――死。それを思わせる言葉を吐いた幻影は、何もかも燃やし尽くしそうなほどの赤髪で。(前)
お付き合いいただいている方、本当にありがとうございます!
4話にあたる話を更新しました。
いつもは少し文字数が多いので前編と後編に分けて更新することにしました。
その点で意見などありましたら、コメント下さい。
いつも感謝しています。この話もよろしくお願いします!
「ねえ、綴。ほんとに?」
「あぁ、本当だ。真実だ。嘘でも虚偽でもない。ほら、触ってみろ。ちゃんと触れるから」
「―――あ、ほんとだ。髪なんか私よりサラサラしてる……羨ましい」
「おい、あんま髪は触るなよ? ツインテールが解けたら力が溢れ出るっておじいちゃんが言ってたから」
「あ、そうだったわね……危ない危ない。でも、信じられないわよ。なんで綴の幻影がこんなにも―――」
俺と七夕里に挟まれて歩いている少女。オレンジ色の夕日に照らされて映る赤い髪は、何もかもを燃えつくす炎のように見えた。
「――こんなにも可愛いのよ」
「……俺が知りたいよ。―――あ、何か飲むか、編?」
「うん! えっとね……これがいい」
「お、編はセンスがいいな、これを選ぶとはさすが俺の幻影。――ほら、ポカ・コーラ。あ、七夕里もなにか飲むか? 奢るぞ?」
「え、ほんと? じゃあ、私は……これ!」
「うわ……七夕里もそれ好きなのか……気持ちわる」
「き、気持ち悪いとはなによ! 見てみなさいよこの、アライグマ‼ 可愛いじゃない?」
「あ、それ、アライグマなんだ……なお気持ちわる」
それどんな味なんだ? なによ、興味があるんじゃない? えっと、プリンのカラメル部分と醤油とスイカが混ざったような味。
七夕里も一般人とは舌の構造が違うらしい。
「それにしても、本当に可愛いわね……お人形さんみたい。――編ちゃん? 編ちゃんはいくつなのかな?」
迷子の子供に話しかけるように七夕里は編に声を掛けた。
「いくつなの?」この質問には俺も気になる。
大体、こうゆうパターンのやつだと、見た目によらず「二千歳」とか言いそうなのだが、編の口からは俺が想像していたことをはるかに上回る答えが出た。
「ねえ、つづり。このおばあちゃん誰なの?」
――死。なぜか俺は死を覚悟した。編の口から流暢に出た日本語には死を覚悟させるような言葉を含んでいた。
一体その言葉とはなんなのか―――――。
その答えは、今、七夕里がブツブツと唱えている。
「おばあちゃん……おばあちゃん……おばあちゃん……」
「お・・・落ち着け! ―――七夕里? おい、七夕里?」
プシューと頭をガクッと落とした七夕里は世界の終わりを見たような声で、
「そうよね・・・編ちゃんからみたら・・・私なんてもうおばあちゃんだよね……あはは……」
壊れた。
「おい、編。―――おばあちゃんは酷いだろ? せめてだな、おばさんぐら―――」
「あ?」
「お姉さんぐらいが、ベストだなうん。お姉さん。そう、七夕里お姉さんって呼ぼうか」
「―――なゆりお姉さん。長いよこれ。うーん、なゆさんがいい」
「おお、なゆさんか。―――いいんじゃないか? なあ、どうだ七夕里」
「……もう、おばあちゃん。おばちゃん以外なら何でもいいわよ……」
「――と、七夕里から許可も下りた事だし、編。今日から七夕里の事は「なゆさん」って呼ぶんだぞ?」
右腕をあげて「はーい」と言う編の姿は、無邪気な子供のようで。「二千歳」じゃないのか?
「そうだ、編―――結局、編はいくつなんだ?」
「えっとね……人間と同じ年の数え方をすると「十四歳」で、幻影の数え方だと「二歳」だよ? でもね、知識的には「二千歳」かな」
―――整理しよう。
人間の世界では「十四歳」
幻影の世界では「二歳」
知識的には「二千歳」
―――ということは、うん。かなりませたガキということになる。
「そうなのか―――それじゃあ、ここは人間の世界だから「十四歳」って事でいきましょう」
「はーい」
またも、右腕をあげて返事をする。―――可愛い。
「―――って、七夕里、帰るのか?」
「……うん。家こっちだから……それじゃあね……綴に……編ちゃん」
「気を付けて帰れよー。じゃあな」
「ばいばーい、なゆさーん」
俺と編は七夕里にさよならをして別れた。ここからさらに歩いたところに俺と月が二人で暮らしている家がある。
「―――でも、編って、あのおじいちゃんが言ってたように、レア度が高いんだろ?」
「手前、思うんだけど……その人間が決めたレア度という基準が分からないよ。確かに、手前のように人間の姿をして人間の言葉が喋れる、そして幻影としての能力も高い幻影は周りには少なかったけど……あとはそんなに変わらないよ?」
「いや、多分――――――編が言った、その三つがレアの基準なんだと思う。だから、あのおじいちゃんがくれた特殊な髪ゴムでツインテールにして髪を縛っているんだよ。そうしないと力がどうとか言ってたし、まあ、でもなんでツインテールなのかは分からないけど」
―――けど、似合っているからおじいちゃんナイス。
「ふーん、手前じゃ分かんないね。……はい、ごみ」
「―――あ、編もそうゆう系?」
しかし、ここは自販機があった場所ではなく、ここの通りには自販機の横にあるゴミ箱は見渡す限り付近にはない。
どこか既視感を感じ、そして空っぽになったポカ・コーラの缶を持たなくてはならない。
そう考えると幻影が出来たというか、もう一人、妹が出来たような。
「――あ、家に帰ると妹がいるんだけど、「月」って言うから仲良くしてやってくれ―――歳は月の方が編より一個うえかな。知識的にも月は「十五歳」だから変な事は吹き込まないでくれよ?」
「―――月」
「いや、その発音だと地球の衛星の方になっちゃうから注意して―――」
「……違う。見て、月」
綺麗な指で示す先には、薄っすらと姿を現している地球の衛星の方の月があった。
「――――好きなのか、月」
「うん……綺麗だから」
「……そうか」
隣で月を眺める編の姿はどこか寂しげで、哀愁漂う光景で、
「ねえ、つづり」
「ん、なんだ?」
「―――なんでもない」
「……俺らはカップルか」
「え、違うの?」
「――え、そうなの?」
ちょっとおかしな妹がもう一人出来た。―――――そんな気分だった。
読んでくださって、ありがとうございます。
日々日々に増えていく、PVに嬉しさが増す一方です。
高校に通いながら執筆しているので、上手く書けているか、更新できているか、
未熟な点などありますが、そんな僕の物語を読んでくださる方がいると思うと、すごく頑張れます。
これからも、頑張るので、応援の程よろしくお願いします!