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マリウスさんのおじい様は、
「マリウスの婚約者なら、身内も同然。クレアと呼ぶからな。私のことは、おじい様と呼んでくれ。クレアとの婚約を報告しないとな。瞳の事は伏せて伝えるから大丈夫だろう。あと、護衛も考えないとな。何かあったら、遠慮なく言うんだぞ?」
「でも、マリウスさんのおじい「ジョバンニでもいいぞ!」・・・」
はぁ。呼ぶまでゴネそうな感じがするので仕方ない。
「ジョバンニさん、でいいですか?」
「あぁ、可愛いなぁ。今度、一緒に出かけような。楽しみだなぁ。連れて帰りたいなぁ。やる事があるから帰るが、また会いにくるからな!クレア、マリウスを頼むな。」
ルークさんを連れて帰っていきました。
ロンドさんも、
「僕は、ギルドに戻るね。急ぎの用事があれば、持ってくるよ。」
と、戻って行きました。
2人になると、ふぅーとため息をついてしまいます。
「すまないな。いきなり婚約なんて話になって。驚いただろう。嫌なら結婚しなくていいんだぞ?クレアが成人するまで、仮の婚約者でも構わないんだ。心配しなくても、ちゃんと守るから安心しろ!」
「んー、嫌じゃないから大丈夫よ?マリウスさんこそ、好きな人できたら、他の人からじゃなくマリウスさんの口から直接教えて下さいね?約束よ?」
「わかった。ところでクレアは、今どこに住んでるんだ?」
「森の中だよー。」
「森の中って、野宿か?」
「違うよ。ちゃんと家に住んでる。」
「森の中じゃ、守れないな。ここで、一緒に住まないか?俺か、ロンドがいるから、安全だぞ?」
「うーん、嫌とかじゃないんだけど・・・ちょっと急すぎて・・・」
(フェンリルの事とか言えないし、どうしよう)
「そうか、じゃあ、準備ができたら引っ越してくればいい。」
「んー。ねぇ、マリウスさん。マリ・・ジョバンニさんから、もらった布で何か作ってほしいものある?」
話題をかえます。
「そうだなぁ。特に思いつかないなぁ。思いついたらでいいか?」
「ん。わかったー。」
(2人で出かければいいと言っていたけど、デートするって事だよね?前世でも、高校に入学したばかりだったしね、彼氏なんていたことないからなー。好きな男の子もいなかったから、どうしたらいいのかわかんないんだよねー。でも、私と出かけて婚約者に見えるかな?)
「マリウスさん、はたからみたら、私達って婚約者に見えないと思うの。どうしたらいいのかもわかんないし。ただ、これからお互いの事を知っていけたらと思うの。だから、いろんな事を話そう?好きな色とか、食べ物とか何でも・・・ダメかな?」
「ダメじゃないぞ!俺達は、知り合ったばかりだからな。お互いを知る事は大切だし、周りにもわからせないといけないから、一緒に出かけよう。困った事とかあったら、言ってくれ。」
「そうですね。頼りにしてます!」
「あぁ。」
いつもは、無愛想な顔だけど、フッと笑ったときは優しい顔になります。
なんで婚約者がいなかったんだろう?
お昼をすぎていたので、2人で食べに行きます。
本当は、作ろうと思ったけど、何も無かったんだよねー。
ロンドさんと2人、食事は食べに行くだけで、家で作らないって・・・
婚約者だから、手を繋ごうと言われて、
なるほど、それもそうだねと、繋いで歩いたけれど、仲の良い兄妹にしか見られない。
とほほ・・・
マリウスさんが、よく行くお店でランチして、野菜や、パン、お肉、調味料、フライパンにお鍋、包丁を買って戻ります。食器はあるそうです。
なぜ、食器だけあるのかなぁ?
男の人って不思議ねー。
戻ったら、スープを多目に作ります。
男の人だから、お肉はステーキとかのほうがいいだろうけど、自分で焼けるかなぁ?
「マリウスさん、お肉は自分で、焼けますか?
食べる時に、焼いた方が温かいお肉が食べられるし、冷めてたら美味しくないでしょ?」
「あぁ、肉を焼くくらいはできる。冒険者をしていた時は、肉を焼いて食べてたからな。」
「じゃあ、肉は食べる時に焼いてね?パンと、スープは温めればいいし、サラダは食べる時に、コレかけて食べてね。」
「これは?」
「ドレッシング?んーサラダを美味しく食べるタレ?みたいなものかな。味がないと、食べにくいでしょ?好みじゃなかったら、無理しなくていいからね!」
「わかった。食べるのが楽しみだ。」
「ロンドさんと仲良く食べてね!じゃあ、帰るね。」
「送って行こう。」
「森の入り口まででいーよ。森の中は、安全だから。」
「いや、家まで送る。」
「ありがとう。でも、入り口までだよ。私は、大丈夫だから、マリウスさんも気をつけてね?」
森の入り口まで、話しながら歩きます。
入り口についたら、
「ありがとう、マリウスさん。気をつけて帰ってね!」
「本当にここでいいのか?」
「うん、大丈夫だから。ありがとう。また、明日ね!」
「あぁ、気をつけてな。」
手を振って別れます。
婚約したこと、これからどうしたらいいのか、
フェンリルと話さなきゃ。
森から離れても大丈夫なのかなぁ。