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読まれる日常と、読む非日常。  作者: 金木犀
弐:これから始まりを告げる為に幕が上がる。
26/46

――女子生徒。クールビズには、少し早い。(前)

十六話目(前編)を更新しました!!


こちらは雷もなり、雨にうたれる毎日です・・・


それではお楽しみください!

――梅雨入り。

支度をしている朝の時間に、テレビではそう告げていた。

どこか、気持ちが上がらない。

鉛色の空は、いつまで続くのだろうか。

もしかして、このまま止むことがない雨が降り続くのではないか。

そんな空模様を昼休みの教室で、今日の昼食であるサンドウィッチを食べながら、主人公席で眺めていると、ガラガラっと騒がしく開いた教室の扉からキュキュっと足を鳴らしながら、俺の目の前に黒髪パッツンが顔を覗かせた。

「――ん? どうした、そんなに息を切らして」

東雲は、はぁはぁと。息を切らしている姿も可愛い。

「あ、あのですね……はぁ、はぁ、ちょっと来てもらえますか」

「え、どこへ?」

このまま校内を飛び出して、俺たちの事なんか誰も知らない土地へ一緒に駆け落ちでも――

「え、影倫の仕事です!」

「分かった」

浅はかな妄想は破棄し、席を立ちながら手に持っていたサンドウィッチを急いで飲み込み、案内されるがままに、教室を出た。

どんな仕事なんだ? はい、生徒が暴れているという事で。 どんな具合に? いえ、私も分からないんです。 どうゆうこと? 急に委員長から向かえと言われたので。 あぁ、ね。

そんなやり取りで、早足で目的地に向かうと数人の生徒が一人の生徒を囲んでいた。

「幻影倫理取締委員会です! どうしたんですか!」

早速、東雲は腕に腕章をはめながら、その輪に入っていった。

遅れをとらないように準備していた腕章を腕にはめ、同じく輪の中へと入った。

「おぉ、なんと。次は影倫さんまで登場ですか。いやぁ~、迷惑かけてるね~俺」

そう言う男子生徒を囲んでいたのは、「風紀」「処罰」とプリントされている腕章を付けた、生徒を取り締まる委員会の生徒ばかりだった。

「黙りなさい‼ 入学早々に問題ばかり起こして、迷惑だと自覚しているなら、少しは自嘲しなさい‼」

「いや~綺麗な先輩。そんなに声を張り上げるなんてその方が迷惑だと自覚した方が良いと思いますよ?」

「なっ! この、生意気なガキが……」

「ガキだなんてぇ~ 俺と先輩は二つしか歳が変わらないだけじゃないですか……先輩も十分ガキです。よ?」

「……殺す。殺してやるぅ‼」

「ちょっと! 委員長、落ち着いてください‼ ちょっと、誰か‼」

委員長と呼ばれている女の先輩は、同じ委員会と思われる後輩に抑えられていた。

「離せ‼ 私はこいつを殺さんと気がすまん‼」

「殺すだなんて、ほんと物騒だなぁ。まぁでも、その威勢がないと、委員長なんて務まりませんよね~。今年初で風紀委員長が女子生徒ってだけでも凄いのに、その威勢さから付いたあだ名が『風紀の四季』。ね? そうですよね、春夏冬先輩っ」

「山田ぁ‼ 離せぇ! 私はこいつを……こいつを……」

抑えられている風紀委員長の影からゆっくりと、ゆっくりと黒い光と影自体が全方向へ、水面波の様に不気味に廊下を真っ黒に染めた。

「ちょっと、先輩‼ ここじゃ、ヤバいですって‼ ほ、ほら‼ 影倫だって来ているんですから‼」

山田と、そう呼ばれていた風紀委員長が男に殴りかかるのを取り押さえるので精一杯な男子生徒は俺らの方を確認して、必死に抗議した。が、

「そんな事、知らん‼ 責任は私が全部取る‼ だから……だから……」

風紀委員長は、一瞬落ち着いたように小さく息を吸い、その息を吐いたかと思えば、キリッと視線は男に向けられ、ニヤッと笑い、

「――出てこい、秋‼」

そう叫んだ。

「ぼ、ぼくは、止めましたからね⁉」

と、山田は逃げた。

「お、春夏冬先輩の幻影が見れるだなんて、俺もツイてるなぁ‼」

男は興奮していたが、その反対に男以外は――

「な、なんだあれは……」

俺もその一人で、目の前で召喚された風紀委員長の幻影の姿に血の気が引いた。

威勢よく飛び込んだ東雲も、その幻影の姿に凍り付いていた。

怒り狂った風紀委員長から召喚されたのは、胸位まである長い黒髪、清潔感の無いその黒髪は幻影の表情を隠し、真っ黒のドレスが不気味さを強調していた。

それだけではない。

見えたかと思った幻影の表情は、白い包帯で覆われ、確認できるのはわずか、右目と口元だけ。

瞳は濁っていて、血色の悪い唇は、白い包帯でさらに際立っていた。

「どう、見える、秋? 目の前にいる男があなたの餌よ。不味いと思うけど、食べて?」

「……」

秋と呼ばれている幻影は、言葉を発しなかった。

いや、返事なんか決まっていたのだろう。

――召喚されたその時から

血色の悪い唇が少し歪んだ、その時。――男の右腕が落ちた。

その状況を目の前で見ていた俺は、何が起こったのか分からなかった。

衝撃過ぎて。何も考えることが出来なかった。

男の腕は、ひらひらと、ゆっくりと――


最後まで読んでいただきありがとうございます。


最近は、評価をくださる方、ブクマの登録をしてくださる方、

増えてきて、嬉しく思っております。

ぜひ、評価、ブクマの登録、感想・アドバイス、

よろしくお願いします!!


次話は七月十日に更新予定ですので

そちらの方もよろしくお願いします!!

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