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はぐれエルフちゃんと剣姫さん~生活魔法も使いよう~  作者: トルク
四章 もう1人のはぐれエルフ
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キャロル、嬉しい来客

完成したマングァープリンを持っていざ『雑貨屋 乙女の嗜み』へ!

と思ったのですがそろそろお昼です。


今日はマリア母さまとソフィー姉さまはお茶会へ出かけています。

近衛騎士団長のハウエルさんの奥さまたちとお茶するみたい。

ダカン父さまは視察に出て不在。


今日のランチはエリーとヒルダちゃんと3人です。

ハインツさんに作ってもらったサンドイッチはとっても美味でした!


さて、それではいよいよ本当に『雑貨屋 乙女の嗜み』に向かいましょう。


「ねぇね、どこいくの?」

「キャロルさんのところだよ。」

「きゃろろしゃん?」

「うん、ヒルダちゃんを助けてくれた人。覚えてないの?」

「あい‥‥ごめんなしゃい。」

あらら。ヒルダちゃん落ち込んじゃった。


「仕方ないですよ。ヒルダちゃんも頑張ってたんだから。」

「そうそう。だからちゃんとお礼を言おうね!」

「あい!」


ヒルダちゃん、キャロルさんを見てびっくりするかな?

ちょっと楽しみかも!



~雑貨屋 乙女の嗜み~



「はぁ。暇ねぇ。」


キャロルは手持ちぶさただった。

今日の客は未だゼロ。

取り扱う商品は素晴らしいのだがこの風貌である。

常連以外は店に立ち寄らない。

それでも常連客が友人を、その友人がそのまた友人をと人伝に評判は上がってきてはいる。

しかし今日は暇だった。


そんな時。


カランコロンー


「いらしゃい!」


「キャロルさん、こんにちは!」

店にやって来たのは領主の次女であるエリザベートと昨日知り合った小さなエルフとダークエルフの少女だ。


「あらまあ。姫さま、アーちゃん。いらしゃい。」

「キャロルさん、昨日はありがとうございました!」

「お安い御用よお。それに鑑定のギフトにあんな使い方があるって知れて私も儲かったしぃ。」


エルフの少女は手提げ籠の中から器を取り出す。


「キャロルさん、昨日のお礼です。心を込めて皆で作りました!」

「あら、嬉しい!ヒルダちゃんもお手伝いしたのね、凄いわぁ。」


ほら、とエルフの少女がダークエルフの少女に何かを促す。


「えっと、あの、おじしゃん?おばしゃん?たすけてくれてありあとーごじゃいまちた!」


ダークエルフの少女の言葉を慌てて訂正させる2人の少女。

お姉さんでしょ!と。

小首を傾げるダークエルフの少女。

キャロルは愉しげに笑う。


「あははははは!いいよ、ヒルダちゃん。好きに呼んで。」

「あい、おねーしゃん!」

ダークエルフの少女、なかなかに学習能力があるようだ。


キャロルは贈られた器に気をやる。


「アーちゃん、これは?」

「はい、マングァープリンです!とっても美味なのですよ!」

エルフの少女は両手を握り興奮気味に告げる。

よほど自信があるようだ。


「では、いただきむゎす!」

キャロルはその器に入った黄色い菓子らしき物を躊躇なく口にした。


「んー!なんて美味しさ!こんなの初めてよ。」

頬に手を当て惚けた顔でスプーンを咥えるキャロル。

乙女な仕草だがキャロルがやると‥‥


「ものすごい戦闘力です!」

「こ、これが乙女道!」

「ねぇね、おしっこしたい‥‥」


三者三様の反応であった。


しかし、とキャロルは思う。

こんな菓子は見たことも食べたこともない。

きっと高級な物に違いない、そう思うとなんだか申し訳ない気持ちになる。


「姫さま、アーちゃん。私の身には余る物よ。ありがとう。」

「え?私たちの手作りですからそんなに高価な物ではないですよ。」

これが高価でない?

信じられない。きっと貴族でさえ食したことは数少ないのではないか。

そう思えるほど美味であったのだ。


「そう。でも本当に美味しいわ。とっても嬉しい❤」


キャロルは今日も乙女道を征く。



~~~~~~~~


ほっ。キャロルさん、喜んでくれたようです。

ハインツさんを巻き込んで皆で作った甲斐がありました。


ヒルダちゃんはいつの間にかキャロルさんのお膝の上で


「しゅぷーん!」

キャロルさんにマングァープリンをアーンしてました。


「ところで姫さま。ソフィー様にプレゼントは贈ったの?」

「あ。忘れてた。」

そうでした!

せっかくのプレゼントですのに。


「姉上の誕生日は明日ですから明朝にでも渡しますよ。」

エリー、ちょっと目が泳いでます。


「うふふ、まあ昨日は大変だったものね。それよりヒーちゃん。」

「ヒーちゃん?」

「そ。聞けばヒルダちゃんはアーちゃんの妹になったんでしょ?だからヒーちゃん。」


いい!凄くいいです!

ヒーちゃん‥‥ヒーちゃんかぁ。


「ヒーちゃんってわたちのこと?」

「そうよぉ、ヒーちゃん。おでこのケガも綺麗になってるわね。」

「あい!しぇんしぇーとエリーおねーしゃんがなおちてくれまちた!」

「良かったわねぇ。」

「あい!」

ニパッとヒーちゃんスマイル炸裂です!


「ああ‥‥これは、かなりの破壊力ね‥‥」

「分かりますか?」

「分かりますとも。」

キャロルさんもヒーちゃんスマイルの虜に。

同士の誕生ですね。


「ねぇね、ソフィーおねーしゃんおたんじょうび?」

「うん、明日ね。」

「わたちもぷれじぇんとしたい‥‥」

何気にヒーちゃんとソフィー姉さまは仲良くなってましたね。

そっか。どうしよう?


「だったらヒーちゃん、これなんかどう?」

キャロルさんが指さしたのはリボン。

いろんな色があります。


「でもおかね‥‥ない。」

私が立て替えてもいいけど‥‥


「そうねぇ。じゃ少しお手伝いしてくれたらお給料の代わりにこのリボンをあげる。どうかしら?」

「やりましゅ!」

二つ返事のヒーちゃん。

やる気満々です!



ここはお姉ちゃんとしてしっかり見守ることにしましょう。


エリーとこっそり打ち合わせ。


手助け無用で行きましょう。

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