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はぐれエルフちゃんと剣姫さん~生活魔法も使いよう~  作者: トルク
四章 もう1人のはぐれエルフ
43/72

ヒルダ、売り子さんになる

「それじゃヒーちゃん、準備しましょ。」

そう言ってキャロルさんはヒーちゃんを連れてお店の奥に消えていきました。


「エリー、大丈夫ですかね?」

「恐らくは。でもキャロルさんだから‥‥」

エリー、納得です。

私は一抹の不安を抱きながらヒーちゃんを待ちます。


しばらくして、

「おまたせ~」

キャロルさんの野太い声が響きます。


奥から出てきたヒーちゃんは!

うぷっ!

か、可愛い!!


ヒーちゃん、メイドさんの服に着替えて登場です!

白いブラウスにピンクのメイド服。

膝まである靴下に頭にはピンクの帽子。

白いフリルの付いたエプロン。


最高です!


「キャロルさん!」

私は思わずキャロルさんを呼びます。

キャロルさんはとってもいい笑顔でサムズアップ。


「ヒーちゃん可愛いわ!」

エリーも大絶賛です。


「えへへ。ねぇね、わたちかわいい?」

「うん!ものすごく可愛い!」

思わずハグしちゃいました。


「うふふ。ヒーちゃんあなた完璧よぉ。ステキに可愛いわぁ!」

キャロルさんのテンションも上がりまくりです!


「さて、それじゃヒーちゃん。お仕事しましょ。」

「あい!」

ヒーちゃん、初めてのお仕事です。


「ヒーちゃん、このチラシを道ゆく女の子たちに配るのがヒーちゃんのお仕事よ。出来る?」

「やりましゅ!」

ふんす、と気合十分なヒーちゃんです。


それではお仕事開始です。



「雑貨屋 乙女の嗜み、いろいろ取り揃えてるわよ~」

まずはキャロルさんが呼び込みます。


道ゆく女の子たちは「ひっ!」と怯えていますね‥‥


「いらっちゃいましぇ!おねーしゃん、どうじょ!」

ヒーちゃんが2人組のエリーと同い年くらいの女の子たちにチラシを渡しています。


「うそー!この子凄く可愛い!」

「本当!ねえ、ここってお店なの?」

「あい!じゃっかや おとめのたしなみでしゅ!」

ヒーちゃん初めての呼び込みなのに堂々としてます。

女の子たちはヒーちゃんの可愛さにやられてますね。

新たな同士となり得るでしょうか?


「ち、ちょっと!ここって‥‥」

「あ。」

女の子たちは何かに気づいた様です。


「あら~。可愛いお嬢さんたち!いらしゃいませ!」

「ひっ?!」

お、怯えていますね。


「おねーしゃん、こわくないよ?キャロルしゃんはとってもやさしいの。そんでね、わたちをかわいくしてくれたのー。」


その場でクルリと1回転。

スカートがふわり。

今日一番の破壊力です!

エリーも今すぐ抱きしめたい衝動を抑えるのに必死です!


「ほ、本当に?」

「えっと、じゃ見るだけ見てみる?」

おふたり様ご案内。

見事客引きに成功したヒーちゃんでした。



それから何人かお客さんを捕まえてお店はにわかに活気づきます。


「こんな可愛いお店ならもっと早く来ればよかったー。」

「ねー。」


「うふふ。このお店はね。女の子が可愛いくなるためのお店なの。女の子はね、誰でも可愛いくなれるのよ!」

お客さんたちもキャロルさんに慣れたのかキャッキャッと盛り上がってます。


ヒーちゃんも大人気です。


一旦お客さんの波が引けた頃。


「ヒーちゃん、休憩しましょ?」

「あい!もうしゅこし、チラシくばったら!」


ヒーちゃん頑張り屋さんですね。

後でしっかり褒めてあげましょう。



「あ?てめぇこないだのチビダークエルフじゃねえか。まだこんな所うろついてやがったのか?」

「ひぅ!?」


‥‥あの人はヒーちゃんを蹴ったおじさんではないですか。

すーはー。

深呼吸です、落ち着きましょう。


「なんだあ?その恰好は。ちったあ身奇麗になったみてぇだが‥‥ふん、金持ちでも拾われたのか?くく。」

「う、うぇ。」


「汚ぇダークエルフにゃ似合わねぇよ!ほらとっととこの街から出てけ!」

「うぇーん!ねぇねー!!」


ドンッー


二つ同時に響く震脚。

エリーも我慢の限界だった様です。


「ひ!ちびっ子師匠!」

「‥‥おじさん、何してるんですか?」

「え、いや‥‥」

「私の、私たちの妹に何してるんですか!」

「ひっ!い、妹?!」


「貴様、名を名乗れ!痴れ者が!貴様の様な者こそこの街には不要だ。」

エリーはお姫さまらしい口調になっています。


私はヒーちゃんを後ろに庇い、おじさんに向かいます。

その時でした。


「おい。ウチの大事な売り子に何しやがった?」

キャロルさん?


「へ。オカマか‥‥あ、ああ!」

おじさん、どうしました?


「ほう?私を知ってんのかい?」

「め、滅拳のバーンズ‥‥」

「あたしをその名でよぶんじゃないよ!」


ドゴーン‥‥


おじさんの足元にちょっとしたクレーターが出来てますね。

キャロルさんの拳骨が突き刺さってます。


「あ、あああ‥‥」

しょわー。

おじさん、漏らしましたね?


「いいかい?あたしの名はキャロル。間違えんじゃないよ!それと‥‥」


それと?


「この世にアンタほど薄汚い野郎はいないさね。いいかい?今度こんなことしてごらん?」


ゴクリ‥‥


「玉ぁ抜いてやっから覚悟しときな!!」

「ひぃー!」


おじさんは脱兎の如く逃げて行きました。

あれ?

私の怒りはどこにぶつけたら‥‥


「大丈夫?ヒーちゃん。」

「あい‥‥だいじょうぶでしゅ。」

「あんなバカも居る街だけどね。この街を嫌いにならないでね?」

「あい‥キャロルしゃんはきらいじゃないよ?」

「ヒーちゃん‥‥」


ヒーちゃんはキャロルさんを見てにっこり。

思わず私もにっこり。


「さあ、お仕事はこれまで。ヒーちゃんお疲れさま。」

「もーいーの?」

「ええ。じゃお店に戻って好きなリボンを選びましょ。」

「あい!」


お店に戻りリボンを選ぶヒーちゃん。


「んーと‥‥これ!」

手に取ったのは青いリボン。

私たちのプレゼントと同じ色です。


「んー、やっぱりヒーちゃんセンスいいわぁ。素敵よぉ!」

「えへへ。」

「じゃヒーちゃんにはこれね。」

キャロルさんはピンク色リボンを取り、ヒーちゃんの帽子を外すと素早く頭にセットしました。


「よく似合わ!」

「‥‥可愛い。」

キャロルさんとエリーが大絶賛です。


「ねぇね、どう?にやう?」

「とっても。ヒーちゃん、今日は頑張ったね。えらい、えらい。」

私がヒーちゃんの頭を撫でるとヒーちゃんは目を細めてうっとり。


「キャロルしゃん、ありあとーごじゃいまちた!だいしゅき!」

「こちらこそありがとう。新しいお客さんも増えたし、何回も眼福させてもらったしね。」


「キャロルしゃん、またおてちゅだいしてもいい?」

「ヒーちゃんならいつでも大歓迎よ!いいかしら?お姉ちゃんたち?」


キャロルさんは私とエリーにバチコンッ!ウインクを決めます。


「キャロルさん、よろしくお願いします。」

「ヒーちゃん、頑張ってね!」

ダメ出しする必要皆無です。

ここならキャロルさんが守ってくれるでしょうし。


~~~~~


普段は閑散とした『雑貨屋 乙女の嗜み』。


今日をきっかけにカルナザルの街に可愛い姿の女の子が増えて行くのはまた別のお話し。


そこにはちいさなかわいらしい売り子さんがこう出迎えてくれると評判になったそうな。



「いらっちゃいましぇ!じゃっかや おとめのたしなみでしゅ!」




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