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修学旅行(1)

「お前ら、来月に修学旅行があるのは知ってるな」


と、先生が言うと教室内は浮かれた雰囲気に変わった。


「やった!」

「どこ回るー?」

「班はやっぱ一緒がいいよね!」

「柊さんと同じ班になりたい!」


あちらこちらから嬉しそうな声が聞こえてくる。最後の人、願望だしすぎじゃない?


修学旅行か。花月を一日、二日も一人にする事はできないし、俺には関係ないか。


「静かにしろー。今から説明するからよく聞いとけよー」


先生がそう言うと、教室内は静まり、それを確認した先生は説明を始めた。



◇◇◇◇


昼休みになり、俺は、陽乃さんに昼飯を誘われたので生徒会室に来ている。


「そういえば、二年生はもうすぐ修学旅行だね」

「そうですね」

「ましろ君はやっぱり行かないのか?」

「まあそうですね。花月がいますし」

「…………君はもっと人を頼っていいと思うぞ」

「言っときますけど、親には頼りませんよ。あの人達に預けるぐらいなら行かない方がマシです」


ため息を吐いて、やれやれと呆れた様子で顔を横に振る陽乃さん。


「私を頼れって言ってるんだよ」

「それはできません。これ以上、?」


陽乃さんは、言葉を遮ってこう言ってきた。


「あ、君に拒否権はないよ」

「え」


そう言うと、陽乃さんはポケットから録音機ぽい機械をポケットから取りだした。


な!? この人まさか…………。


「今の言葉を録音した。私を頼れないって言うならこれを花月ちゃんに聞かせるよ」

「!? …………卑怯だ」

「何とでも言うがいい」


録音機を見せびらかせながら、胸元を強調するかのように腕を組んでふんずり変える陽乃さん。


花月を陽乃さんに会わせないようにすればいい話なんだけど、この人ならどんな手段でも使って花月に会いに来そう。

どうしてそんなに行かせたがるんだ? 俺は別に行けなくてもいいのに………。


少し録音機を聞かされた花月を想像してみる。


…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………。


「陽乃さん、暫く花月を預かって貰えないでしょうか………」

「よろしい。任せたまえ」


くっ、この悪魔め…………。花月を脅し道具に使いやがって……!


「かと言って俺、クラスに仲良しな人そんなにいないんですよね」


修学旅行は六人で一つの班だ。

俺が仲がいいのは悟と柊さんぐらい。柊さんは人気者だから数に入れないとしてもだ。悟と俺で2人しかいない。


「そこら辺は心配しなくていいと思うよ。君は人気者なんだし」

「人気者? ないですよ。逆に嫌われてると思いますよ。話しかけられる事なんて殆どないですし。この前だって、冷酷の副会長って言われたんですよ」


「ふふ、ましろ君はもっと自分を評価していいと思うよ。あ、ちなみに冷酷の副会長ってあだ名付けたの私だよ」

「陽乃さんだったんですか……人に変なあだ名付けないで下さいよ……」

「君にピッタリじゃないか。直ぐに人の名前は忘れるしね」


たしかに、覚えるのは苦手だけど、、、冷酷は言い過ぎじゃないか?

もう過ぎた事だからいいけど……。


こうして昼休みは終わった。


◇◇◇◇



「悟、修学旅行やっぱ行く事にしたよ」

「ふーん。花月ちゃんはどうするんだ?」

「陽乃さんが預かってくれるって。あの人には本当に助けられてばかりだなあ」


はぁ、と小さくため息をつく。


陽乃さんには本当に助けられてばかりで、お返しが一度もできてないんだ。

しようとしても、


『そんな事にお金と時間を使うなら花月ちゃんの為に何かしなさい』


と言われてしまい、俺には退くことしかできなかった。


「じゃあ、俺とましろ、あと四人どうするんだ?」

「お前、俺に友達が居るとでも思ってんのか?」

「だよなー。仕方ない、明日の放課後までには探しとく」

「すまん、頼む」

「あ、そうだ。どうせなら柊は誘ってやれよ、お前から」

「え?なんで? 」

「はぁ。いいから誘えよ? 」

「う、うん……」


悟はそれだけを言うと前を向いて、スマホを弄りだした。


柊さんを誘えって言われても、柊さん人気者だし多分もう違う班に入ってると思うんだが………。

まあいいか、ダメ元でお願いしてみよう。


◇◇◇◇


「花月ちゃん〜次は何して遊ぶ〜?」

「次はね〜えっとね〜」


家に帰ってきて、柊さんは花月と遊んでくれており、俺は晩飯の準備をしている。


「あ、そうだ。柊さん」

「なんですか?」

「えっと、その……」


俺は言葉を詰まらせてしまう。


いざ、言おうとすると案外恥ずかしいな。誘うだけなのに、なんでこうなるんだ………?


そして、俺は心を決して、


「良かったらなんだけど、修学旅行一緒に回らない? あでも、もう他のとこに入ってるなら無理にとは」

「行きます!! 一緒に行かせて下さい!!」

「え、あ、そう?」


目をキラキラ、とさせて大声上げて言う柊さん。


てっきり、断られると思ってたんだが………。でもまあ、何か柊さん喜んでるしいいか。

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