アウラ、狩りまくる
次話でこの章は終わります。
次章では2人に何をさせようかな(笑)
やっぱ冒険?のんびりほのぼの?
リクエストとかあれば参考にさせてもらいます!
と言う訳で次章再開は4月4日の予定です。
大規模な集団戦闘かと思いきや。
冒険者さんも兵士さんも騎士さんも。
みなさん手にしているのは虫取り網です。
ダカン父さまの訓示が始まります。
「皆の者!よく集まってくれた。7年ぶりのマイグラトリー・ショコラの飛来だ!!」
『おおおおおおお!!』
「一樽あたりの報酬は銀貨3枚!多少の横流しは目を瞑るが集めた獲物は全て私に納めてもらう!」
『おおおおおおお‥‥』
「冒険者諸君!我が領軍はこの国最強である。呑気に構えていれば稼ぎそこなうぞ!心してかかれ!!」
『うおおおおおおお!!』
冒険者さんたちは一斉に狩り場へ駆け出していきます。
ダカン父さま指揮する軍のみなさんは各師団へ分かれて行軍を開始しました。
「さて、私たちも行こう、アーちゃん!」
「はい!楽しみです、チョコレート!」
「チョコレート?マイグラトリー・ショコラだよ、アーちゃん?」
「あ、うん。そうでした。」
いけない、いけない。
『ライブラリー』のチョコレート情報が刺激的すぎてうっかりチョコレートって言っちゃった。
「と言ってもお父様や冒険者の方々を出し抜いて狩るなんて出来るのかしら?」
はう!ソフィー姉さま、ドレス姿に虫取り網だなんて!
でも不思議と見とれちゃう。
「ふっふっふ。姉上、ご安心を。こちらにはアウラ流活殺術の使い手が2人もいます。」
「ええ!アーちゃんも?じゃアーちゃんもエリーみたいに殿方をぶっ飛ばしたり出来るのかしら?」
できますよ?と小首を傾けてみる。
「あうぅ。マイグラトリー・ショコラも魅力的だけどアーちゃんの可愛さの破壊力には負けるわね!」
またまたソフィー姉さまに捕獲されるのでした。
「あれれ?マリア母さまは?」
「あそこよ、アーちゃん。」
エリーが指差した先には大きな山車が。
その上で
「おーっほほほほほほほ。進みなさい!根こそぎ刈り取るのです!」
流石です、マリア母さま!
「うーん。私はお母さまと共に行くわ。ねぇ、そこの貴方。案内していただけるかしら。」
ソフィー姉さまは近くに居た騎士さんを捕まえ山車までエスコートさせます。
「「おーっほほほほほほほ!!」」
‥‥ソフィー姉さまはマリア母さま似なんでしょうね。
「そろそろ行こうか、アーちゃん。」
「はい。」
何故か乾いた笑みのエリーでした。
私たちはダカン父さまにマジックバックを貸して貰っています。
このバックには見た目以上に品物が入るそうで牛さんなら10頭は詰め込めるそうです。
このバックをそれぞれに一つずつ貸して貰いました。
私とエリーは身体強化(改)を使い、街道を行きます。
登り坂を越えた辺りから東へ広がる平野が狩り場となります。
マイグラトリー・ショコラは渡り鳥ならぬ渡りチョコレートです。
河を南下し、海に出て他の大陸へ渡って行くそうです。
マイグラトリー・ショコラは幾つものコロニーに別れて旅をします。
ルートはコロニー毎に大体決まっている様ですが今回は7年ぶりだそうで今度のコロニーはおよそ数十万匹にもなるそう。
私たちは先行した冒険者さんたちよりも早く狩り場に着きました。
そりゃ大きな樽を運びながらじゃねぇ。
「ほら、アーちゃん。来たよ!!」
エリーが指し示した空は一面黒く‥‥いえ、チョコレート色に染まっています!
「街道で取りこぼしを狩るのは辛そうだから戦線を前に置きましょう、エリー。詰めますよ!」
「了解!」
未だ個体の形が視認出来ない距離ですからね。
2人は身体を光らせて平野を風の如く駆けて行きます。
「よーし、アーちゃん。どっちが沢山獲れるか競争よ!」
「いいですよ。負けませんからね!」
ふんす、と鼻息も荒く私は応えます。
「じゃあ。よーい‥‥」
「ドン!!」
エリーは身体強化(改)を使って駆け出します。
そしてトンっと跳躍すると虫取り網でマイグラトリー・ショコラを捕まえて行きます。
出遅れました!
私も身体強化(改)でいざ、出陣!
よっと。
捕まえました!
これがマイグラトリー・ショコラ!
茶色くて四角くて薄い板みたい。
とっても甘い香りがします。じゅるり。
それがビュンビュンと空を飛んでいます!
「はっ!たあ!」
「えい!やあ!」
身体を光らせてピョンピョン飛び回る私たち。
でも流石に効率が良くないと思います。
そこで私は一旦捕獲を中止しました。
「あれ?アーちゃん、もう疲れたの?私はまだまだいけるわよ!」
そう言ってエリーは次々とマイグラトリー・ショコラを捕まえて行きます。
では、私の奥の手を見せましょう!
「『ヒート!』」
私は辺りの空気を生活魔法の『ヒート』で温めます。
ふわり。
上昇気流が出来てきました。
そして今度は
「『ミスト!』」
水の生活魔法『ミスト』で上空に霧を作ります。
何度かこの作業を繰り返します。
急がば回れ、です!
待つことしばらく。
来た、来ましたよ!
「エリー!飛ぶのやめー!!」
「え!なんで?」
「いいから!早くしてくらしゃい!!」
慌てると噛みます。
エリーは狩りを中断して私の所に駆け寄ってきます。
「もう、なんだって言うの?絶好調だったのに!」
プリプリおこなエリーも可愛いねぇ。
そうこうしている内に冒険者さんや領軍の皆さんがやって来ました。
「あらら、姫さまたちもう始めてやがる。俺達も行くぞ!」
「エリザベートさまに遅れをとるな!総員かかれ!!」
後続の人たちが平野に到着したその時ー
「エリー!伏せて!!」
私とエリーは地面に伏せます。
エリーが後ろから覆い被さってくれました。
ぷにゅ。ぷにゅ。
いつかきっと私も‥‥
『ドン!!』
地面に向かって強烈な風が吹き下ろされます。
マイグラトリー・ショコラたちはその身を空から地表に降り下ろされた風によって地面に叩きつけられました。
慌てて狩りに向かった冒険者さんが何人か吹っ飛んでますね‥‥
時間がかかりましたが大成功!
合成魔法ー『ダウンバースト』です!
『はあああああああ?』
『また姫さまがなんかしたのかー?!』
『いや!ちっこい方だろ!』
『はぐれじゃねぇのか?すげー精霊魔法じゃねぇかよ!』
何気にちっこいのとか言われてる。
うん、謝るのやーめた!
空を覆っていた茶色くて甘いモンスターたちはかなりの数、およそ数千が地表でピクピクしてます。
「あ、アーちゃん?」
「てへ。」
やりすぎちゃいましたか?
地表にいる獲物は私の獲物です。
拾ってはバックに。
拾ってはバックに。‥‥
もうバックに入りません。
「エリー!もうバック、パンパン。」
「えー‥‥ズルッ子。」
「ズルじゃないもん!私の能力だもん。」
「うー負けたぁ。くやしい!」
エリーと私の競争は私に軍配が上がりました。
エリーも地面でピクピクしてるマイグラトリー・ショコラを拾っては詰めてバックがパンパンになりました。
拾いきれなかったマイグラトリー・ショコラをみんなに譲ってあげました。
私たちも軍隊さんも冒険者さんも。
ホクホク笑顔で帰路に着くのでした。




