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はぐれエルフちゃんと剣姫さん~生活魔法も使いよう~  作者: トルク
五章 結成!カルナザルガード
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とある騎士、師匠を語る

ん?俺に話を聞きたいって?

ああ、師匠のことか。


そうだな、これは俺が師匠と師範代に初めて会った時の話しだ。

この出会いを切っ掛けに色々と面白くなっていくわけだが‥‥

まあその話しは追々な。


美しい花には刺がある、なんて言うがな。

可愛いエルフには鉄の肘があるんだぜ?

お前らも気を付けるこった。

おっと、話しがずれたな。

じゃあ続けるぞ。


********


俺は今、城内にある特殊な練兵場にいる。

俺だけではない。


その数50。

その殆どが近衛の連中だが俺の部隊からも数名、他にも顔見知りがいた。


昨日の事だ。


ハウエル騎士団長に呼び出された俺はある推薦を受けた。


特殊部隊の候補に。

名誉な事だ。


しかしひとつ条件があった。

ある武術の修得である。


アウラ流活殺術ー


姫さまが操る術だ。

俺は武強大会で姫さまの試合を見た。


美しい。

その一言に尽きた。


流れる水流の如く攻撃をいなし、一撃で相手を沈める。

ほんの数ヶ月前、数合打ち合っただけで限界だったあの姫さまがだ。

姫さまが変わったのは紛うことなくアウラ流活殺術、そして師匠であるマスター・アウラの所業だろう。


だが‥‥

マスター・アウラはエルフとは言え余りにも幼い。

恐らく俺よりも長い時を生きているのだろうが。

それでも見た目、か弱い幼女があの苛烈な術を編み出したのだ。

俄には信じられない事だ。


噂では姫さまの陰口を叩き逆切れした一般兵士を四肢の関節を全て外し其奴の背中の上でアツアツのステーキを食べただの、同じく無礼な発言をした一般兵士を殺気で失禁させただの。


噂は絶えないがあくまで噂だ。


姫さまは誰もが認める強者となった。

しかしその師匠である幼女エルフの実力を俺は知らない。

そう。

俺はこの目で見た物しか信じない。


いかに強くなれるとはいえ自分より弱い者を師匠と呼べるか?

否だ。


これからマスター・アウラと姫さまによる面接が行われる。

違うな。

俺が見極めてやるのだ。

師事するに価するかどうかをな。



暫くして。


「次の方どうぞ~」


俺の番か。

なんとも気の抜けた子供の声だ。


「初めまして。アウラです。お掛けになってください。」


俺の目の前には姫さまとマスター・アウラがいる。

薦められるがまま、俺は椅子に腰掛けた。


マスター・アウラ。

プラチナブロンドに透き通る様な白い肌。

背丈は俺の腰くらいか。

兄貴のところのガキと同じくらいか?

エルフだけあって美形だ。

将来、と言っても後数十年後か。

絶世の美女となるやもしれん。


「ではあなたに幾つかの質問をします。答えても答えなくてもいいです。」


答えなくてもいい?

意味が分からない。これは面接、試験だろう?


「では最初の質問です。ここは戦場。傷ついた民と仲間がいます。状況的に助けられるのは一人。あなたはどちらを助けますか?」


なんと言う質問をするのだ。

我々は民の剣であり盾。

民を護るのは当然の事だ。

しかし仲間も大切だ。


仲間を見殺しにし、民を救う。

これが最良の答えだろう。

いや。

本当にそうか?


民を見捨て仲間を救えば救った仲間がより多くの民を救うかも知れない‥‥


いや。これも違う。

こんなもの、答えなどあるのか!


「答えられませんか?ならば次の‥‥」


助ける。

両方とも、助ける!


「はい?」


状況的に一人しか救えないのなら、その状況を覆して二人とも助ける!


「なるほど。分かりました。では次に。」


‥‥無茶苦茶だぞ?答えになっていない。いいのか?


「敵の前衛に人の盾、つまり人質を取られた状態で睨み合っています。ちなみに人質は獣人の子供です。あなたが指揮官ならどうしますか?」


獣人の子供か。

本当に嫌な質問をしやがる。

獣人ならその命は軽いと思っているのか?

ふざけるな!


俺は答える。


一旦前線を後退させ、その間に救出部隊を編成。更に別働部隊を陽動に向かわせ、その隙に救出部隊を投入。

救出後に前線を押し上げると同時に他にも人質がいないか斥候に調べさせる。


「なるほど。では次です。」



それから幾つかの質問をされ、俺はそれに答える。


なんなんだ?一体。

俺はこのエルフの幼女を試すつもりだった。

なのに完全にこちらが試されている。

俺は自分の浅慮に歯噛みした。



「では最後の質問です。」


ああ、やっと終わるのか‥‥


「あなたはエリー‥‥エリザベートさまをどう思われますか?例えば可愛い、結婚したい!とか。」

「ちょ‥‥アーちゃん何言ってるのよ!」


‥‥は?


「ですからぁ、あなたはエリーが好みのタイプですか?それともソフィー姉さまですか?」


あ、いや‥‥その


「もうやだ‥‥クスン。」


ひ、姫さまが泣いている!

これはイカン!


じ、自分は身の程を知っております!

憧れはしますがけ、結婚などとはとても!

姫さまは自分が護るべきお方であります!


何を言ってるのだ俺は。

くっ。

目の前のエルフがニヤニヤしてやがる。

バカにしやがって!


俺が怒りで立ち上がろうとした時。


「この程度で心を乱してどうするのですか?」


ぞくり。

背筋に冷たいものが走る。

今までニヤニヤしていたエルフの落ち着いた声に乗って俺に叩きつけられたのは殺気だ。

目に見えない無数の攻撃が俺に襲いかかってくる。


俺は思わず椅子から転げ落ちる。

が、慌てて座り直す。



「あら?耐えましたね。」

「クスン‥‥凄いじゃない、何人目かしら?」

「5人目でしょうか。」


なんだと?

これも試験の内なのか?

油断させといてこれか。

噂通りの人物なら合点がいく話だが。



「以上で面接を終わります。ありがとうございました。」


俺は一礼して部屋を後にする。

しかし先ほど当てられた殺気に俺の足は未だガクガクだ。


恐るべき幼女エルフ!

恐るべき姫さま!


この数日後、またまたとんでもない体験をし俺は自らの浅慮と無自覚さ、力不足を痛感する事になるのだが‥‥




********



これは俺がこの世で最も信頼し、最も尊敬する最高の師匠、マスター・アウラと初めて会った時の話しだ。


いいか、お前ら。

見た目で判断するなよ?


ちっさいからって舐めてると‥‥



師匠の肘が鳩尾に突き刺さるぜ!

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