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迷宮の街 その3

 さて、全員朝食も食べ終え、後はクルトさんが迎えに来てくれるのを待つだけとなったのだが。何とも見計らったかのようにクルトさんが迎えに来る。

 迎えにきたクルトさんに連れられ、自分達は再びヨアキムさんの店を訪れる。


「おぉ、皆、おはよう」


 店に着くやヨアキムさんが自分達を出迎え、ヨアキムさんへの挨拶を終えると自分達は着替えるべく店の休憩室へと向かう。

 全員が着替え終えると、昨日と同じく出張営業の二日目が始まる。

 二日目ともなると、何となく要領と言うものが分かってくる。とは言え、まだまだ効率がいいとは程遠い。


「はぁ、疲れた……」


 それでも出来る範囲で頑張り、何とか本日二日目の営業も無事に終了を迎えた。

 筋肉痛と言う事はないが、それでも精神的な疲れから来る体の疲れを癒やすべく、着替えを終えた自分達は休憩室の椅子に腰を下ろしていた。

 とそこに、クルトさんがやって来た。


「皆、今日もご苦労さん。さて、出張営業も明日の残り一日となった訳なんだが、その前に言っておきたい事がある」


 労いの言葉をかけた後に、クルトさんは一息ついてからある事実について話し始めた。


「実はな、予想以上に商品の売れ行きが良くてな。それは嬉しい事なんだが、そのおかげで明日の分の商品の在庫が無くなっちまってな」


 クルトさんの話によれば、どうやら三日間の予定で持ってきた商品がこの二日で底をついたらしい。よって、明日は休業する事を決めたのだとか。

 そして、その流れを受けて自分達は明日、一日自由行動して良い事に。

 本当は予定を繰り上げて明日、王都に戻る事も考えたらしいのだが。折角ポトの街にまで来たのだからと、自由行動を許可する事にしたのだとか。


「そうだ。ヨアキムの奴が言ってたが、ポトの迷宮は駆け足で行くなら第九階層辺りまでなら一日もあれば満喫できるらしい。ま、隅から隅まで一階層ずつ調べていくなら一日じゃとても足りないがな」


 その後、街を見物するよし、全てはお前達の自由だ。と言い残すと、クルトさんは言いたい事を言い終えたのか休憩室を後にした。

 残された自分達は、明日の突然の自由行動にどのような予定を立てるかを話し合う事にした。当然、その中で候補の一つにポトの迷宮は出てくる。


「やっぱり折角来たんっすから、ポトの迷宮に足を踏み入れない手はないっすよ」


「ん、そうだな……」


 レオーネはポトの迷宮に行く事を強く希望しており、カルルも興味を持っているようでレオーネの意見に賛同している。

 レナさんも、街の観光もいいが折角来たのだからと、どちらかと言えばポトの迷宮行きに賛同の意向だ。

 ま、自分としても街の観光を強く希望している訳でもないので。話し合いの結果、明日の予定はポトの迷宮に行くことに決まった。


 明日の予定が決まった所で宿屋に戻る事に、既に道は覚えているのでクルトさんに案内してもらう事も無く無事に宿屋へと到着する。

 宿屋に着くと食事処で夕食を食べ、食べ終えると明日に備えて早めに就寝する事に。

 普通に就寝しますよ、ベッドに横になり後は目を閉じるだけ。それ以上何をすると言うのか。



 翌朝、ベッドから起き上がると伸びをして準備を始める。準備を終えると、レナさんと共に部屋を出て食事処に行こうとする。

 と、丁度同じように部屋から出てきたレオーネ達と共に、全員で食事処に行く事に。

 食事処に到着すると朝食を食べ、朝食を食べ終えると宿屋を後に迷宮に備えて必要と思われる物を商店で買っていく。


 こうして準備が整うと、いざポトの迷宮を目指す事に。

 と言っても、始めて来た場所なので当然ながら土地勘がなく。行き交う人々に尋ねて道を教えてもらうと、次こそポトの迷宮を目指して歩き始めた。



 自分達がやって来たのが北門と異なり、迷宮が近い為かやや守衛の数が多い東門を抜けやって来たのはポトの迷宮。

 まさに街の目と鼻の先と言わんばかりに近い距離に在ったポトの迷宮は、長年の間に整備されたのか。迷宮の出入り口はまるで観光名所の如く石造りの門や階段などが見られる。

 更にその周辺には、迷宮に入る或いは出た者を狙って行商人等商人が出店を展開し、客引きの声があちらこちらから聞こえてくる。


「凄い賑わってるっすね」


「有名所だからだろうな」


 そんな迷宮の出入り口付近を抜けると、いよいよ石造りの立派な門構えである迷宮の出入り口を潜る。

 ポトの迷宮の第一階層、に足を踏み入れた自分達ではあったが、そこで目にしたのは予想とは異なる光景であった。

 広い空間の中に広がるのは、木製の小屋や建物など、迷宮の中とは思えぬ生活感に溢れた光景であった。


「あれ、俺達って迷宮に入ったんっすよね?」


「あ、あぁ。その筈だけど……」


 一体何がどうなっているのか分からず呆然としていると、同業者らしき者達が声を掛けてくる。


「おいおい、そんな所で立ち止まってると邪魔なんだが」


「あ、すいません」


 その声に我に返ると、慌てて道を開ける。とそこで、恥を忍んで彼らにこの状況の簡単な解説をお願いする。


「何だ、ポトの迷宮に来たのは初めてか? なら驚くだろうな。ここは他の迷宮と違って第一階層は隅から隅まで探索が終わって安全も確保されてるから、道具屋や宿屋なんかが第二階層以降に行く連中を相手にここで商売をしてるんだよ」


 どうやら少しでも他の店よりも客を集めようと鎬を削った結果、この様な光景が誕生したのだとか。

 商人魂恐るべしと言うか、何と言うか。

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