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12 攻略もイベントもどんどん進みます

レオーネ様とそのお友達の協力もありテストではゲーム以上の好成績を収める事が出来ました。

上の下といったラインの成績で、レオーネ様もお友達も褒めてくれましたよ。わーい。

でもヒロインはそれ以上の好成績を取っていたよ、というか上位十位に入ってた。ほんといつ勉強したんだ。

各攻略キャラとの勉強(デート)はしっかり役に立ったらしい。

とにかくこれで逆ハールートの阻止は出来なくなった。

後は個別ルートのイベントを誰か一人でいいから五番目の前で止めておくくらいかしか出来ないが、そっちの方が難しい。

「セルリアは頑張ったのだから気にしないでいいのよ?」

ヒロインに負けたと報告に行った時にレオーネ様は気遣ってくれた。だから余計に悔しい。

「シア様にもケイト様にも教わったのに…申し訳ございません」

シア様からは「私に教わっておいて悪い成績を取るのは許しませんわ」とかツンデレ台詞というご褒美までいただいていたというのに。

ちなみにそのシア様は「あなたにしては頑張ったじゃない」とこれまたツンデレ全開で褒めてくださいました。

普段の成績と比べるとだいぶ頑張ったからですね、ちゃんと飴もあたえるツンデレは本当に最高です。

シア様もケイト様も伯爵家のご令嬢で、実家は商売を順調に広げお金持ち。

ご本人は甘やかされて育ったためちょっぴり我が儘だが人を気遣える真っ当な人物だ。

レオーネ様とは幼い頃からの友人という事で使用人を奴隷扱いする様な貴族ではなく、貴族の義務(ノブレスオブリージュ)というものを正しく理解している。

だからこそヒロインの暴挙が許せない。

貴族なのだから序列には従えと。

現代日本人の感性も持ってる私からすると全部が頷ける事ではないけれど、円滑に社会を回す為には必要だとは思える。

ようはバランスって大切という事だ。

ヒロインは明らかにやりすぎ。

貴族にとって常識外の行動を気にせずに取っているのだから不快に思って当然だ。

私がそういったヒロインとは違うと、同じ時間を少しとはいえ一緒に過ごしたおかげでシア様やケイト様はわかってくれたのだと思う。

レオーネ様に勉強を教われなかったのは残念だが、もしかしたらレオーネ様は私の味方を増やそうとしたのかもしれない。或いは(セルリア)と一緒にいるところをヒロインに見られたくなかったのか。

私と親しいと噂が立てばヒロインに警戒されて情報が入らなくなるからね。

味方ではなくとも、将来的に敵に回らないのであれば良し。

レオーネ様とはまたタイプの違う美人さんと過ごせただけでもお釣りがきます。

あ、シア様はツンデレですがケイト様はふんわりした感じの方です。こちらも可愛い。

「あ、そうだレオーネ様」

「何かしら?」

名誉挽回というわけではないが、サスケから得た攻略キャラの情報を開示する。

私が持ってるより有効な対策を考えてくれるだろうし、と人任せ…いやいや情報の共有って大事だし。

「王太子とイオリテール様はヒロインに対してはまだ“友達”の範疇に収まっているみたいです。

親密度としては首を傾げるほどに距離が近いですけどね」

レオーネ様は王太子…というより攻略キャラ以外に好きな人がいるみたいなので、遠慮なくディスります。

あれが男女の“友達”の距離などとはこの国の貴族としてはありえない。

ヒロインはともかく、攻略キャラ達はちゃんと“貴族としての常識”が備わっている身だ。

その常識を超えた付き合いをしている時点で言い訳はきかない。少なくとも周りからどう見られているのかくらいは推察できるはずだ。どれだけ自分に言い訳しようとも、ね。

「王弟と侯爵はかなりメロメロみたいですね」

元は王族であるが、側妃の息子という微妙な位置づけによって親子ともども冷遇されてきたせいか王弟は本来は贔屓を嫌う性格だ。…どっち方面でも。

その王弟が(ゲーム上では)無意識にヒロインを贔屓している。

それを自覚した王弟はそんな心根のものが将来のある若者を教える事はできない…と教職を退く覚悟をする。

それを責められるのは自分だとヒロインが待ったをかけるんだよね。

『人間なのだから好感を持っている人物に多少融通してしまうのは仕方ない事では?

むしろ他の生徒と違う扱いを受けていると私が自覚して遠慮すべきでした。

厚意に甘えずるずると享受してきた私にこそ責があります』

とかいってた。

まぁ個人授業だけでテスト問題の横流しとかはしてないしセーフじゃない?

ゲームだとヒロインが自分から勉強についての質問を何度もしにいくのがきっかけだし、王弟から見れば勉強熱心な生徒の質問に答えていただけだ。

王弟から会いに行く事はなかったし。

王弟の場合は放課後のプチデートの誘いも職員室まで一緒に~とか図書室まで一緒に~とか、偶然廊下であって目的地が同じというていを取ってたからね。

現実いまは違うけど。

前に興味があると言っていた本が手に入りましたよ、とか言って普通に教室に入ってくる。

その場では受け取って終わり…という事が多いがこっそりとメモのやり取りをしているのを知っている。

学生同士なら甘酸っぱいで終わったんだろうけど、教師と生徒という関係では途端に色を含んでしまう。

侯爵は原作ゲームだと父親の後を継いで侯爵になった事により急にすり寄ってくる人物が増えたこと、反対に今まで媚を売っていた親戚が手のひら返しで侯爵家の財産を奪った事により人間不信の状態。

みんな自分の地位や財産が目的なんだろ!と幼い頃からの友達である攻略キャラとも「裏切られたくない」という本心から目を反らして忙しいのを理由にして距離を取る。

そのみんなとの距離を埋めるきっかけをくれるのがヒロインだ。

段々とヒロインを大切に思い始める侯爵は少しヤンデレを発揮しつつ、今までは敵だと思っていた使用人たちにも支えられていた事に気付き、自分を心配している幼なじみとの距離も戻す。

エンディングはかつて自分から財産を奪った親戚から再び財産を奪い返し、親戚連中を破滅に追い込む。

取り戻した財産を更に大きくし、将来は国王となった王太子の下で国の重鎮となる…と示唆されて終わる。隣にはもちろん侯爵夫人となったヒロインがいるというものだった。

…そっか、父親が生きてるならゲームほどは侯爵も擦れてないのか。

ん?

侯爵の父親はなんで生きてるんだろ?

てっきりレオーネ様が何か改変したのだと思っていたのだが、侯爵の父親が死ぬのわかってないと対策とれないよね。

「ああ、明らかに働きすぎだったからね。過労死だったんでしょゲームでは」

疑問をぶつければアッサリと答えられる。

予備知識がなくとも現代の知識のおかげで死ぬ可能性が高いと判断したレオーネ様は、侯爵を説き伏せて父親の仕事をセーブさせしっかり休ませたと語る。

この世界の医療技術はそれほど進んでいない、点滴がない時点で倒れたら詰む可能性が高い。

その後も厳重に見張らせあまり無理をさせなかった事で今も健康体を維持しているらしい。

「トレスト侯爵は国の要職に就く重要人物よ、急に倒れられたら大変よ」

侯爵の人間不信のきっかけは父親の死を境に豹変した人たちを見てからだもんね。という事はゲームよりもチョロくなっているのでは?

私は直接会った事がないし、レオーネ様は王太子ルートしかプレイした事がないそうなのでゲームとの差異に気付きにくい。

過去の事を語るイベントもあったが、その時はピュアなキャラとして書かれていた。スチルの絵を見る限りは七、八歳くらいかな?

あのまま育てたとは思えないから今はもう少し擦れているだろうけど。

「ルオイの性格?…そうね、一言でいうならツンデレかしら」

「…そうなんですね」

確かに攻略が進むとそういった一面も見せてきた。

ゲームの序盤はひたすら冷たくされ、そのうちからかってくる様になるSキャラだった。そして腹黒でもある。

人間不信のキャラらしく試し行為も仕掛けてくる構ってちゃんでもあった。

…声優が合っていないせいで魅力が半減していた勿体ないキャラだったと私は思う。

本当に騎士の中の人が演じてくれれば作中屈指の人気キャラになってたと思うよ!そしたら幾らでも(当然限界はある)積んだのに!続編が出る様にお布施行為をしたのに!!

…ん?

なんか今引っかかった?

思考に引っかかりを感じ巻き戻せば、まだ騎士の報告をしてなかったと思い出す。

騎士は確か…。

「騎士様の好感度が一番低そうですね、ヒロインと一緒にいる理由は好意を持っているというよりも王太子に近づかない様に自身が盾になっている感じです」

「ターレの一番苦手なタイプだと思うわ、あの子」

はぁ、とため息を吐くレオーネ様。

騎士ルートは堅物故に融通が利かず、そのせいで騎士団の団員との折り合いが悪いという背景がある。

距離があるのは感じているが、規律を守れない連中と仲良くする必要はないと自分から歩み寄る努力をしないでいたが、ヒロインに振り回されているうちに人にはゆとりが必要なのだと悟り徐々に団員と打ち解けていく。

自分とは違う視点を持っているヒロインが、色んな意味で自分には必要だと傍にいて欲しいとプロポーズという流れだった。

…逆ハールートだとそれぞれの問題が解決しないまま終わるんだよね。

問題が解決するのはイベントの六、七にあたるせいで。

解決しないままイチャイチャして終わりの逆ハールートはそれでいいのか?と個別ルートをプレイしたものは思ったはずだ。

所詮はゲームと割り切れないくらいハマってた人もいただろうし。だからこそ…。

「レオーネ様」

先ほど何に引っかかったのか、また同じとこに引っかかり判明する。

その浮かんだ考えを纏めないままに口に上らせる。

「攻略サイトとか見るタイプですか?」

「その時の状況によるわ。

基本ネタバレは避けたいから、行き詰まらない限りは見ないわね」

唐突な質問に戸惑いつつレオーネ様は答えてくれる。

「じゃあ、このゲームはどうでした?」

「見てないわね、前にも言ったけど私がプレイしたのは王太子ルートだけよ」

「ああ…チョロいですもんね」

難易度設定が一番緩く設定されている王太子は簡単にトゥルーエンドが見られるキャラだ。

デートして適当にステータスを上げれば他にちょっかいを掛けなければ間違いなく攻略サイトは必要ない。

「じゃあ逆ハールートについての考察とかも見てませんよね?」

「ええ、興味はあったけどそういうところはネタバレが満載でしょ?」

「ですよね」

攻略に行き詰まった時にネットは便利なツールだが、同時に前振りなしのネタバレが溢れている場所でもある。

クリア済みなら色んな意見を見る事も出来るし、私はあんまりこのゲームに萌える事が出来なかったのでネタバレを気にする事なく情報を漁っていた。

ゲーム内容は私の好みと合致しなかったけど他人の考察を見るのは楽しかった。

その中である人が立てた“逆ハールート”についての考察。

それはなるほどと納得できるだけの説得力を持っていた。


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