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7月7日(火)22時ジャスト。
今日は記念すべき、私、片宮栄子(32歳)の30回目の合コンだった。
結果?
えぇ。そりゃもぉ・・・
「片宮さんって、1人でも生きていけそうな空気醸し出してるよねぇ!」
「俺、上司にいたら絶対声かけらんないわぁ」
「強そう。生きる力っつーの?」
何なの?生きる力って。
髪型ばっか気にしているあんたらに、生きる力があるわけ?
こういうのを「惨敗」というのだろうか。いや「地獄」?
とにかく、この空間に私のことを女の子として扱ってくれる男はいなかった。
それもそうか。
20代前半の後輩たちに無理やり連れてこられた合コンだ。
30代の私の立場なんて、あるはずがないのだ。
「30代の男性もいますからぁ!!」
という甘い罠にかかった自分が悪い。
苦笑いと曖昧な返事を駆使し、私は今、何とかこの地獄から脱出してきた。
本当に、世の中は残酷だ。
少し前までなら、合コンに行けば「若い」だの「可愛い」だのと、ちやほやされてきた。
私は男側を選び、誘いに乗ったり、時には邪見にも扱っていた。
それがどうだ?
30という巨大な壁ができた途端、選ぶ側から選ばれる側へと転換する。
あっという間に・・・
あの頃の輝いていた自分が蜃気楼のように消え、気が付けばそこは砂漠一色。
誰か、水を・・
喉が・・乾く・・・
誰もくれない。
もう、誰も与えてくれない。
30過ぎたら女は、自分からオアシスを探しに行かねばならぬのだ。
20代の頃、先輩たちが話していた意味をやっと理解する。
「早いとこ彼氏作っておいた方がいいよ!」
「あっという間なんだからねぇ」
やっと理解した頃には、私は
「1人で生きていけそうな女」カテゴリに入れられていた。