表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/92

1 逆ハー狙いのヒロイン登場

ストックがいくつか出来たので投稿します。

なくなるまでは毎日更新したいと思いますのでよろしくお願いします。

あかん、こいつ転生ヒロイン(どうるい)やん。


にこにこと可愛らしい笑みを浮かべて握手を求めてきた()()()()に、引きつりそうになる笑みを返しながら頭の中だけで毒づいた。

昨今流行りの悪役令嬢もののお約束のごとく、ヒロインも転生しているパターンかと内心で舌打ちを打つ。

これが中身も本物のヒロインなら是非ともお友達になりたいが、中身が違うなら遠慮したい。

パターンからいって危ない人物である可能性が高いので。

せめてハーレムルートは諦めて誰か一人に絞ってくれるならまだマシなのだが…。


「本物の“セルリア”だよ、ゲーム通り」


ぼそぼそと小声で感激しているヒロインに何か言った?とバッチリ聞こえているが問いかければ「同室の人が優しそうで嬉しいなって」とゲーム通りの台詞を吐くヒロイン。

「…私もあなたみたいな可愛い子が同室で嬉しいよ」

少々迷った末に同じようにゲームの台詞で返した。

今はまだ転生者だという事はバレない方がいい。

「やだ!可愛いだなんて…!」

うん、その台詞もあったね。確か。

きゃっと恥じらう姿はヒロイン補正もかかって大変可愛らしい。

ただ残念ながらあざとさは隠し切れない。つまりはワザとらしい。

この容姿と態度に攻略者たちはコロッと騙されるのか…チョロいな。仕方のないことだけど。

ヒロインがどれだけゲームの台詞を覚えているのかはわからない。

推しのイベントならスキップせずに何度でも見れるものだし、台詞だって一言一句違えず覚えてる強者もいるかもしれない。このヒロインがそうでないとはいえない。

けれど今している会話はチュートリアルなので周回プレイの時は飛ばしてしまえるものだった。

大抵のプレイヤーが飛ばして然るべきイベント。

飛ばさずに見るのなんて久しぶりにプレイする時か、よっぽどこの()自体に入れ込んでいたコアなファンだけだろう。

ぶっちゃけ私自身がそうだったので、記憶がだいぶ朧気なのでヒロインには前者のタイプであって欲しい。

細かいやり取りとか覚えてないんですよ、勘弁してください。

なんでもない風を装い、ゲームの様に寮や学校について説明していく。

同じ新入生だというのに、どうして私はこんなに詳しいのか…そういうキャラだと思って不思議に思わなかった事が今は気になったりしないのだろうか?

なお種明かしとしては身内に三人姉がおり、その中の二人が学園の卒業生で一人が現役の学園生だからであるという単純な理由。

最後に全部姉の受け売りだけどね、と締めくくりオリジナリティをだすがヒロインは気にしない。むしろ話を聞いていたかも怪しい。

ヒロインが気にするのは私が持っている手帳のみ。

うん、大事だよね。

わかる。

でも露骨過ぎる目線だ。

ゲーム上でのヒロインは“セルリア・フォル・オルレンス”が自分から出すまで存在に気付きもしなかったよ。

…とはいえ、ここは今後の私がどんな行動を取るべきかの大事な指針ともなるので


「お近づきの印に私のコレ……」

「ええ、ぜひ!」

「……クションを見せてあげるよ」


食いつきが良くて怖すぎる。

あとそろそろ気付こう。

私、あなたの名前をまだ聞いていないんですよ。

本来なら初対面時にあなたから名前を名乗り、その後に私が名乗ってゲーム概要の説明…という流れのはずですよ?

あなたが名乗らずに話を進めたせいで私も名乗っていないんですよ?

あなたはセルリアをよ~くを知っていても、私は知らない設定のはずですよ?

あとデフォルト名はあれど変更も可だったので違う可能性もあるから名乗って欲しいんですけどね。


「おっと、すまない自己紹介もまだだったね。

私はセルリア“セルリア・フォル・オルレンス”オルレンス子爵の四姉妹の末だよ」

「あ…ごめんなさい。私はユシル・ミラ・コレンス。コレンス男爵の末っ子よ」


仕方なしに私から名乗るとしまったという顔をした後に申し訳なさそうに名を名乗る。なおデフォルト名だった。

これでうっかりとヒロインの名前がでても大丈夫。

変更された名だった場合、うっかりとデフォルト名がでてしまえば怪しまれてしまう。…相手の性格や目的によってはバレてもいいし、その方が楽だし思い出話も出来るしで都合がいいのだが今は保留。見極めなければならない。


手帳の中から取り出したのは五枚の写真ブロマイド

とは言ってもこの世界には写真技術はないので絵を元に木版印刷した、いわゆる浮世絵というものだがサイズは写真サイズである。

描かれているのはデフォルトされた五人の男性――つまりは攻略対象者である。

「ユシルはどの人が好み?」

バラリと床に広げられる五枚のブロマイド。

これがゲーム画面なら五枚のうちから一枚を選ぶ選択画面になる。

どれか一枚を選ぶとセルリアから攻略キャラの軽い説明が入る仕様となり初見さんに推しを決めてもらう形になる。

ここで選ばれた人がオープニングイベントで一足早くヒロインと出会い、好感度も多少だが上がるというもの。

ただし、周回プレイしたものだけに許される隠しコマンドが一つある。


「ごめんなさい、選べないわ」


はい、きたー!

やはりというべきか隠しコマンドを迷いなく選んできたよこの似非ヒロイン!

一周目なら単純にセルリアの好感度が上がるだけなのだが、攻略キャラ1人以上のトゥルーエンドを迎えた後の周回プレイとなると話が変わってくる。すなわち逆ハールートの解放である。

「そっかー…ユシルさんて、こういうのには興味ない?」

「興味ない…というか考えられないの。今は新しい生活の事で頭がいっぱいで…」

うんうん、この会話にも既視感を感じるわー。まんまゲームの台詞ですからねー。

ちなみにここも選択肢がでるシーン。

似非ヒロインが答えた「興味ない」は僅かながら全ての攻略キャラの好感度が上がります。他の選択肢としては「みんな素敵すぎて選べない」という如何にも好感度が上がりそうな選択肢があるが罠である!実際には全ての攻略キャラの好感度が僅かながら下がるというもの。

逆ハーエンドを迎える為には好感度がかなりシビアに設定されているので、狙っているのなら絶対に選んではならない爆弾である。

ちなみにもう一つは「まだ早い、まずは勉強を頑張らないと」というものでこれは好感度の上下はない。

しっかし恐ろしいなこの女、迷いなく逆ハールートを選んできたよ。

ゲームと同じ世界ではあるけれど、同時にこの世界は私たちにとって現実だよ?

たかだか学園生活の1年の為に尻軽と噂されれば貴族世界で良縁に結ばれる可能性は落ちる。

ゲームでは逆ハー後のエピソードなんてせいぜい数か月後までしか描かれていない。それはその後も逆ハー状態を維持するのは難しいという暗示でもある…と私は思っている。

攻略キャラは王太子を始めとした将来の国の重鎮。

彼らが信頼で結ばれている事は国にとっても良い事。…なのに女一人に全てを台無しにされるというね。

みんなで共有できればそれはそれでハッピーエンドなのだろうが、貴族がずっと独身というのも醜聞が悪い。

二人いる跡取り息子は結婚して子供を作るという責任も同時に背負っている。

しかしヒロインは一人しかいないのだから、当然結婚できる者は一人だけ。

数年、逆ハーを楽しんだ後にとりあえず王太子というシナリオを描いてそうだな。と男を悉く虜にしていく笑みを浮かべるヒロインを見て思った。


なお、誰も選ばなかった場合のオープニングイベントは自動的に王太子になります。



ブクマ、感想など大歓迎です!

モチベーションアップに繋がりますのでよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ