなのかも。たまに言ってることがおかしかったし』
すみれ:
『まずは、あの洗脳を解かないと駄目ね』
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すみれの言葉に同意する3人。
皆思った。
あの洗脳され具合は相当ヤバイ。と。
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腹黒小学生:
『じゃあ、俺の方で政治的洗脳を解く方法を調べておきますので、その結果を踏まえて、また考えるってのはどうでしょう?』
ひまぽ:
『それでいいじゃないかなー』
すみれ:
『私もいいと思うわ』
柚子胡椒:
『 (´Д`)ノはーい! 賛成!』
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こうして、シオン不在の秘密の座談会は終了。
とりあえず、シオンにかかっていると思われる洗脳を解こう、ということで、話がまとまった。
紫苑の状態異常が発覚した!