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「あぁついに栄子も痛感しましたかぁ・・」
30過ぎて仕事一筋できた私にとっての楽しみは、同い年の友人とのランチや飲み会だ。
「痛感・・貫通・・ボロボロですわ」
橋本真美とは、高校からの友人。
一緒に合コンに行った事も、婚活パーティーに行った事もある。
「あの頃はさぁ2人で男のことなんて鼻で笑い飛ばしてたのにねぇ」
本当だ。
私たちの栄光時代は、さえない男に会えば思わせぶりな態度をとって楽しんだり、面白がってばかりいた。
「ねぇ、まみ!何なの?あの、君は戦力外なんだよっていう空気は!」
「・・恐怖だよねぇ。みんなが盛り上がっているのに、自分の場所だけ氷点下なの。空のジョッキに囲まれる感じ・・」
私は頭を抱える。
「怖い。怖すぎる・・こんなはずじゃなかった・・・」
「甘いよ、栄子。これからなんだよ」
真美が戦士のように、フライドポテトをフォークで突き刺す。
「あたしたちの扱いなんて、これからどんどん急降下する一方なんだよ」
「きゅ・・・急降下??」
「身一つで、激流に飲み込まれていくんだよ」
それはまるで、今まで馬鹿にしてきた自分たちへの罰のように襲ってくる。
逃げ切れるはずがない。
この環境を変えない限り。