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蔵書一万冊を多分超えるであろう元書店員のお勧めマンガ  作者: 草野猫彦


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その十六 なるたる -骸なる星珠たる子-  鬼頭莫宏 講談社

趣味全開。

 はい、きました。私の性癖を把握している人は、この作者の作品が出るであろうことを予想していたと思います。

 まずこの人の作品に特徴的なことは、圧倒的な中二病思考。

 味方にも敵にも、自分の正義や規律を持つ、圧倒的に個性的な人物が登場します。

 そしてもう一つはグロ。

 健全ロードバイク漫画の「のりりん」でさえ、いつ登場人物が事故って死ぬか、戦々恐々としていたものです。


 この方の代表作はなるたると、もう一つはアニメ化までした「ぼくらの」でしょう。

 両者に共通するのは、とりあえず圧倒的な殺戮量。

 一億や二億という程度ではない虐殺、あるいは死の認識さえないほどの瞬間的な死が散らばっています。

 それに殺し方もえぐい。味方であっても容赦なく殺すし、むしろ敵の方があっさりと殺されたりします。


 この人の作品は、才能ではなく情念で生み出されているものだと感じます。

 主要な登場人物はきわめて人形的な華奢な体躯で描かれ、肥大した自己とは対照的な外見をしています。

 天才ではなく秀才でもなく、奇才とか異才、あるいは化物と呼べるような作家。それがこの作者です。


 それにしても「ぼくらの」の主題歌は良かった……。


 この人の作品を、高校生以下にはあまり勧めません。

 むしろハマるのはその年代の人だと思うのですが、個人的な経験からも、もう少し大人になってから読んだ方がショックが少ないだろうと思うのです。

 でも、私は読んじゃいました。私の作品にはセーラームーンやエヴァの影響が強いのですが、この作品も同じぐらい強い影響を与えています。

 もちろんちゃんと薄めていますけどね。


 世界の破滅を望み、そのくせ一つまみほどの希望を残す作家。

 そんな作品を求める人にはオススメですが、そもそも絵が合わない人もいるかもしれませんね。

 ヴァンデミールの翼なんかから読むと、この絵柄じゃないと表現出来ないだろうとも思うのですが。


 それでは、次回も同じアフタヌーンコミックから取り上げようと思います。でわでわ。

個人的には「ぼくらの」とどっちにするかかなり迷いました。

そういや知り合いに貸して、途中からどっかに行っちゃったんですよね…。

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