表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/57

財布を落しちゃって…

 とある交番を訪ねる男。

「あのぉ……すみません」

「どうぞどうぞ、お入りください、お客さん」

「いやいや……公務員であるおまわりさんが、『お客さん』はないでしょ!」

「実家が商売をしていたもんで、つい……で、なんです?下着泥棒をしちゃったのかな?」

「ちょっと!誰が下着泥棒ですか!失礼な……」

「え?自首してきたんでしょ?下着泥棒じゃないの?強盗をしそうじゃないなあ……ではコンビニで万引き?」

「違います!ボクは泥棒じゃないですよ!」

「……泥棒じゃ、ない?では、もしかして……人殺し?」

 警官が手錠を出して男を逮捕しようとする。

「ちょいちょいちちょい~~~~!違いますよ!」

「では、殺人の目撃者ですか?」

「いえ、どちらかというと、被害者ですけど……」

「これはしたり、怪我をしてないようだし、痛がってもないようですが、どこをやられましたか?」

「あのですね、人の話を……」

「わかった!あなたは幽霊ですね!自分を殺した相手を呪い殺そうとしたけど、相手の行方がわからない。そこで、場所を聞こうと交番へきたんですね……でも、人を呪うなんて、およしなさいよ……犯行を教えてくれれば、警察が協力しますから……」

「あの……ボクの足はちゃんとあるでしょ?それにこんな昼間に幽霊が出るものですか……」

「では、あなたは幽霊じゃないと?では、何者なんですあなた?」

「普通の人ですよ!さっきから早合点ばかりして……交番に来る人はみんな、犯人か被害者か幽霊だとでもいうのですか?」

「いやいや、最近は普通の人が一番怪しい。昨日のワイドショーでも、あんなに大人しくて普通だと思ったが人が下着泥棒をしたと……」

「いいかげんにしてください!交番に来る人が最も相談に来ることが他にあるでしょ!」

「なんだ……道案内かぁ……それなら、ここを左に曲がって……あっ!まだ行き先の住所を聞いてなかった……」

「どこまでボケたおすんだ、このおまわりさんは!さっき、いったでしょ被害者だって、財布を落しちゃって……」

「道案内の次に月並みですなあ……殺人事件なら、出世できたのに……」

「おい~~~~!本音を出すな!」

「あっはっはっはっ……冗談ですよ……市民に愛される警察になるためのポリスジョーク❤」

「ポリスジョークって……真面目にやってくださいよ……」

「はいはい……では真面目モードで……この書類に書いてください……」 

 男は紛失届に、名前、連絡先、なくした日時・場所・紛失物の特徴などを記入した。

「クレジットカード、キャッシュカードも無くしていたら、カード会社に連絡して停止してください」

「はい。あとで電話で連絡します……」

「免許証、保険証は停止できなので、再発行手続きをしてください。まんがいち、免許証や保険証を悪用され身に覚えのないキャッシングや買い物をされても、支払う義務はございません。悪用されたようであったら、すぐ警察か消費者センターにご連絡くださいね」

「はい。はい……やあ、おまわりさん、やればできる人じゃないですか!最初からその調子でお願いしますよ……」

「ありがとうございます、お客さん」

「だから、警官がお客さんって言っちゃだめでしょ!」

「実家が商売をしていたもんで、つい……で、なんです?下着泥棒をしちゃったのかな?」

「おい~~~~~!それ、最初に聞いたボケでしょ!」

「あっはっはっは……ポリスジョークです!それはそれとして、我が国は財布を落としても見つかる可能性が世界中でもトップの国なのです!」

「おお、頼もしい……この国に生まれて良かったあ~~~…」

「ただし、財布の拾い主は落とし主から、紛失した額の5%から20%の報労金を受けとる権利が生じます。報労金とはつまり“お礼”ですね。この報労金の権利は財布を届け出てから一ヶ月までです」

「もどってくるなら、お礼くらい差し上げますよ……いい人に拾われて欲しいなあ……」

「悪い人なら戻ってきませんね。現金だけ盗んで、財布だけ捨てる、これだと探しようもないです」

「ちょっとちょっと……そりゃそうでしょうけど、はっきり言わんでも……」

「あまり期待しても、戻らなかったときのショックをやわらげてあげようと思って……」

「さっき、戻ってくる可能性が高い国だって、言ったばかりでしょ!」

「こればかりは、当たるも八卦、外れるも八卦ですから……」

「当たるも八卦って、占い師かよ!あなたは警官でしょ!国家公務員!」

「あっはっはっは……ポリスジョーク❤」

「もう、ツッコむのも疲れたなあ……ああ……昼飯食べようと思ってたのに……」

「では、本官がカツ丼をおごってあげましょうか?」

「えっ?いいんですか!」

「カツ丼一杯で下着泥棒を白状してくれるなら安いもんです……」

「だから、下着泥棒じゃないよ!」

「ポリスジョークですよ……そういえば、給料をおろしたんだったかな……」

 警官がポケットから財布を出そうとして、モゾモゾする。

「どうしたんです?」

「……財布を落しちゃって……」











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ