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読まれる日常と、読む非日常。  作者: 金木犀
参:暑さを感じさせるのは、何かを想う気持ちでもあるのかも知れない。
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――犬猿。多分この二人(後)

次話を更新しました!!


お楽しみいただけたならなと思います!

「――自動販売機は無かったんですか?」

「そうなんだよ、東雲。――ってあれ、城島と春夏冬先輩は……?」

「もう、ジュウシチヤ君と三縁ちゃんがいなくなってからというもの、更に二人はヒートアップしていくばかりで、これじゃあ埒があかないと思いまして、恥ずかしながら一喝してしまったら、なぜか二人とも顔を真っ青にして散歩に行ってくるとどこかに行ってしまいました……どうしたのでしょうか、二人とも……」

鬼と言うのはあながち間違いではなかったのかも知れない。

「まあ、そのうち帰ってくるだろ」

三縁ちゃんは俺に顔を見合わせ、クスッと笑った。

「そうだと良いのですが――」

今の時間を確認しようと、時計台に目をやると集合時間を十分ほど過ぎていた。それでも、集まったのは計八人の中で五人だけ、足り見回すと散歩から帰ってくる二人しか見えない。

「残りの先輩たちは仲良く寝坊でもしたのか……?」

遅れる理由なんてどうでもいいが、遅れるなら遅れるで連絡の一つや二つを入れてほしいと、思い呟いた言葉に東雲が反応した。

「何か、あったんじゃないでしょうか?」

「何かって、何が?」

「具体的には分かりませんが……誘拐とか?」

「いやいや、それは無いだろ? まだ、二神先輩なら見た目可愛いから女子と間違われるけど――吉良先輩と村雨先輩は完璧に男だからって……どうしたんだ、東雲?」

東雲は二重の大きな瞳をさらに大きくし、驚愕しているようだった。

「え、あの……二神先輩って、女子ですよね?」

「いや、男子だよ?」

――なるほど、そうゆう事か。大丈夫だ、東雲。俺も初めて知った時はそれほど驚いた。――って、三縁ちゃんも⁉

俺の言葉に、東雲と三縁ちゃんは言葉を失っていた。

「おい、どうしたんだ?」

いち早く帰ってきた城島がこの状況に、疑問を持った形で入って来たが、多分、城島も知らない。

「いや、二神先輩が男だって話をしていたんだけど、城島は知っていたか?」

「……はい? お前、そんな事で俺が騙されると思っていたのかぁ?」

――やはりだ。知らなかった。

城島は、やれやれとふんぞり返っている。

「十七夜よぉ、楽しくしようとする気持ちは分かるけどよ、ちったぁ、マシな嘘をつこうぜ? お前、あれが男だったら俺なんかどうなるんだよ。もう、おっさんじゃねーか」

――その原理はよく分からんが、残念だな。なら、お前はおっさんだ。

「なら、貴様はおっさんだな」

本当なんだって、と口を開こうとた時、次に帰ってきた春夏冬先輩が『おっさん』認定をした。

「――いや、マジで?」

城島のガチトーンに俺は首を縦に振った。

「まあ、仕方ない。 私も初めて会ったときは疑ったものさ。 それでも本人は嫌がることなく、あの容姿を活用しているらしいがな」

春夏冬先輩が言った二神先輩の活用とは、いつの日か大通りで出会った時のような事だろうか。

「興味深いですね……」

そう、東雲が呟いた時、誰かの携帯電話が鳴った。『すまない』と携帯を取り出したのは春夏冬先輩で、電話に出でそれからはダルそうに話していた。

「はいはい、分かった、分かった。 ――ったく」

「どうしたんですか、春夏冬先輩?」

「ああ、東雲ちゃん。 それと十七夜、バカ――じゃなくて城島に三縁ちゃんも大事な話がある、聞いてくれ」

城島は舌打ちをした。

「電話の相手は吉良だった。吉良が言うには、今日向かうはずだった合宿先が電気もガスも水も通っていない状態だったらしい。その為、学校からは別の宿泊施設を今回の合宿の代わりとすると吉良に電話が入ったそうだ。――それでだな、結果的に言えば、合宿先が変わっただけで何も変化がないのだが、その合宿で使う施設が初め予定されていた施設よりも、断然に古いらしい。まあ、これは吉良の例えだが、幽霊が出そうなぐらいだって言っていた。 幽霊なんてアホ臭いが、少しは想像出来ただろう」

「マジかよぉ‼」

「そ、そんなに古いんですかね……」

「ゆ、幽霊……」

まさかの展開に各々が口を開くが、やはり三縁ちゃんは『幽霊』という単語が気になるのだろう。

「これは仕方ない事だ、我慢しろ。それとだな、吉良と村雨、二神は学校から連絡が入り、

その後先に向かっているらしい。 だから、もう出発するぞ」

「いやでも、バスが来てないですけど?」

「十七夜、お前の目は節穴か? ここにバス停なんて無いだろ?」

――あ、マジだ。

「それなら、春夏冬先輩――じゃなくて、ゴリラ。どうやって、向かうんすか?」

「訂正出来とらん、バカが‼ ――ちっ、こんなクソガキも運ばないかんのか……」

「運ぶって……? どうゆう事ですか」

「十七夜……お前は本当に、レベル三の召喚者か? ――たく、どいつもこいつも……ほら秋、仕事だ、出てこい」

ダルそうに春夏冬先輩は、幻影を召喚した。が、それは編のように可愛らしいタイプではなく、悍ましく不気味なもので、初見の三縁ちゃんは泣き出してしまうのではないのか、と隣を見たが、想像していた表情とは裏腹に、キラキラと目を輝かせていた。そして、

「……かっこいい」

と、ボソッと呟いた。

――三縁ちゃん、絶対幽霊大丈夫だ。

「……な、に」

「秋、大変だと思うけど、私を含めた五人を運んで欲しいんだ、出来るか?」

「……分かった……」

「ねぇ、綴お兄ちゃ――ごほん、綴さん……あの、運ぶってどうゆう事ですか……?」

皆の前では恥ずかしいのだろう、そもそも三縁ちゃんと俺の関わりは月の存在がある為にある事で、それを知っているこの合宿メンバーの前で『綴お兄ちゃん』なんて呼ばれているとなると、なんとも如何わしい事態に俺が強要して持ち込んだという風に勘違いされ、吉良先輩から何をされるか分からないという恐怖と、東雲からの俺に対する態度が変わってしまいそうな不安感から、変に冷たい汗が額を流れ落ちた。

「た、多分、あれだと思う。えっと東雲、物質移動だっけ?」

「でも、ジュウシチヤ君。これほどの人数を物体移動させるだなんて……難しいのでは……」

「いやぁ、天音ちゃん。いけるでしょ、春夏冬先輩の幻影ならねぇ……そうでしょ、春夏冬先輩?」

「ああ、秋には普段より負担が掛かるがな」

「そうだとしても、春夏冬先輩……人間を物質移動させるのは機関の許可がないと法律違反になるのでは?」

「さすが、影倫だな。そこら辺の許可は学校を通して取っているらしい。だから、心配しないでくれ。――十七夜も、東雲ちゃんを見習った方が良いぞ。お前も、影倫なのだろ?」

「あ、はい」

東雲の優等は俺が一番身近に感じている。だから、春夏冬先輩の言葉は、当たり前の事を言っている様で、一言でしか答えられなかった。

「それじゃあ早速、目的へと向かうとするか。各々、自分の荷物は持っていてくれよ。そして、秋の周辺に寄ってくれ、広範囲の物質移動は負担が大きすぎるからな」

春夏冬先輩の言葉を合図に、各自荷物を手に取り春夏冬先輩の幻影へと近づいた。近くで見る分、怖さは増している。が、三縁ちゃんは何故か、興奮しているようだった。

「綴さん、触っても良いんですかね……?」

「え、いや……止めといた方がいいんじゃない……かな?」

――触れたがるなんて、三縁ちゃん。君は勇者だ。

「よーし、準備完了だな。――なら、秋……頼んだぞ」

「……分かった」

不気味は雰囲気の幻影は、コクリと頷くと地面に大きな円形の影を伸ばした。その影はひんやりとしていて、底なしの沼に呑みこまれていくような、例えようのない違和感と、それを平然と受け入れている自分が気持ち悪く、吐き気を一瞬感じたその時には、先ほどまで見ていた風景はそこには無かった。


最後まで読んでいただきありがとうございます。


執筆の方には力を入れていきたいと思っておりますが、

なかなか、書いていくペースが落ちていくと思います、、、


少しずつですが、気合を入れて行こうと思っています!!


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