表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/92

38 王弟による判定結果

今度は騎士が絡んできます

侯爵と私が勝手に盛り上がった喧嘩は侯爵から謝罪するという言質を取ったところで終了。

次に王弟の指示により私とユシルのレポートをメルーセとユシル本人が取りに行く事になった。

私が取りにいかないのは不正防止のため。

じゃあユシルはどうなのかと問いかければメルーセが見張っていればいいと言った。必要はないとも続けて。

メルーセの場合はユシルが見張り役となる。

場所が女子寮の為に男性である侯爵自身が行けない為の人選である。

そして私は逃亡防止のために王弟の研究室に残る事になり私が侯爵と騎士にも不正防止の為に残れといい、その監視役として王弟も残る事になった。

ただボーッと待っているのも辛いので王弟に頼んで本を貸してもらった。

大抵が王弟が研究している植物に関しての本なので面白くはない。

論文とか読むの辛い、単語の意味を調べる為の辞書が欲しくなる。

図鑑の方が見やすい事は見やすいが反対に絵が多いため。読み込み要素を見つけられない私だとあっという間に終わる。

侯爵はユシルが戻るまでは私を無視する事に決めたらしく、見かけだけは平穏。

二人が戻ってくるまでに最低でも三十分はかかるだろうか?

この時間があれば本を読んだり課題を進めたり、お姉様とお茶を楽しむ事も出来ただろうに。

「オルレンス嬢」

なぜこんな事に…と話し合いをしようとした事に若干の後悔をしていると騎士に話しかけられた。

「なんでしょうか?」

騎士は先ほどの話し合い(第一ラウンド)では主に侯爵が攻勢に回り、その追随をするという役割だった。

言い足りない事があったのかもしれないと、警戒しつつ応じる。

「あまり近寄らないで頂けますか?」

「そう警戒しなくても」

言葉で牽制するのと同時に露骨に距離を開ければ苦笑された。

「無理ですね、ご自分がなされた事をお忘れですか?」

前科者は信用されないのが世の常です。例え本人が更生したといっても信じられる様になるには時間がかかる。

「君がユシルに言った事って…」

「詳細はコレンス嬢本人から聞いてください、本当の事をいうかはわかりませんが」

自分の行いが原因だと指摘されたからか、それ以上は何かをいう事もなく本題に入るので切って捨てた。

「それはもう聞いているから必要ない。君は随分とユシルに酷い事を言ったみたいだけど…それについて謝罪をするつもりはないの?」

「私は事実をわかりやすく指摘したまでです。むしろ感謝されても良いくらいだと思っていますわ」

「ははっ、ずいぶんと面白い事を言うんだね。虐めの首謀者に感謝しろとか」

「虐め…?」

「惚けるつもり?君は友人のフリをしてユシルに近づき、利用して、挙句の果てにユシルを孤独にした」

「全く身に覚えがないですね」

友達のフリはお互い様なのでノーカンです。利用してきたのはむしろユシルの方だと思うし、ユシルは好きで攻略キャラ以外と関わってこなかった。

とばっちりでボッチになっているのは私の方じゃない?

そういう素養があったのは認めるけどさ。

「具体的に言ってみてください、私がどうコレンス嬢を利用して孤独にしたというのか」

「まずはその“コレンス嬢”という呼び方だね。気付いてないのかい?君がそう呼ぶたびにユシルがショックを受けている事に」

初めてしったわ。

確かに最初はショック受けてたけど、今は普通に見える。ショック受けてたのは自分の今までの行いを改めて羅列されたせいじゃない?

「お友達でもない令嬢を気安く呼べませんわ」

ユシルの方はまだ“セルリア”呼びだけど、私は“友達ではない”という主張の為にもあの日からずっと“コレンス嬢”呼びだ。

本来ならお前らも“コレンス嬢”と呼ぶべきだからな。さっきからユシルユシルと呼び捨てだけど。

確かにイベントが進むと“コレンス嬢”から“ユシル”呼びになってたけど。この状況で聞くと色ボケもいい加減にしとけという感想しか浮かばない。

高位貴族なら高位貴族らしく振舞って欲しい。

「ユシルに僕らや殿下の事を色々と聞いていたってきいたよ、大方ユシルを踏み台にして僕らに近づこうとでもしてたんだろうけど…」

「え?酷い侮辱を受けたんですけど」

なんで自分から色ボケ集団と関わりを持ちたいと思わなければならないんだ。

「だって何度も僕たちの話をせがんだんだろう?そのうち自分にも会わせろとか言うつもりだったんだろ」

「コレンス嬢が勝手に語ったのが殆どです」

時々はどこまでイベントが進んだのか確認の為に水を向けた事はあるけど、詳しくは聞いてないよ。

「僕らのファンは多いから仕方ないけど、そんな相手を僕たちが受け入れるとでも?」

下心しかないユシルにめっちゃ篭絡されてんじゃん。

「生まれてこの方、身内以外に憧れを抱いた人物はレオーネ様くらいなんですが…」

「ああ~、やだやだ。ユシルもこんな浅ましい女が同室で可哀想に」

「いや、人の話聞いてます?私、微塵も、あなた方に、興味ないんですけど!!」

言いたい事を言い終えた騎士は私の言い分を一切聞かずに離れていった。

え?

なにあいつ、勘違いするにも限度というものがあるだろ。

現在の学園の人気度でいえば大暴落中の身の上でアレはない。

いっそ全部バラしてやるべきか?

真面な感性をお持ちの令息令嬢は呆れて静観中ですと。将来性はあるから擦り寄る人物は今がチャンスとばかりに増えているかもしれないけど。

一人でフラストレーションを溜めまくっていると、ようやくメルーセとユシルが戻ってきた。

もう!遅いよ!!

「お待たせいたしました。…セルリア様、何かありましたか?」

私の様子を不審に思ったメルーセが声を掛けてくれるが、視線で騎士を示すだけにした。どうせ今の様子も忍者の誰かが聞いているに違いない。

なら今は余計な事を言わないで置く、しかしこの恨みは機会をみて晴らしてやるからな!

「……そうですか。ベキースタ先生、こちらがセルリア様のレポートですわ」

メルーセの目がスッと細まり冷ややかな視線を騎士へと送った後に王弟の元へ行き、ノート一冊分ほどの厚みのある紙の束を渡す。

「コレンス嬢は…」

「あ、はい。……これです」

決まりが悪そうに差し出した紙は私の半分くらい?

レポートは最低十枚以上であれば何枚書いてもいいというアバウトなものなので人によって枚数が分かれる。

ユシルは規定値ギリギリかな?

「拝見させて頂こう」

王弟は先にユシルのレポートへと目を通し始める。二人分のレポートを読み終わるまでまた暫く時間がかかるだろう。

「あの…セルリア…」

「セルリア様、お茶のお代わりは如何ですか?」

「ああ、私の分も淹れてくれ」

ユシルが私に話しかけたタイミングに被せてメルーセが問いかけてくる。おそらくワザと。

それに便乗したのが侯爵だ。本当に図々しいなこいつ。

メルーセはうちの使用人なんですけど!

「メルーセ、私はいらないから淹れる必要はないわ」

「畏まりました」

「おいっ!」

最初に淹れてくれた分は飲み切ってしまったが、こいつに改めて淹れる必要はないので我慢する。

「使用人の分際で…!」

「トレスト卿、彼女はうちの使用人であって貴方の使用人ではありません。またこの場では私と同じくゲストとして同席しています。

飲みたいのでしたらご自分で淹れればよろしいのでは?」

お前の命令に従う義務はないと含ませ、自分でやれと突き放す。

「セルリア様…」

「あ、あの…!私が淹れます!」

険悪な雰囲気を払拭しようとユシルが挙手をして率先してポットの方にいく。

「本当にユシルは優しいな…、それに比べてお前は手伝う事もせず…!」

「トレスト卿はもう少し人の機微というものを学ばれるべきかと存じます」

ユシルを褒めるのは勝手だが、人を貶す前に自分で手伝えばいい。

「セルリアも飲む?」

「その様な女にユシルの茶など勿体ない!」

「もう、そんな事を言ってはダメですよ、ルオイ様」

「僕も手伝うよ、ユシル」

「ありがとうございます、ターレ様」

「大丈夫、いらない」

急にイチャイチャしだした二人を見て嫉妬して参戦する騎士。

聞こえていないと思いつつ、一応断りの言葉を言っておいた。


「結論から言おう、コレンス嬢が書いたレポートとオルレンス嬢が書いたレポートは一致する部分はない」


思ったよりも早くに二つのレポートを読み終えた王弟はみなの注目を集めてから口を開いた。

「そんなバカな!」

侯爵が王弟に食って掛かるが、無理やりレポートを奪い取らないだけの分別はあるらしい。相手が王弟だからかな?

あれ?侯爵って王弟の正体知ってたっけ?

高位貴族だし、王太子の幼馴染みだし知ってても違和感はない。

「本当だ、それともトレスト卿は私の判定に不備があるとでも?」

「それは…私にも見せて頂けませんか?」

引いている様に見せかけて引いてない、王弟が間違っていると言っている様なものだ。

「本人からの許可がない限りは無理だ。このレポートは評価が済んでいない。この状態で他人に見せる事は出来ない」

王弟は侯爵の申し出をピシャリと払いのける。

提出さえしてしまえば後は課題を出した教師がある程度自由に扱える、価値ありと判断したものに関しては学園の図書室に書き写したものが置かれる事になる。本人の許可を得ているのかは知らない。

優秀なものとか、今後の学生の参考になりそうなものとかが選ばれると聞いた事がある。資料探しで何度か図書室に足を運んだが、確かにそれっぽいのもあった。だいぶ古かったけど。

大学の卒論と同じ感覚なのかな?

アレもどういう風に扱っているのか知らないけど。

「オルレンス嬢がコレンス嬢のテーマを盗用した事実はないと私が断言しよう、疑いが晴れないのなら返却後に本人に見せてもらう様に頼めばいい」

「トレスト卿が礼を尽くして頼むのであれば私も無下には断りません」

ちゃ~んと“お願い”が出来るのならこっちだって考えます。

「オルレンス嬢、とても興味深いものだった。出来れば完成後のものも見せて欲しい」

おや?

王弟が興味を惹かれる様な内容のもの書いたっけ?

「はい、シルノイ先生から返却された後なら構いません」

出来ればいま感想とか聞きたいんだけど、仮にも教師から意見を聞いたらカンニングだ!とか騒ぎそうなので止めておいた。



評価、ブクマありがとうございます!

総合評価ポイントにビックリしてます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ