まどろみ
ぼんやりとソファーに腰掛ける
昼の柔らかな日差しが
レースのカーテンを透かして降り注ぐ
開いた窓から不意にそよぐ
冷えた風がレースを揺らす
むき出しの手足を擦らせて
あぁ寒いなと身を震わせる
何処かの家からかすかに響く
ピアノの拙い旋律が心を揺らがせ
切なさが日差しを忘れさせる
投げ出していた手足を縮め
毛布をずるりと引っ張り出し
ソファーの上でくるりと丸まる
麗らかな秋の真昼間だというのに
凍えて死ぬようだとふと思う
ふと鼻を掠めるもの
パンを焼いた時に漂う
甘く柔らかな
そして食欲をそそる香り
あぁこれを食べて死ねたらなぁ
どうしようもないことを思いながら
うつらうつらと日差しを浴びる