アウラ、葛藤する⑤
遅くなりました。
これからもちょくちょく遅れる可能性があります。
ブクマ数100超えました。
ありがとうございます。
こ、この人がヒーちゃんのお母さん?
うん。よく似てる。
綺麗な人。
でも何故?
あなたはヒーちゃんを捨てたのではないですか!
言い様もない怒りが込み上げてきます。
「ヒルダの義姉よ。私は名乗った。お前は?」
「私の名はアウラです。」
ふとヒーちゃんに目をやるとスヤスヤと眠っています。
幸せそうに。
ヒーちゃんはお母さんと一緒に暮らしたいのかな。
「あなたがヒーちゃんのお母さんだとして!何故今更こんな事をするのですか!」
「我が子を取り戻しただけだ!それの何が悪い!」
「あなたは!あなたはヒーちゃんを捨てたのでしょう!!」
「それは違う!」
え?違うの?
「私の連れ、この子の父親が勝手にしたこと。私は我が子を取り戻しに来ただけだ。」
「仮にそうだとしても!あなたは知っていたのですか?ヒーちゃんの体中には慢性的な打撲による痣があった事を!まさかとは思いますがあなたがヒーちゃんを‥‥」
「断じて違う!‥‥そうか、あのクズめ!私の目が届かない所でヒルダを!」
あれ?あれれ?
ひょっとして。ひょとしなくてもこの人。
本当にヒーちゃんの事、大切に思ってる?
「で、でも!私はヒーちゃんのお姉さんなのです!このままハイさよならって訳にはいかないのですよ!」
「‥‥ふむ。この子の身なりや肉付きを見る限り大切にされていたと分かる。それについては感謝しよう。しかし!」
イメルダさんは短剣を私に向け
「私からこの子を奪う者は全て敵だ。それがこの子の恩人であり義姉であってもだ。」
ヒーちゃんはお母さんと一緒に居るのが本当は一番良い事なのでしょう。
だけどヒーちゃんはあなたの様に戦う事は出来ません。
もし。
もしもあなたがどこかの戦場で朽ち果てたとしたら?
ヒーちゃんはまた独りぼっちになるのですよ。
心ない人に身も心も傷つけられるかも知れません。
多分、イメルダさんのやり方では2人とも幸せにはなれないと思います。
でも。だからこそ!
「もはや言葉ではわかり合えないのですか?」
「愚問だ。白いはぐれよ。アウラとか言ったな。このまま去れ!でなければ‥‥殺す!」
イメルダさんからとてつもない殺気が飛んできます。
無数の斬撃を幻視した私は同じように殺気で迎撃します。
「ほう?それなりにはやる様だ。白いはぐれか、なるほど。」
この人‥‥強い!
「だがお前は我が子とあまり変わらぬ体格。何が出来ると言うのか?ふっ。笑わせる。」
あ、ちょっとカチーンときました。
ですからお返し。
箭疾歩で懐に入り外門頂肘からの形意拳の一技、崩拳。
開いた間合いから連環腿を叩き込みお顔に向けて通背拳。
頭が爆ぜるまでをイメージして殺気を飛ばします。
「ぐっ!」
うん、効いてる効いてる。
「私を小さいと侮らないでください。でないとケガでは済みませんよ?」
私はキャロルさんから借りた2本のナイフを抜き、構えます。
「どうやらその様だ。心してかかろう。」
「もう一度問います。退けませんか?」
「退かぬ!」
‥‥仕方ありません。
なるべく傷つけない様にしないと。
私が傷ついても、イメルダさんが傷ついても。
きっとヒーちゃんは悲しむから。
(お願い。愛し子を悲しませないで。)
精霊さん?
(私に出来る事、ある?)
恐らく本気でいかないとイメルダさんを無力化出来ません。
私がやり過ぎない様にフォロー出来ますか?
(出来ると思うわ。)
分かりました。よろしくお願いします!
「往くぞ!」
イメルダさんの斬撃。
踊る様に、流れ様に繰り出される二つの剣。
私は『纏』で弾きますが飛ばされた反動を利用して再びの剣撃。
身長差による上からの攻撃は圧倒的に私が不利です。
震脚から活歩で一気に後退、仕切り直します。
「ふん。見かけ通り素早いな。だがやり様はある!」
これは時間をかけるとマズイかも。
私はイメルダさんの懐に一気に詰めようとしますが
「それはさっき見せてもらった!」
短剣を突き出され懐に入れません。
ならば。
「イメルダさん。私があなたに勝てば話しをちゃんと聞いてくれますか?」
「はは!万に一つも無い事だが面白い。良いだろう。」
よし!言質はとりましたよ?
「では。アウラ流活殺術が開祖、アウラ。推して参ります!」




