――自己紹介。個性的、なんで(後)
二十五話目(後編)を更新しました!!
いつも読んでくださっている方、ありがとうございます
それではお楽しみください!
「えっと私は、風紀委員長をやらせてもらっている『春夏冬 梓』だ。 そこの偉そうに司会役をやっている総括委員長とは違って私には幻影がいる。『秋』というが、もし召喚する機会があったらその時に紹介しよう。 私の幻影は少し特殊でな、召喚するときは何かの始まりだ。要するに、紹介する時が来ない方が、君たちにとっても都合のいい事なのかも知れない。そうゆう事で、二泊三日の合宿、仲良くさせてくれ」
「――校内を下着姿で歩き回ったと言う、少し変わった性癖の持ち主だが、その変態女とは仲良くしてあげてくれ、頼んだ」
「……お前、殺されたいのか……?」
「――はい、次。幻影倫理取締委員長の代理できた三人、自己紹介」
この流れで、順番が回っていた最悪の状況に動じることなく、東雲がいち早く口を開いた。
「はい、御子柴委員長の代理で合宿に参加することになりました、『東雲 天音』と申します。 まだ、一年という事で、先輩たちと一緒に合宿をするという事には少し緊張していますが、精一杯頑張りますので、よろしくお願いします」
――なんとも、東雲らしい挨拶。 この流れで、上手くいけば――
「あ、俺。御子柴先輩の代理で来ました『城島 糸遊』って言います。えっと、幻影はいるんすけど、まあ、変態女……じゃなくて、春夏冬先輩と同じように、紹介する機会がない方が、楽しい二泊三日を過ごすことが出来ると思うんで、よろしくっす」
――おいおいおいおいおい‼ 詰んだ、俺は詰んだ。
「……貴様ら……」
「ははは、なかなか面白いな金髪のお前。 ――ぜひとも、仲良くしたい、ははは」
「――あ、あの……いいですか、自己紹介?」
今にも、幻影を召喚してはならない二人が召喚しそうな雰囲気の中、満足そうに笑っている吉良先輩に恐る恐る、聞くと、
「ああ、お前は『十七夜 綴』だろ? 自己紹介はしなくていい。ここにいる奴ら、ほとんどお前の事を知っているからな。 ――なんつっても、レア度三の幻影を召喚したとか、なんとか。それなら、お前の幻影も紹介する機会がない方が、楽しく過ごせられるのかもな」
「……ああ、はい」
――これはこれで、いいのか?
これからの合宿の為に自己紹介をし合うと言う中で、自己紹介をしなくていいと言われたのは、人生初めての事で、俺の戸惑いは解消されることなく、自己紹介は順を追う。
「はい、次は処罰委員会の二人、よろしく」
「……やっと、僕の番が来たよぉ。 このまんまだったら、僕に自己紹介させてくれないのかと思ってさ――」
「じゃあ、しない方向で――」
「えっと‼ ごほん、えっと、僕は処罰委員長をやらせてもらっている『村雨 京弥』って言います。 見て分かるよう、キラリクとは仲が良くて、処罰委員会なんてだけで嫌われるような役職なんだけど、その長をやっているってことで、みんなから距離を置かれてねぇ、そんな中、隔てなく話しかけてくれたのが、キラリクなんだ。 キラリクはこんな奴だけど、実は友達思いの良い奴でね、ぜひ、僕と共にキラリクとも仲良くしてくれたら嬉しいよ。 あ、幻影はいるんだけど、うーん、僕の幻影は人見知りだからねぇ、合宿中に挨拶させられたら良いなって感じでね。――じゃあ、次は、副委員長よろしくっ」
「はい、どうもみなさん。 処罰委員会副委員長をしている『二神 瑠衣』って、言います。仲良くできたら嬉しいなって思っていますので、みなさん、よろしくねっ?」
――か、可愛い。 ……じゃなくて、マジですか先輩っ‼
なんて言葉が出てしまいそうになった。まさか、二神先輩が処罰委員会副委員長をやっていたなんて。いや、そう言えば、お洒落なカフェに連れて行ってもらった時に、なにか委員会に入っている的な答えを言いそびれた記憶があるような。
「はい、それじゃあ最後に、小百合の妹、よろしく」
「は、はひっ‼ え、えっと……あ、あの、お姉ちゃんから、良い経験になるからと、推されて……さ、参加することになりました。えっと、『朽葉 三縁』って、言います。 よ、よ、よろしくお、お願いします‼」
「そうだな、一人だけ中学生というのも、緊張するだろう。 ――十七夜、お前が小百合の妹のお世話係だ。 いいな?」
「あ、はい。 ――いやいやいやいや‼ え、な、何でですか⁉ そんないきなり――」
「仕方ないだろ、小百合が十七夜にお願いしてくれって言っていたんだから。 それともなんだ、俺に文句があるのか?」
いきなりの事で、俺の表情はころころと変わる。
驚きから恐怖へ、不安からへ恐怖。――結果、恐怖。
「な、無いですけど。 や、やっぱり三縁ちゃんは女の子なんで、男の俺より……」
三縁ちゃんだって、そうだろう。 世話係が異性で、加えて年上だなんて、緊張をさらに緊張させるものではないのか。それに、不安だろう。 なぜなら、俺は変態って叫ばれた程の――
「わ、私は……大丈夫です」
「ほら、やっぱり俺なんか――って、え?」
ここで、恐怖から再び驚きに変わった。
「あ、あの、――編ちゃんが‼ い、いるんで……」
「という事だ。 十七夜、文句は無いな?」
「――はい」
――文句がないという言うより、文句が言えない。
世話係が決まった所で、自己紹介をした結果なのか、互いにあった不信感は次第に薄れ、各々が会話する少しは楽しい会議と、昼休みに席をくっつけて、駄弁るような具合にはなり、個性あふれるこのメンバーで、これから迎える三日間を何事もないように過ごしていけるのか、
苦笑いと共に、俺は無理だと、そう思った。
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