アウラ、お願いされる
ヒーちゃんが私の妹になって7日が過ぎた頃。
「そろそろ夏も終わりですねぇ。」
「あはは。アーちゃんお婆さんみたいよ。」
「ねぇね、おばーしゃん?」
私とエリー、ヒーちゃんの3人はお庭でまったりタイム中。
「むぅ。お婆さんはひどいです。」
「あはは、ごめんね?」
「ごめんなしゃい?」
ヒーちゃんはよく分からないで謝ってますね。
かわいいので問題ありません。
「冬がくる前にマルンを取りに行かないといけませんね。」
「え‥‥マルンなんてどうするの?」
エリー、凄く嫌そうな顔ですけど?
マルンとはトゲトゲの木の実です。
トゲトゲの中には種が4つ入っているのですがこれを食用とします。
地球でいうところの栗、マロンですね。
「もちろん食べるのですよ!」
「ウソ!あんな渋い木の実を?私には無理!」
ああ。なるほど。
調理方法が確立してないのですね。
エルフの里では普通に食べてましたけど。
「エリー、ちゃんと調理すればとっても美味しいのですよ。しかも!あまーいデザートにもなるのです!」
「え!‥‥デザート?」
「ねぇね、わたちもたべたい!」
最近のこの2人は甘味に目がありません。
デザートというキーワードには特に敏感です。
「分かりましたよ。じゃ今度みんなでマルンを採りに行きましょう。」
「あい!」
またまた『ライブラリー』にお世話になりましょう。
風が気持ちいい木陰でのんびり。
私は読書を。
エリーは剣の手入れ。
ヒーちゃんは絵本を読んでいます。
ヒーちゃんはまだ字が読めません。
だから絵を見て楽しんでいます。
ソフィー姉さまが先生を買って出てくれましたので明日からお勉強が始まる予定です。
「ねぇね、おひめしゃまはしあわせになったのよね?」
「うん?そうね、王子さまと末永く。」
「いーなー。わたちもしあわせになれるかなぁ。」
「王子さまはいないけど今はねぇねとエリーお姉さんがいるよ。」
「あい!ソフィーおねーしゃんも!」
楽しい午後のひとときでした。
そんな時でした。
「やあやあ、こんな所においででしたか。」
騎士団長のハウエルさんです。
「ハウエルおじさま?何か御用でしょうか?」
「ああ、エリー。マスター・アウラ殿に少しな。」
私に?
どんな御用でしょうか。
「ハウエルさん、こんにちは。」
「こんにちは!」
「相変わらず可愛らしい姉妹だね。こんにちはアウラ殿、ヒーちゃん。」
可愛らしい姉妹だなんて!
ハウエルさんお上手ですわぁ。
「それでハウエルさん、私に用事とは?」
「ああ、それなのだが。ダカ‥‥領主さまと相談した結果なのだがね、アウラ殿に練兵をお願いしたいのだよ。」
「‥‥私はエリーだけの師匠です。」
「承知している。」
「それにアウラ流活殺術は護りの術です。」
「だからこそなのだ。」
どうしたものでしょうか。
ここでは回答出来ませんね。
ダカン父さまやみんなと相談したいです。
「‥‥少し考えさせて下さい。」
「分かった。良い返事を期待しているよ。」
ハウエルさんはヒーちゃんの頭を撫でて去っていきました。
「エリーはどう思いますか?」
「‥‥アーちゃんが私だけの師匠じゃなくなるのは嫌だなぁ。」
あ、久しぶりの上目遣いきました。
「でも領の為に戦力が上がるなら‥‥」
そうですか。
まだ判断に迷いますね。
「ねぇね、なにしゅるの?」
「えっとね、騎士さんたちの先生になってほしいってお願いされたの。」
「ねぇねしゅごいねぇ。」
ヒーちゃんに誉められました!
「ねぇね‥‥わたちもちゅよくなれる?」
おや?ヒーちゃんどうしたのかな。
「わたちがちゅよくなればおかーしゃん、むかえにくるかな?」
!
ヒーちゃん、まだお母さんのこと‥‥
「そうだね。でもまだ早いかな?もっとご飯いっぱい食べて元気になったら教えてあげましょう。」
「ほんと?やくしょくよ?」
「はい。ねぇねとエリーお姉さんが教えてあげますよ。」
スクッと立ち上がるヒーちゃん。
からの
「ねぇねだいしゅきー!」
ダイビングハグです!
おふ!
咄嗟の身体強化がなければ私も潰れるところでした!
「いーなー‥‥アーちゃん。」
エリー、仲間はずれにはしませんよ?
「ヒーちゃん、行くよ!それー!」
「きゃー!エリーおねーしゃんもだいしゅきー!」
エリーに向かってダブルダイビングハグです!
私たち3人は芝生の上を転がり回ります。
「あらあらまあまあ。」
「あー!3人だけでズルイわ!わたしもー!」
マリア母さまとソフィー姉さまの登場です。
それからみんなで芝生の上、お茶したりおしゃべりして楽しい午後を過ごしました。




