アウラ、葛藤する③
短いです。済みません。
次話ですが少しお時間をいただきまして更新日は5月21日 12時とします。
ヒーちゃんが攫われたですって?!
あり得ませんよ、だってキャロルさんも一緒に居るんですもの。
それに、それに‥‥
「アーちゃん、アーちゃん!」
エリー、大変です。
ソフィー姉さまが私にイジワル言うんですよ?
よりにもよってヒーちゃんが攫われるとか‥‥
「アーちゃん、しっかりしなさい!」
パン!
え‥‥痛い。
エリーに頬を張られました。
「まずは状況確認よ。姉上、キャロルさんは?」
「ヒーちゃんがお世話になっていた店主ね。その方なら命に別状はないわ。」
え‥‥キャロルさんが‥‥
「目撃者はいたのですか?」
「今のところは。けどお父さまが暗部を使って調べてくれているはずよ。」
キャロルさんが‥‥
許せない‥‥
「あ、アーちゃん?」
「姉上、アーちゃんは私にお任せ下さい。引き続き情報収集をお願いします。」
「わかったわ。」
「アーちゃん、大丈夫?」
「なんで?」
「え?」
「なんでエリーはそんなに冷静なんですか!ヒーちゃんが攫われたのですよ?キャロルさんが死ぬところだったのですよ?なのに、なのに!」
「いつでも冷静に。思考を止めない事。」
あ。
‥‥
‥‥‥‥
「落ち着いた?」
「はい‥‥」
そうでした。
私がエリーに常々言っていた事なのに。
「だけどどうすればいいのか分からないわ。姉上からの情報を待つのがベスト‥‥」
「いいえ。すぐに迎えに行きましょう。」
「でも何の手掛かりも無いのに?」
「聞けばいいのです。」
「聞く?誰に?」
「ヒーちゃんの契約精霊にです。」
そう。ヒーちゃんに始めて会った日。
ヒーちゃんの契約精霊の声が私には聞こえました。
だからきっと、私の声にも応えてくれるはず!
いつでも冷静に。思考を止めない事。
今は思いついた事、可能性のあることはどんどん試すべき状況です!
(精霊さん、精霊さん!お願い、応えて!!)
‥‥
ダメ、なの?
(どうしたの?愛し子のねぇね。)
やった!やりました!
(お願いです!ヒーちゃんの所に導いて下さい!)
(それは構わないけど‥‥何故?)
(だって!ヒーちゃんは攫われたのですよ?危険が危ないのですよ!)
(ふぅん。でも愛し子に危険な感じは無いみたいよ?今は眠っているし。)
危険がない?眠ってる?
きっとヒーちゃんがあまりに可愛いので攫ったのですね!
そして眠り薬で眠らせていると。
(お願いします。案内して下さい!)
(わかったわ。手を出して?)
私は言われるがまま右手を差し出します。
何も見えませんが何かに触れられたような‥‥
っ!
頭の中に突然景色が‥‥
ここは‥‥西の森!見覚えがあります!
どんどん景色は流れて‥‥池?湖?
とにかくそこにヒーちゃんが居るのですね?
(‥‥お願い。愛し子を悲しませないでね。)
(もちろんです!私がヒーちゃんを守ってみせます!)
(そう‥‥)
それっきり精霊さんの声は聞こえなくなりました。
「エリー!ヒーちゃんは西の森に居ます!」
「本当?」
「はい!精霊さんが力を貸してくれました!」
「なら早速迎えに行こう、アーちゃん!」
「はい!」
エリーは騎士さんのひとりに次第を伝え、この場を任せます。
騎士さんたちはこの状況をよく分かっていません。
でも流石です。
『マスター・アウラの妹君が拐かされた!我々も西の森へ向かうぞ!』
『馬の準備を!』
『我等は後詰めだ!マスター・アウラが先行する!我等は包囲網を形成、森の入り口からジワジワ詰めるぞ!』
『猫の子一匹通すなよ!』
『よし!支度が出来た者から向かえ!』
『おお!』
皆さん、ありがとう!
必ずヒーちゃんを取り戻してみせます!
そして、キャロルさんの仇をとっちゃいますよ!
身体強化(改)発動!!
「エリー、行きますよ!」
「ええ、アーちゃん!」
私とエリーは二筋の光となって西の森を目指すのでした。




