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はぐれエルフちゃんと剣姫さん~生活魔法も使いよう~  作者: トルク
閑話 ダークエルフははぐれない
47/72

母、巻き込まれる

閑話ラストです。


次回から新章スタートします。


できるだけ毎日更新で頑張りますが基本隔日更新でお願いします。



ここからカルナザルまでは徒歩で五日程度。

夜通し駆ければ二日とかかるまい。


私は必要な荷物を用意し、住み慣れた家を放棄する。

旦那と、いや。

元旦那とともに。


ああ、これは忘れてはいけないな。

このブランケットはヒルダのお気に入りだった。


このブランケットでヒルダを包み、後ろから抱きかかえるのがヒルダも私も気に入っていた。

‥‥早くあの子を抱きしめてやりたい。


ダークエルフの集落は拠点の趣が強い。

請われれば戦場、モンスター狩りなど荒事主体の仕事に出る為。

住処、故郷と言う認識は我らにはない。


今夜は月明かりもない。

が、私は躊躇しない。

直に目も慣れる。


私は身体強化を施すとカルナザルへ向け駆け出した。




夜が明ける。


疲れはないがもう少しで街道に出ると言うところで厄介な相手と対峙する。


オーガだ。


3匹のオーガが商人らしき馬車を襲っている。

人族の冒険者4人が護衛として随行していたのだろうが2人は既に事切れている様だ。


私には関係のない事。

厄介事は避けるべきだ。

早くあの子の元へ私は行かねばならないから。


その時だった。


馬車の幌から顔を覗かせた人族の子供。

背格好はヒルダと同じくらいの娘だ。


‥‥ダメだ!

私は早くあの子の元へ!

怯える娘と目が合う。

‥‥ええい、クソ!


私は短剣をふた振り抜くとオーガに向けて走り出した。


「だ、誰だ!」

助太刀する。お前は馬車を守れ!


「すまん!」

冒険者はオーガの攻撃を捌きながら馬車を守る。


さて、仕留めるぞ。


私は身体強化を施すとオーガの懐に飛び込む。

まずは一太刀浴びせる。

が、さすがはオーガ。かすり傷か。


ならば。


私は突進してくるオーガの殴打を躱すと同時に左側に抜ける。

その抜けざまにオーガの左耳に短剣を根元までねじ込んだ。

オーガはビクンと大きく体を震わせるとその場に倒れる。


まずは一匹。


短剣を回収し馬車に向かう。


冒険者が2人、それぞれオーガと戦闘中だ。

私は短剣をしまい、短弓を取り出す。


狙うは目玉。


つがえた矢は2本。


ドシュ


2匹目のオーガの片目を射抜く。

オーガは痛みに悶えるが冒険者はそのチャンスを逃さない。

口内に槍を突き刺し止めをさす。


残る一匹。


善戦していた冒険者だがここで力尽きる。

オーガの拳撃を頭に受け、その頭は消失した。


「ジャン!クソぉ!!」

生き残った槍使いの冒険者が最後の一匹に挑む。


私は矢を特別な物に変えた。

この鏃は返しがない物だ。

速度と貫通能力を高めた鉄の鏃。


ブシュッ!


私の放った矢はオーガの眉間に突き刺さる。

だがオーガはまだ倒れない。


「うおおお!」

冒険者は懐に入るとオーガの顎下から槍を突き上げた。

オーガといえ柔らかい箇所はある。

その一部が顎と喉の間だ。

冒険者は的確にここを突いた。


戦闘は終わった。


さあ、カルナザルへ急ごう。


「あ、あの!お待ち下さい。」


不意に人族の商人呼びとめられる。

私は急いでいるのだ。


「ご助力感謝いたします。おかけで助かりました。」

護衛3人は残念だったな。


「いや、これも仕事だ。こいつらも承知の上だった。‥‥いい奴らだったんだがな‥‥」

冒険者は仲間たちのギルド章を回収している。


「お礼がしたいのですが今は‥‥」

気にするな。私は一刻も早くカルナザルへ向かわねばならん。


「おお!カルナザルへ!私の店はカルナザルにあるのです。どうでしょうか、これからカルナザルまでご同道願えませんか?お礼とは別に護衛として報酬も差し上げますので‥‥」

いや、私は‥‥


「俺からも頼む。俺ひとりではこの先守りきれる自信がない。」

だから私は‥‥


「ダークエルフさん?」

子供?

ああ、幌の中にいたあの娘か。


「助けてくれてありがとうございます。‥‥もう行っちゃうの?」

くっ。そんな目で見るなよ‥‥


分かった、分かった。

ご同道しようではないか。


先に報酬の話しをしよう。

今の戦闘と後の護衛として金貨3枚。先払いで1枚。

食事はそちら持ちだ。

どうだ?


「おお!引き受けてくれますか。よろしくお願いします!」

「これは心強い!失礼、貴女のお名前を聞いても?」






「私の名はイメルダ。ダークエルフの戦士だ。」


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