アウラ、くんかくんかされる
アウラとエリーはカルナザルへ到着した。
城塞都市カルナザル。
人口約13000。
この国ー
フェニルア王国の北部の街である。
北から南、王都に向かって流れる河と東西に広がる森に囲まれた街。
河川によって発達した水運により物流も活気があり賑やかな街であった。
東西の森にはモンスターも生息しているため、これらを狩る冒険者の街としても有名である。
またこの街の領主が擁する騎士団はフェニルアでも屈指の強者揃いであり、国内最強と名高い。
街は中央に大きな広場を中心に放射状に区画されている。
河近くに水門を設けた商業区、それを挟む形で居住区があり商業区の対面には施政区と高級居住区がある。
広場の中央から高級居住区に伸びる道、その突き当たりに佇む城。
アウラはその城の中に居た。
「さあ、アーちゃん、私の家族を紹介するわ!」
ちょ、エリー!
いろんな事すっ飛ばしすぎだよ!
「父上。」
「うむ。私がエリザベートの父、ダカンだ。」
「母上。」
「あらあらまあまあ、かわいらしい従者だこと。エリザベートの母、マリアよ。よろしくね、アウラちゃん。」
皆さんニコニコしてらっしゃいますが‥‥
人族の偉い人たちですよね?
「あ、あうらでしゅ、よろちくおねがいしましゅ‥‥」
「アーちゃん、こちらが姉上よ。」
「‥‥」
ひゃっ?!
見られてます。ガン見です。怖いです!
「か‥‥」
な、なんでしょう?
「かわいいー!」
ひゃあ!
いきなりハグされました!
ほっぺをスリスリされてます!
あ、でもなんだか気持ちよいです。
「姉上!アーちゃんは私の相棒です!私の許可無くハグは禁止です!」
「えー?エリーだけずるい。こんなに可愛い子、独り占めなんて‥‥スンスン。アーちゃん、あなた‥‥」
「あぅ。くしゃいでしゅか?きのうはみじゅあびしたのでしゅけど‥‥」
今日はいろいろあって汗かいてるから!
私はこれでも綺麗好きなエルフなのですけど‥‥
「ううん。いい匂い。バラ?の香りがするわ。」
「ええ?どれどれ?」
「あらあらまあまあ。」
「ほほう。ふむ。」
ああ!みなさんにくんかくんかされてます!
なんなんでしょう、この状況?
「えっと、みなしゃん。しょれはこれのかおりだとおもいましゅ。」
草の鞄から取り出したのは薄茶色の固形物。
「アーちゃん、これは?ひょっとして?」
私の手からひょいっとエリーがさらっていきました。
「あい。せっけんでしゅよ。」
「ええっ!石鹸ですって!」
「エリー、こんないい香りの石鹸あなた知ってる?」
「いえ、知りません!母上はどうですか?」
「あらー。確か以前王都に行ったときに買った事があるわぁ。だけど凄く高かったわねぇ。」
え?そうなの?
「ざいりょうがあればちゅくれましゅよ?ちゅくりまちょうか?」
『是非!!』
うわ!見事な三重奏。
エリーの父さまのダカンさんはただニコニコしてる。
あれ?姉上さまの名前、聞いてないや。