エリー、派手にやらかす
ふんす。
私はちょっと興奮してます。鼻息荒いです。
エリーにくっついて予選の順番と組み合わせを決めるクジを引きに来ています。
「よし、これよ!」
エリーは箱の中からボールを掴みだします。
ボールに書かれていた番号は①。
エリーはなんと第一試合を引き当てちゃいました。
「ふふ。ど、どうせ戦うのだから早いか遅いだけの違いよ!」
エリー、どんまい。
「大丈夫ですよ、エリー。訓練とおりにすればきっと予選くらいは突破出来ましゅよ!」
あ、また嚙んだ。
そしてこの予選グループ全ての参加者がクジを引き終わり、組み合わせが発表されます。
相手はAランク冒険者のグエンさん。
とても強そうです!
「ね、ねえアーちゃん。Aランク冒険者ってアレでしょ?オーガ程度なら瞬殺するって言う。」
そうらしいです。
あ、オーガって言うのは人型のモンスターで頭に2本の角が生えたガチムチさんです。
素早くはないけれどその一撃は凄まじく家畜の牛さんを一発でお肉にしちゃう。
そしてやたら硬いので攻撃もなかなか通りません。
普通ならね。
精霊魔法ならダメージを通しますが冒険者や兵士さんたちはどうも力任せ、真っ向勝負で挑むそうです。
このグエンさんもきっとパワータイプなのでしょう。
「エリー、オーガさんなんてエリーにも倒せますよ?ほら、あの技が有効です。」
そう言って私は握り拳をちょんと突き出します。
「あ!なるほど。その手があったわね。」
「そうです。今のエリーは闘いの中でいろんな選択肢が選べるのです。いつでも冷静に、」
「「思考を止めない事!」」
最後のセリフを見事ハモって笑い合います。
これで幾何か緊張も解けたでしょう。
「それでは第一試合に出られる方はこちらへ!」
係の人が呼んでます。
「じゃあアーちゃん、行ってきます!」
「うん!応援するからね!」
私たちは手を取り合って気合を入れました。
するとそこへ
「かぁ。オレの相手はお姫さんかい。こりゃ参ったな。」
対戦相手のグエンさんです。
「グエン殿、遠慮は無用。侮れば痛い目を見ますよ?」
「ふぅん。ま、オレとしちゃ棄権してくれると助かるんだが。お姫さんにケガでもさせちゃアンタの親父さんに消されかねねぇからな。」
「父上は関係ない!」
「おお怖。ま、サクッと終わらせるか。『残念騎士』さまよ。」
そう言い放ってグエンさんは試合場に行ってしまいました。
「エリー‥‥」
「大丈夫よ、アーちゃん。いつでも冷静に思考を止めない。よね?」
うん。大丈夫だ。
あんな脳筋失礼オジサンなんかやっつけちゃえ!
「エリー。ここは派手に行きましょう!」
「派手に?」
「多分だけどグエンさんはエリーを完全に格下と思ってる。だからね、ゴニョゴニョ‥‥」
「うん、うん‥‥分かった!ぶちかましてくる!」
そして私はエリーの背中をパンと叩き
「いってらっしゃい。エリー、やっておしまい!」
「分かりました、師匠!!」
エリーも試合場に入って行きます。
『これより予選第一試合を開始します!』
アナウンスが流れます。
『みなさんご存じ、Aランク冒険者のグエン。流派は無手勝流!』
『うおおおおおお!』
凄い歓声です!
『対しますはエリザベート・フォン・ギュスターブ。流派はアウラ流活殺術?』
クスクス
クスクスクスクス
イヤな感じ。何故みんなエリーをそんな目で見るの?
一生懸命で直向きなエリー。
そんな女の子を何故?
『残念騎士-!引っ込めー』
『わはははははは』
くっ。今叫んだやつ!後で泣かします!!
『それでは第一試合。』
始まります。
『始め!!』
やはりグエンさんはこちらを舐めています、棒立ちです。
エリーは身体強化で一気に間合いを詰めます。(改)は使っていませんね。
慌ててグエンさんも構えますがエリーの剣戟の方が早い!
でもさすがはグエンさん。後ろに下がって躱します。
が。
エリーの勝ちです!!
ドン、と踏み込む音。うん、いい震脚です。
エリーは剣の打ち込みから流れる様に技を繰ります。
八極拳が一技、『鉄山靠』。
剣を振り抜きざまに背中をグエンさんにぶちかましました!
『気』ではなく魔力が徹ってますね。
エリー、容赦ないです!
凄まじい勢いで場外に吹き飛ぶグエンさん。
身体強化して魔力を徹した鉄山靠ってあんなに吹っ飛ぶんだ‥‥
『し、勝者!エリザベート・フォン・ギュスターブ嬢!!』
歓声はありません。
皆さん驚いて声も無いって感じ。
残心を解いたエリーは誇らしく胸を張って私の元に帰って来るのでした。




