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はぐれエルフちゃんと剣姫さん~生活魔法も使いよう~  作者: トルク
三章 ギュスターヴ家の人々
32/72

マリア、諭す(やんわり脅迫)

三章、終話です。


次章は本日21時掲載予定です。

「エリー!勝ったね!」

私はエリーに駆け寄ります。


「‥‥アーちゃん、ごめんなさい。」

「?どうして謝るの?」

エリーは唇を噛みしめて涙目です!

どうしましょう!


「‥‥私はカイル兄さまの言葉に我を失って‥‥憎しみの中で技を振るいました。」

エリーはこちらを向いてくれません。

私はエリーの手を取ります。


「エリー、エリーが振るった技は私利私欲の為ですか?違うでしょう。ならばそれこそアウラ流活殺術の真髄なのですよ! 」

「アウラ流活殺術の真髄?」

「はい。活かすも殺すも自由自在。ですがその技は誰かを護る為に振るう技です。エリーはエリーの為にカイル某を憎んだのですか?」


エリーは黙ってしまいました。


「エリー、私は嬉しかったのですよ?私の為に、ここにはいない誰かの為にエリーは怒ってくれたんでしょ?」

「‥‥わからない。」

「エリーはいつか言ってましたよね。『自分がされて嫌な事は他の人にもしない』って。」

「うん。」

「エリーが今悩んでいる事に答えなんてきっとないのです。だからこらからも私はエリーと一緒です。一緒に悩んでいこ?」


エリーは膝をついて私に抱きつくと


「アーちゃん!私、怖かった、カイル兄さまを殺してしまうかと‥‥私が私じゃないみたいに!意識が赤く‥‥怖いよお、アーちゃん‥‥」

「エリー、カイル某は死んでませんよ。大丈夫。とりあえずお城に戻りましょう?」

「うん‥‥」


エリーは肉親を試合とはいえ一瞬の憎しみをもってうち伏せた事に罪悪感を持っているようです。

優しいエリーにはきついのでしょう。


「エリーや。見事じゃったぞ。」

「お祖父さま。」

「ちらっと話しが聞こえたもんでのう。エリーや、気にしすぎじゃよ。」

「でも‥‥」

「兄妹ケンカじゃろ?」

「兄妹ケンカ‥‥」

エリーが目を白黒させています。


「エリーまさか。兄妹ケンカとか‥‥」

「うん。初めてだと思う‥‥」

「ま、朝メシでも食えばいつものエリーに戻るじゃろ!」

「もう!お祖父さまったら。」

ちょっと元気出た?

さすがじぃじです!



~~~~~~~~



食堂にて


食堂にはマリア母さまとソフィー姉さまが私たちを待ってくれていました。


「エリー!勝ったのね!」

「はい、姉さま。」

「あれ?嬉しくないの?」

私はソフィー姉さまに事の顛末を語ります。


「はぁ。エリーはどこまでよい子なのよ。」

そう呆れながらもソフィー姉さまはなんだか嬉しそう。


「しかし兄弟姉妹ケンカかぁ。そんなのしたことなかったわね。」

「はい。」

「エリーの場合はカイルが何してもずっとガマンしてたからね。‥‥まさかアイツ!いやいや、でもまさか‥‥」

あらら?ソフィー姉さまが考え込みましたよ?


と、そこへー


「はぁ。はぁ。エリザベート!!」

カイル某登場です。

お呼びじゃないのに。


「ボクは認めないぞ!ボクの知らない所で勝手に強くなってそこのはぐれみたいなのを親友と呼ぶなんて!エリザベートは、エリザベートはずっとボクのそばでボクのために生きていればいいんだ!おい!はぐれ!エリザベートはボクのモノだあああ!!」

一気にまくし立てる某。

なんでドヤ顔なんですか?


「うわぁ‥‥」

「う、うむ‥‥」

「バカじゃ‥‥バカが居る‥‥」

皆さんドン引きです。

そこへ


「カイル。」

「なんですか母上!」

マリア母さま、いつものニコニコじゃない!


「あなた、キモいわよ。」

「な!?」


「キモいわ。残念ね。まさにあなたこそ残念騎士なのではないの?エリーはね、モノじゃないの。それになんですかあなたの言い分は。子供ですか?あなた幾つになったの?好きな相手の気を引くためにいじめるとか、それって6歳まで認められる行為よ?まさか私の息子がこんなにも陰険でシスコンだとは思わなかったわ。あ、見て?鳥肌。」

ま、マリア母さま‥‥


「ちょうどいいわ。お父さま、明日には王都に戻るのよね?」

「え?いやワシは‥‥」

「戻るのよね?」

「‥‥はい。」


「お父さま、カイルの調教をお願いできる?身も心も鍛え直してあげて?」

「それは構わんが。ダカンの所ほどではないがウチもまともではないぞぃ?」

じぃじが悪い顔で笑います。イタズラ坊主みたい。


「大丈夫よ。片腕くらい無くなっても生きて行けます。」

「よし、引き受けよう。ダカン、構わんな。」

「ええ。よろしくお願いします。」

本人無視してとんとん拍子にお話しがすすんでいますが‥‥


「‥‥」

カイル某、真っ白になってますね。

口から何か出てますよ?魂?


これで一件落着、なのかな?



********


明けて翌日ー


「それでは皆、達者でな。」

「お祖父さま‥‥」

「エリー、心配せんでよい。彼奴はワシに任せておけ。」

「はい。」

「それとアーちゃんや。これからもエリーを頼みますぞ?」

じぃじがニッコリ笑顔で私にお願いしてきます。


「じぃじ‥‥」

あ、やばい。泣きそう。


「ワハハ。せっかく友人になれたのにお互い別れは辛いのう。そうじゃ!今度エリーと王都に遊びにおいで。たんともてなそうぞ!ガハハハ!」

もう!じぃじったら。大好きです!


「じぃじ、またね?」

「うむ!」

私とじぃじは握手をしてお別れしました。


カイル某ですが王都に戻り次第、寄宿舎を出て大公屋敷へ下宿するそうです。

勉強以外は全て訓練の時間となり、モンスター退治にも狩り出すとの事。

少しは更正して欲しいものです。


カイル某の帰省から始まったこの騒動も一応の終わりを迎えます。

でも王都かぁ。

エリーとの旅ならとっても楽しそう!


少しの寂しさと大きな期待をもってじぃじの馬車を見えなくなるまで見送るのでした。

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