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死に戻り白豚勇者、日本で準備万端ととのえて、いざ異世界へ(※ただし彼は洗脳されている)  作者: 優木凛々
第3章 リベンジ

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15.作戦会議


押し掛けてきた翌日から。

シャーロット王女達は避難している住人を慰問し始めた。


前回(召喚1回目)、王女と教会は、事前に住民を1カ所に集めて並ばせ、教会代表者が長々と挨拶をするなど、高圧的な態度を取っていた。


しかし、今回はそんなこともなく。王女自ら避難テントに足を運び、住民に話しかけるなど、実に控えめ。

王女自身がこのような慰問をすることを望んだらしい。


遠慮しながら慰問する姿は非常に好評。

避難民達からも、力をもらえた等の喜びの声が上がった。 


それを見て、シオンはほんの少しだけ期待した。


もしかして、魔道具で自分を弱体化させたり隷属させようとしたのは、シャーロットの意思ではなく、教会に言われて行っただけではないか。

シャーロット本人は、そんなに悪い人ではないんじゃないか、と。



そんな中、カルロス率いる第3陣が到着。

2日後に、ウィリアムとアリスが率いる追加人員が到着。



そして、全員が揃った、翌々日。


北の砦近くの山中で、魔王の出現が確認された。





* * *





魔王出現の知らせが入った日の夜。

領主館では、緊急の作戦会議が開かれた。


参加メンバーは、


・総司令官シオン

・プロディア辺境伯と、息子であるエドモンドとジャックス

・カルロス騎士団長、副団長

・ゾフィア魔法師団長、副師団長

・作戦参謀ウィリアムと、作戦担当者達、文官

・各領地から派遣された騎士団・魔法士団の代表


そして、以上約20人に加え、シャーロット王女。


なぜ王女がここにいるかというと、バクスター侯爵の差し金だ。


数日前、侯爵家から派遣された騎士団の統括をシャーロット王女にする、と言う連絡があったのだ。

これにより、指揮権を得たシャーロット王女が、堂々と作戦会議に参加することになってしまった。


シオンは苦笑いした。

バクスター侯爵(あのオッサン)は、人の嫌がることをする天才だな、と。



全員が席に座ると、ウィリアムに付いて来た、グルグル眼鏡の文官が、プロジェクターのような魔道具で資料を壁に映す。

その資料を見ながら、作戦担当者が声を張り上げた。



「我々は、魔法師団と王宮図書館の協力を得て、失われたと言われていた過去の魔王討伐に関する資料を発見致しました」



おおお!、と沸き立つ会議室。



「想定される魔王は、単体型と分裂型です」



作戦担当者の説明によると、



・単体型の魔王は、SSSランク


・分裂型は、 単体型の魔王が、 SSランクの強さの2~4体に分裂。そのうち数体から、さらにCランク程度の魔獣を無数に生み出す



話を聞きながら、シオンは、うんうん、と頷いた。

前回(召喚1回目)シオン達が戦ったのは、正に分裂型だ。


ウィリアムが声を張り上げた。



「厄介さに関して言えば、分裂型の方が上と言えるでしょう。備えるべきは分裂型です」



辺境伯が口を開いた。



「なるほど。分かりやすいですな。ただ、魔王が発見されたのが山の中腹と聞く。ほとんどスペースがないのではないか」


「はい。ですので、人海戦術は通用しません。我々作戦立案チームとしては、精鋭部隊30人程に、クロスボウ隊、後方支援部隊の2隊を連れて行くことを提案します」


「クロスボウ隊とは何だ?」


「辺境伯軍所属の、遠距離クロスボウ攻撃に特化した部隊です。大きくて丈夫な盾の後ろから、クロスボウで敵を狙い撃ちします。魔王には通用しないでしょうが、魔王が生み出す無数のCランク魔獣の駆除に有効かと」


「なるほど。Cランクでも数が多ければ脅威ですからな。魔王についてはどうする気だ?」


「メインに戦う騎士を決め、それを順番に交代させることを推奨します。そうすれば、長時間戦い続けられますし、被害も減ります。

また、騎士や魔法士達が戦闘に集中するため、怪我人などの手当てや戦闘補助をする “ 後方支援部隊 “ の設置も提言します」



素晴らしい作戦だ、と、盛り上がる会議室。



シオンは誇らしくなった。


腹黒小学生とひまぽの書いてくれた作戦が採用されている。

作戦の取捨選択や、現場に合わせた落とし込みと改良、人員配置案も素晴らしい。


俺の友人達は、やっぱりすごい!




――そして30分後。


ウィリアムが声を張り上げた。



「では、団員たちは10名で1チームを作って、魔物を食い止めること。精鋭部隊は山の中腹を一直線に目指し、魔王討伐をする、という方向で再度詳細を詰めたいと思います。出発は明後日の早朝。


よろしいでしょうか、総司令官?」



シオンは頷いた。



「それで良いと思います」




―――と、その時。


シャーロット王女が遠慮がちに手をあげた。



「1つだけ、よろしいでしょうか」



会議室に緊張が走った。


これまでの教会とシャーロットのトンデモ言動は、すでに皆の知る所となっていた。

シオン総司令が止めてくれなかったら、大惨事になっていただろう。

今度は一体何を言い出すつもりだ。


会議メンバーが固唾を飲んで見守る中。

ゆっくりとした口調で、「なんでしょう?」と、尋ねるシオン。


シャーロット王女はにっこり微笑みながら言った。



「私も砦まで行かせて頂きます。バクスター侯爵家代表ということもありますし、皆さんをお見送りしたいのです」



シオンは、心の底からげんなりした。



――そっかー……。やっぱり来るんだ。



来なくてもいいのに、強引に来ようとする。

どうやら彼女は、何が何でもシオン達(自分達)をどうにかしたいらしい。


シオンは軽く溜息をついた。

自分の部隊を持っている以上、拒否はできない。



――仕方ない。腹をくくるか。



「……分かりました。ただし、くれぐれも邪魔だけはしないようにお願いします」


「ええ。分かりましたわ」



嬉しそうに微笑むシャーロット王女。


こうして、今回最大の破滅フラグが砦まで来ることになってしまった。






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