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「瑠璃の怪物と呼ばれた少女」

「どうですか?調子は?」



「はい、立花先生にしてもらった二重がすごく気に入ってみます」



「そうですか。それは良かったです。まだ2ヶ月しか経っていないのでまだ腫れはあると思いますがもっと綺麗になると思いますよ」




「ありがとうございます。立花先生に手術してもらえて良かったです」



2ヶ月前に二重手術を行った患者さんが経過観察で笑顔で報告してくれる。



良かった。あんなに笑顔になってくれて。



美容整形医として自分が誇らしい。



今日は二重形成の手術があった後に初診のと経過観察の診察があった。



クリニックの診療時間が終わり看護師さんと他の先生達に挨拶をして帰宅の準備を始める。



私服に着替えて玄関にむかっていると1人の看護師さんに声をかけられた。



「お疲れ様です。立花先生」



「今日はもうまっすぐ帰られるのですか?」



「お疲れ様です。本田さん」


「はい。コンビニで夜ご飯を買って帰ろうと思ってます」



「そうなんですか。それなら美味しい韓国料理のお店を知ってるので今夜一緒に行きませんか?」



本田さんが夕食を誘ってくれる。本田さんはいつも僕をフォローしてくれて患者さんの対応にも素晴らしい人だ。韓国料理か……いいな。最近食べていない。医学生時代に韓国に留学していた頃は毎日食べていたけど。久しぶりに食べたいな。



だけど今夜は少し無理だ……



「夕食を誘って頂いて嬉しいのですがすいません……明日は手術が何件か入っているので早く帰って休みたいのです」



「そうなんですか……そうですよね。毎日お忙しいのにすいません……」



「また機会があれば行きましょう。本田さんの好きなメニューを教えてくださいね」



「はい、また機会があればお願いします」



本田さんの誘いを丁重に断ってクリニックを出る。自宅までの道にあるコンビニでお弁当を買って自宅に向かい横断歩道を渡る。



「ギィィー!!」



「えっ?」



青信号なのに大型トラックが猛スピードでこちらに走ってくる。



「グシャァァ!!!」



最後に覚えてる光景は大型トラックに引かれた瞬間だった。













「あれ?ここはどこだ?」


目が覚めたら知らない森の中に居る。


状況がまだ理解できていない…



 状況を整理するために自分を思い出す。


 「自分の名前は立花智也。25歳、美容整形医」



 確か昨日は5人の二重形成手術があってそのあと、カウンセリングを数件終わった後にクリニックを閉めて



 コンビニに寄って……横断歩道で赤信号を無視したトラックに惹かれてそこから……ああそっか死んだんだ僕。



 一気に状況を理解し、ため息をつくまだ25歳なのにな。やり残したことも沢山あるのに……



 でもそうするとここはどこだろう?周りを見渡すと綺麗な自然に囲まれているやはり天国か?まるで物語に出てくるような森の中だ。



しかし喉が渇いた死んでも喉が渇くとは不思議だなと思いながら立ち水音が聞こえる、近くに湖があるみたいだ。これだけ綺麗な自然なら飲める水質だと期待しながら水音に近づいていく。



 森を抜け綺麗な湖を見つけた。


「よかった、これなら飲めそうだ」


水を見つけ、安心して水を飲もうとしたときフードを頭から被った女の子と目があった。



深く蒼い瞳をした女の子だ。



「こんなところに女の子が一人で?」



そう思ったときには女の子はこちらをびっくりしたように見つめ怯えたように走っていった



すごく綺麗な瑠璃色の瞳だったな……



あの子も死んで天国に来たのかな、若い女の子だな……気の毒に。



そう思いながら水に口をつけようとしたとき「コラーー!この不審者め!!」



怒鳴り声が聞こえ高齢の女性が怒気を表しながら手には槍を持ってこちらに走ってくる。




「ルリアお嬢様に近づく不審者め!」



「このわたくしが退治してくれる!」




天国なのになんなんだこれは……



「待ってください!僕はただ水を飲もうとしてただけです」



必死に説明しながら後ずさりす

る。 



 

「うるさい!ハワード子爵家の所 有地に入り込んできて何を堂々!」



 「えっ所有地?ここは天国じゃないのですか?」


あまりの展開についていけずきょとんとしながら答えると年配の女性がさらに怒気を表す。


「やはり不審者!ルリアお嬢様に近づく不審者め!」


「さっさと死ね!」


叫びながら見た目では想像できないスピードで槍を突き出してくる。


慌てて避けようとするが槍の先端が左肩にかすった。



「痛っ!」


右手で左肩を抑えながら避ける動作を止めると


「もらった!死ね!!」


槍の先端が自分の首に向かってくるのがわかる……



「えっ二度死ぬの?僕?」




「フギャッ!!」


年配の女性がこけた。


かなり大きくこけた。


「足が……うぅ……」


どうやら踏み込むときに滑ったらしい。


槍がかすった左肩を確認する。


すこし出血しているけど皮膚が切れただけで血管までは届いていない。


よかった、大した傷ではない。

 


 年配の女性に目を向けると足を抑えてうずくまりながら槍は手放さず息を荒くしながらこちらを睨んでいる。


「えーと大丈夫ですか?」


声をかけると睨みながら



「やかましい!この変態不審者め!ルリアお嬢様に指一本触れてみろ!」


「絶対にルリアお嬢様には近寄らせるか!」



 なんて口の悪いおばあさんだと思いながら近寄り怪我した箇所を軽く診察する。


「近寄るなこの色魔!」



 「色魔?内出血してますけどただの捻挫ですね、そこの川の水で冷やしたほうがいいですよ」


 そう答えるとフードを被った女の子が慌てて布を水に浸しババ○……年配の女性に駆け寄った 


 「マリー!大丈夫!?」


「ルリアお嬢様!」この女の子の名前はルリアというらしい



 心配そうに濡れたハンカチを捻挫した箇所に当てている、そしてこちらを見ながら


「マリーが乱暴なことして申し訳ありません、お怪我は大丈夫ですか?」ババ○とはえらい違いだ。


「はい、すこし出血しましたが大丈夫です」


そう答えるとゲフゲフッッ 喉の渇きで咳がでた、


「大丈夫ですか?」


「ええ、喉が渇いただけです」


「喉がお渇きならこれを」


そういいながらカバンから水筒をだして渡してくれた


「ありがとうございます」水筒をもらい、一気に中の水を飲み干す。ふう。一息つけた。


女の子が少しほっとしたようにこちらをみながら問題の原因を訪ねてきた


「失礼ですがあなたは何者ですか?どうしてここに?」

 

「気がついたらここにいました、質問を質問で返して申し訳ありませんがここはどこかの国ですか?」



そう答えると女の子は困惑したように「ここはララノア連邦王国です。そしてここはハワード家の所有地の庭です、私はハワード子爵家の長女ルリア・ハワードです」


ララノア連邦王国?外国?所有地の庭?子爵家?貴族?頭が混乱しそうだ


「失礼ですがお名前をお聞きしても?」


「立花智也です」


「ではタチバナ様あなたに怪我をさせた治療もしたいので屋敷に来てくれませんか?マリーも足を怪我をしているので」


そう申し出てくれた。



 「ルリアお嬢様!こんな男を屋敷につれていくなんて!」


「だってマリーあなたが彼を怪我をさせた治療をしなくちゃいけないし、あなたの治療もしなくちゃいけないわ」


ルリアさんがそう言うとマリーと呼ばれる年配も女性は悔しそうにうなだれた。


「では僕がマリーさんに肩を貸すので道案内をお願いします」

 


 「だれがあなたに肩を借りるなんか!」怪我をしていても元気だ。


「これでも医者なので怪我人に何もしませんよ」


「医者?あなたが?」


胡散臭そうにこちらをみてくるマリーさんに肩を貸しながら


「ではルリアさん道案内をお願いします」


ルリアさんは少し戸惑いながら道案内を始めてくれた



 「ここが私の屋敷です」屋敷に到着し右手に立派な建物が見える。貴族と聞いていたがやはり映画にでてくるようなような西洋仕立ての建物だ。


ルリアさんが屋敷の中に入り、20畳くらいありそうな部屋に通してくれた。マリーさんは足の治療のために別室に向かった。


「どうぞそこのソファーにおかけください」ソファーに腰がけ、メイドさんに肩を治療してもらう。包帯を巻いただけだけど。


ルリアさんと向き合う


「私の侍女であるマリーがあなたに怪我をさせたことをあらためて謝罪します。」



 ルリアさんがこちらに頭をさげ謝罪してくる


「いえいえ!所有地だと知らずにあの場所に居た僕も悪いのでどうか頭をさげるのはやめてください」


ルリアさんの謝罪をおさえながらそう答えるとルリアさんは少し安心したように顔をあげた。


「謝罪を受け入れてくれて感謝します、失礼ですがタチバナ様はこの国の方ですか?変わったお名前ですし、マリーにお医者様とおっしゃっていました」


ルリアさんが僕の素性の核心を訪ねてくる、どう答えたらいいだろう、相手は貴族だ、確か貴族には不敬罪で有罪にできる権力があったはず。


しかしルリアさんは聡そうな女の子だ。あからさまな嘘はばれそうだ、ここは嘘と真実を混ぜよう。


「医者であることはあってます、実は知り合いに頼まれて患者さんを治療しに向かってる旅の途中でしてなぜか知らない間にあの場所に居ました、持っていた金銭も無くなっていますしおそらく強盗にあったのだとおもいます、記憶が無いのは薬を盛られたかと。」



 真実を混ぜるどころか嘘八百もいいところだ。しかし僕には身分を証明するものもない。医者であることを証明しろということならまだ誰かを治療して証明できる可能性がある。


それに、おそらくここは異世界だ。ララノア連邦王国なんか聞いたこともないし、目の前に居るルリアさんは綺麗なブロンドの髪をしているしマリーさんも西洋人の容姿だったが言葉は通じた。そして屋敷に向かう森の道で見たこともない動物を沢山見た。


間違いない。ここは異世界だ、流行っていたラノベで死んで異世界にいく作品を読んだことある。


 冷静を装いながら考えていると


「わかりました、大変辛い思いをされたのですね。そんなタチバナ様にマリーが乱暴をしてごめんなさい。」


 「どうぞ肩の傷が癒えるまで当家に滞在してください」


 信じてもらえた。よかった、しかしこの子こんなにあっさりと怪しい男を信じるなんて純粋というか天然というか大丈夫だろうか……


 「メイドに客室を案内させるのでどうか療養をしてください」


 「ありがとうございます」


 ルリアさんにお礼を言いながらソファを立ち、案内してくれるメイドさんについて部屋をでようとすると一枚の肖像画が目に入った。


 ブロンドのロングヘアで綺麗な瑠璃色の瞳が特徴のとても美しい女性だ。

 

 

 特に吸い込まれそうなほど蒼く綺麗な瑠璃色の目だ


 


「失礼ですがこの肖像画のかたは?」


「亡くなった母です」


「なるほど、どうりでルリア様も綺麗なブロンドの髪と美しい瑠璃色の瞳だと思っていました」


そう答えるとルリアさんは悲しそうにそして苦しそうに


「髪と瞳の色だけです……母に似ているのは……私は見ての通り醜女ですので」



 やってしまった。いきなり異世界にきて気が動転していた。ルリアさんはしっかり受け答えをしていたし、貴族の子女らしく風格をもった女の子だとおもっていたが、最初に川で目が合って以来僕と目を合わせなかったし、一度もフードを下ろさなかった。


まともに顔を見せないようにしていたし怪しい男の僕を怖がってる様子ではなかった……



人に対する恐怖心をずっと感じている様子だった……


美容整形医としてルリアさんのような女性は沢山見てきたはずなのにどうして気がつかなかったんだ。


自分を責めていると「では私はマリーのところに見舞いに行ってきます」


ルリアさんは一度こちらにお辞儀し、部屋を出て行った。


そのあとメイドさんに客室を案内され部屋のベッドに寝ころびながら一度死んだのに異世界に来てしまった意味、これからの不安、いろんなことが頭を駆け巡りながら一番最後まで頭に残ったのは美容整形医として最低なことをルリアさんにしたこと、そしてルリアさんのあの悲しくて苦しそうな表情が脳裏に離れないまま僕は眠りに落ちた。













 これが瑠璃の怪物と呼ばれた少女


 ルリア・ハワードと僕の運命の出会いだった。



 






 

 






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