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死に戻り白豚勇者、日本で準備万端ととのえて、いざ異世界へ(※ただし彼は洗脳されている)  作者: 優木凛々
第1章 日本で事前準備をしよう!

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17.座談会5:『私達、すっごくがんばったわよね……』


7月中旬。

紫苑の異世界召喚まであと1週間。

とある金曜日、夜。


オンラインゲーム上には、疲れて寝てしまった紫苑を除く4人が集合していた。


腹黒小学生が、溜息が混じっていそうな雰囲気で書き込んだ。



====

腹黒小学生:

『シオンが異世界に行くまで、あと1週間になった訳だが、()()は失敗に終わったな……』


ひまぽ:

『そだねー……。敵は手強かったねー』


すみれ:

『本当よね。あそこまで強固だとは思わなかったわ』


柚子胡椒:

『 orz 』

====



ちなみに、()()、というのは、紫苑にかけられた洗脳のことである。


ここ数カ月。

紫苑にかけられた洗脳を解こうと、彼等は超がんばった。


本を勧めたり、身近な洗脳話をして気付きを促そうとしたり、ローズタニア王国の矛盾を指摘したり。


しかし、その甲斐なく。

最後の最後まで、紫苑の「異世界の人はみんな良い人」という洗脳が解けることはなかった。



すみれが遠い目をして言った。



====

すみれ:

『……私達、すっごくがんばったわよね』


腹黒小学生:

『ええ。これ以上ないほど頑張ったと思います』


ひまぽ:

『でもだめだったねー。完璧に思い込んでるから、何を言っても「彼等は心配性なだけなんですよ」とか、いい方向に解釈しちゃうし』


すみれ:

『命を救ってもらったし、記憶も美化されてるでしょうから、気が付くのは難しかったのかもしれないわね……』


柚子胡椒:

『心配…… (´;ω;`)ブワッ 』

====



チャット欄を流れる重苦しい沈黙。


そして、腹黒小学生が意を決したように言った。



====

腹黒小学生:

『信じられなくてもいいし、怒らせてもいいから、俺達が思っていることをハッキリ言うべきなんじゃないかな。じゃないと、あっちでシオンが苦労する』


ひまぽ:

『うーん……』

『それはそうなんだけど……』

『このタイミングで言ったら、人間不信になってむこうの世界に行くことになる気がするんだよねー』

『それはそれで、結構大変そうというか』


腹黒小学生:

『……』

『……確かに』


すみれ:

『う~ん……』

『難しいわねえ……』

『柚子胡椒ちゃんはどう思う? 実際にシオンちゃんに接してみて、どう思った?』

====



すみれに問われ、柚子胡椒は考え込んだ。

どうすればベストなのだろうか。


そして、散々悩んだ末。

こう切り出した。



====

柚子胡椒:

『僕が思うに、一番いいのは、手紙を書くことだと思う』


ひまぽ:

『ほー』


腹黒小学生:

『へえ』


すみれ:

『手紙ね……。考えつきもしなかったわ。どうして?』


柚子胡椒:

『僕の勘では、今言っても、あんまり良いことがない気がするんです』

『そもそも信じなさそうだし、もしも信じても、異世界で挙動不審になりすぎて、上手くいかなくなりそう、っていうか……』

『うまく言えないんですけど (一一”)』

====



3人は思った。


何となくだけど、想像がつくな、と。


それに、実際にシオンに会ったことのある、仲の良い柚子胡椒がこう言っているのだ。

今言っても良いことがないのは本当なんだろう。



====

すみれ:

『それで、手紙が良いと思ったのね』


柚子胡椒:

『はい』

『あと、僕、思うんですけど』

『シオン、向こうにいったら絶対に気が付くと思うんです。みんな良い人じゃなくて、悪い人だったって』


ひまぽ:

『それはわたしもありえると思うねー。今は美化された記憶だけど、行けば現実なわけだから、色々と見えちゃうよねー』


腹黒小学生:

『前と違って知識もあるから、いずれ気が付くと、俺も思う』


柚子胡椒:

『はい。そして、多分、気が付いたシオンは、ものすごーく傷つくと思うんです (´;ω;`) 』


腹黒小学生:

『そうだろうな……。ずっと信じてたヤツらに騙されてた、って分かるわけだし』


ひまぽ:

『だねー。想像しただけでつらいよねえ……』


すみれ:

『なるほど。だから手紙なのね。困ったこととか、ショックなことがあった時に読みなさい、みたいな』


柚子胡椒:

『そうです! (*’▽’) 』


ひまぽ:

『あー、なるほど。それは良さげ』


腹黒小学生:

『確かに。2周目のシオンが悩むとしたら、多分このことだろうし、別件で見たとしても、今聞かされるよりは冷静に考えられるだろうしな』


柚子胡椒:

『 (*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン♪ 』


すみれ:

『手紙なら、向こうで苦労しているシオンちゃんを支えられるかもしれないわね』


ひまぽ:

『よーし! みんなで手紙を書こー! \(^^)/ 』

====




手紙を書くことに決まり、真剣に内容を相談する4人。


ああでもない、こうでもない、と、議論する。


そして、5時間後。

夜が白み始め、鳥がチュンチュ鳴き始める頃。


ようやく4人が納得できる内容が完成。


腹黒小学生がパソコンで文章を作り、柚子胡椒が印刷して、それを紫苑に手渡すことに決まった。




====

腹黒小学生:

『よし。じゃあ、なるべく早く手紙をワードで書いてメールで送るわ』


柚子胡椒:

『 (´・ω・)b了解です! プリントアウトして、封筒に入れて渡します』


すみれ:

『ありがとう。2人ともよろしくね』


ひまぽ:

『おつです。よろしくー』

====



こうして、4人の渾身の手紙は、腹黒小学生と柚子胡椒の2人に託されることとなった。





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― 新着の感想 ―
真是美好到让人想哭的友情啊,我觉得洗脑这个题材非常有趣,我个人非常喜欢这种背景设定黑暗但是正文非常轻松的文,尤其喜欢主人公受罪,要是洗脑能写的更加详细就好了
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