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はぐれエルフちゃんと剣姫さん~生活魔法も使いよう~  作者: トルク
三章 ギュスターヴ家の人々
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アウラ、そのころ

まったく!

カイル某ってのはやっぱりイヤな奴でした。

アレがエリーの兄さまだなんて信じられません。

ソフィー姉さまじゃないけど要らないです!


「それでマスター・アウラさま、何をつくるのですか?」

「はい!プディング・ショコラーデを作ります!」

「え?それはどんなお菓子なのでしょう?」

「ふっふっふ。とーっても美味なのですよ!」


私は今、厨房にきています。

コックさんのハインツさんと一緒です。


ハインツさんはギュスターヴ家の食を預かる専任のコックさん。

齢は42、ぽってりお腹がチャーミングなおじさんです。

ハインツさんのお料理はみんな美味しくて大好き!

中でもクリームシチューが私のお気に入りです。


今回チョイスしたのは『ライブラリー』で閲覧したお菓子の中で私の興味と期待を一身に受けた『プリン』です。

これにショコラを使えば絶対に美味しいと思うのです!


「では始めましょう。」

「言われていた物は用意出来ていますので。」

「ハインツさんありがとうございます!」


作業台の上に用意されているのはショコラ、ミルク、新鮮な卵。

まずはミルクを温めます。

そこに小さく刻んだショコラを入れて溶かしていきます。


「いい匂いですね、アウラさま!」

「でしょ!このまま飲んでも美味しいですよ。」


少しとろみがつく程度でショコラを溶かすのを止め火から下ろします。

今度はボウルに卵を割り入れます。

ここはハインツさんにお願いしましょう。


「ハインツさん、この卵をなるべく均等にかき混ぜてもらえますか?」

「均等にですか?」

「なるべくでいいです。けど白身と黄身がきれいに混ざると舌触りが良くなります。」

「なるほど。了解しました。」


ハインツさんは器用に卵をかき混ぜていきます。

おお、さすがです。

ほぼ完璧な仕上がりです!


「どうでしょう?」

「完璧です!」

お互いにニッコリしながら次の作業に移ります。


冷ましたショコラミルクと卵を混ぜていきます。

少しづつ、少しづつ。


「ハインツさん、濾し器お願いします。」

「なるほど、なるほど。」

ハインツさんは感心しながらお手伝いしてくれます。


「ではこの液を漉すのですか?」

「ちょっとこの濾し器では粗いので‥‥」

私はポッケからシルクのスカーフを取り出し、濾し器に被せます。


「ほう!これなら凄く細かく濾せますね!」

「はい!更に滑らかな口触りになりますよ!」

お互いにテンションが上がってまいりましたよ!!


液を別の鍋に濾しながら移していきます。

うーん!いい感じです!


「ではティーカップを。」

「これで完成ですか?」

ハインツさん、またまだですよ!


「ティーカップに注いだら暫く休ませて。蒸します!」

「蒸す?」

「はい。蒸し固めるのですよ。」

「これはなんと!新しい技法ですよアウラさま!」

「そうなの?」

「ええ。しかし、そうか。卵の蒸し料理はある。それを菓子に‥‥素晴らしい!」

簡単なお菓子なのですけど自分で作るには面倒くさいんですよね。

だからハインツさん、これからはよろしくお願いします。


「では私は蒸し器を用意しましょう。アウラさま、火加減はどのように?」

「弱火でゆっくり蒸し上げましょう。」

完成は間近です。


エリーの喜ぶ顔が早く見たいです!



‥‥‥‥

‥‥


蒸し上がりました!

後は仕上げに冷やし固めるだけ。

生活魔法の『クール』と『ミスト』を発動させ冷やしていきます。


「アウラさま、それは生活魔法ですか?」

「はい。二つの魔法を混ぜてますよ。」

「なんと!普通そんなことはできませんよ!」

「え‥‥でも出来てるし‥‥」

「‥‥そうですね。」

なんかダメなの?

でもキニシナーイ、キニシナーイ。


よし!完成です!!


それではお味見タイムです。


「ハインツさん、どうぞ!」

「で、では。」

ハインツさんはおそるおそるプディングにスプーンを入れます。


「おお!なんと言うプルプル感!」

そして一口。


「~!!」

あ、あれ?ダメだったかな?


「なんと言う食感と滑らかさ!適度な甘さと舌触りがなんとも言えません!これは菓子の革命ですよ、アウラさま!!」


私も一口。


「おいちぃー!」

噛みましたがどうやら大成功のようです。

ハインツさんのお墨付きも貰ったし、きっとエリーも喜んでくれる筈。


私はトレーに人数分のプディング・ショコラーデを載せて家族の間に向かうのでした。


もちろん数は5個。

カイル?

誰それ?って感じです。


あんなのに食べさせるお菓子はありません!

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