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蔵書一万冊を多分超えるであろう元書店員のお勧めマンガ  作者: 草野猫彦


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その十一 町でうわさの天狗の子  岩本ナオ 小学館

なんか…ブクマ数の割には妙にユニークアクセスが多いんですけど。なんだこりゃ?

 ありゃ、珍しく普通にメジャーどころを持ってきたな? と思った人も多いでしょう。確かにこの作品、ある程度進んだところで小学館漫画賞取ってるし、作者は次の中編ではこのマンガがすごい!で一位取っていましたからね。

 でもね、私が持ってる単行本は、全て初版なのですよ。

 つまり有名になる前から、この作品には目をつけていたのですよ! ちなみにちはやふるも全て初版だよ! つーか末次さんはよくあそこからカムバックできたね!


 少し話はずれましたが、私は当然のように、面白いマンガを日々探しては新刊台の周囲をうろつき、発売表からも目新しいタイトルを物色しているのです。それはもう、涎を垂らした野獣のように。

 その中で琴線に触れた作品の一つが、この作品でした。絵柄は煌びやかなものではありませんが、ストーリーとネーム、台詞回しが独特で、作者ならではの作品を描くのです。

 主人公の女の子は、可愛いけど可愛すぎない。普通に見えるけど普通じゃない。

 側溝に落ちた軽トラを軽く持ち上げてしまう、天狗とのハーフの女の子。でも怪力以外は普通の人間の感性。


 周囲のキャラは、ねぎみたいな頭の金田一さんとか、マジ美人の赤沢ちゃんとかいるけれど、それぞれにちゃんと個性と人格を感じます。

 中盤以降は天狗という自分の血と向き合う展開もあるのですが、そこにあるのは悲壮感ではなく、ただこの世界の道からわずかにはみ出た感覚。

 短編においてもこの作者は自分の作品の持つ空気を、ページに映し出しています。

 雨無村も合わせて買っていたので、昨今の私にしては珍しい、作家買いの作者です。


 少女マンガなので恋愛展開ももちろんあるのですが、この方の描く作品は、どうもそれが主題ではないと感じます。

 既に代表作と言える作品を発表しているにも関わらず、私はこの人にまだまだ伸び代というか、成長の余地があると感じるのです。

 生意気な批評家気取りかと自分でも思いますが、つまりこの作者の力量の底が、まだ見えないのですね。


 次の作品も既に連載しており、8月には第一巻が発売されます。

 皆さんもこの方の作品を読んでみませんか? そしてこの人の作品はこう解釈すべきだ! などという意見を聞きたいです。


 いつの間にか世の中の売れてる作家さんと同年代か、やや上になってしまった私ですが、マンガに関してはかなり青年よりの感性を持っていると思います。

 若者たちよ。おっさんにマンガを紹介しておくれ。そして語り合おうではないか。

おっちゃんだけマンガ紹介するの寂しいので、なんか紹介してください。

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