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はぐれエルフちゃんと剣姫さん~生活魔法も使いよう~  作者: トルク
三章 ギュスターヴ家の人々
25/72

長男、遭遇する

「やあ、久しぶり。父上やみんなはどこかな?」


「こ、これはカイルさま!お帰りなさいませ。」


城に到着したカイルは馬車から颯爽と降り立ち、門番の衛兵に話しかける。


「ああ。で、みんなは?」

「はっ。ご案内いたします!」


衛兵は詰め所に合図をすると交代の衛兵が駆け寄ってくる。

他にも数人がやってきて馬車から荷物を降ろしはじめる。


「頼むよ。ああ、荷物はボクの部屋に運んでおいてね。」


カイルは衛兵たちに告げると先ほどの衛兵に先導させ城の中へと入っていった。


城へ入ったカイルは衛兵と共に家族が集まるホールへと向かっていた。

すると向かう先から何やら小さい少女がトテトテとこちらへ歩いてくる。


「ねえ、あれ。なに?誰?」

「はっ!あの方はマスター・アウラさま。エリザベートさまの師匠であります!」


カイルは衛兵の言葉に戸惑った。

あの小さい少女が?師匠?

どうやらエルフのようだが人の住む領域に居る時点で精霊魔法の使えない『はぐれエルフ』とわかる。

カイルは笑いを堪えられなかった。


「ぷっ。あははは!あれが師匠だって?残念騎士の?あははは!」

「ひっ!カイルさま!なんて事を!!」


衛兵は青ざめた表情でカイルを諫める。

カイルには何故衛兵がそんなに狼狽えるのか理解できなかった。


そしてエルフの少女との距離僅か数歩。

カイルは少女に手を伸ばしながらこう言った。


「あははは。師匠ちゃん。君もボクのオモチャになってくれるのかな?」



******


エリーのことが心配です。

詳しくおはなししてくれませんでしたけど辛そうなのはわかります。

軽く聞いただけでそのカイル某が大嫌いになりました!

それにその某が今日帰ってくるなんて。


とにかくエリーに元気をだしてもらいましょう。


落ち込んだり気が滅入った時はあまーいお菓子がお薬です!

私はショコラを使ったお菓子を作るために厨房へ向かっています。


「あっ。マスター・アウラさま!こんにちは。」

「はい。こんにちは!」


すれ違う兵士さんたちと挨拶を交わします。

例の武競大会以降、みなさん私を『マスター・アウラ』と呼びます。

街では相変わらずですけど。


おや?あちらかやってくるのは門番さんですね。

お城の中にいるなんて珍しい。

なるほど、お客さんを連れています。

理解しました!


お客さん?

まさか‥‥


門番さんたちとの距離が詰まってきた頃。


「あははは。師匠ちゃん、君もボクのオモチャになってくれるのかな?」


門番さんの後ろにいた男の人が手を伸ばしてきます!


バチッ!!


「な!」


私は伸ばされた手を『纏』で弾き飛ばしました。

こ、怖かったぁ。


バッチィ手で触らないでください!


「あ、アウラさま!どうか落ち着いて下さい!この方はカイルさま、ダカンさまのご子息です!!」


やはりコイツがカイル某のようですね。

それにオモチャですって?

エリーもまさか‥‥

そう思うと我慢出来ませんでした。


怒りと恐怖から足が、声が震えます。


「ウソです!エリーの家族にこんなおバカさんはいませんよ!」


「なっ!?このチビスケ!!」


またもや私を捕まえようと手を伸ばしてきました!


ならば!ここはかっこよく『殺気』を放ってみましょう!

ぶっつけ本番です!


数手の攻撃パターンをイメージして気と魔力を混ぜたものを放出しただけですけど。

明確なイメージで練られた気と魔力にあてられたふたりは本当に攻撃を受けたように感じるはず!



「ひぃいい?」

「あが。」


やりました!成功です。


門番さんは白目をむいて気を失ってしまいましたがカイル某は意識を保っていますね。

門番さん、巻き込んでごめんなさい!


じわー‥‥


あらら?

カイル某のおまたの辺り、ズボンの色が変わってますね?

びっちゃびちゃです!


さぞかしおまたが気持ち悪い事でしょう。

私には分かります。

身をもって体験してますからね!



私は腰を抜かして同じ目線になった某へ告げます。


「エリーの敵は私の敵です!私はエリーのためならなんでもしますよ?そう、なんでも!」


涙目でプルプルしながら言い放つと私はその場を逃げるように厨房へと向かうのでした。


途中で立ち止まり振り返ると


「ばか~!アホ~!ろりこん~!」


からの


「おしっこちびり~!!」



捨て台詞も忘れずに!!



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