――絶世独立。先輩が言う事は、一理ある。(後)
十四話目(後編)を更新しました!
いつも読んでくださっている方、感謝感激です!
それでは、楽しみください!
そんな話をしていると、歩いている先から強い視線を感じた。言ってもさっきから視線は浴びているのだが、それとはまた違った強い視線が。
そしてその視線は、こちらに近づいてきて、俺たちの目の前で止まった。
「こんにちは、綴君」
「……え」
――誰?
綺麗な脚をこれ見よがしに強調している短いショートパンツ、スタイルの良い強い視線の主は、「あれ?」っと首を傾げた。
「綴君。私の事、もしかして忘れちゃったの?」
「え、あの、人違い――」
いや、俺の事を『綴君』と呼んでいるからには、俺を『十七夜 綴』と認識している人であるということで――
「すいません、忘れちゃった……ぽいです」
ここは正直に言うのが、この状況を拗らせることなく、解決できる方法で――
「ええ、あんなことまでしておいて……」
「は、はい⁉」
「はぁ?」
裏返る俺の声の後に、編の低い声が鳴った。正直に言うと状況が拗れるという非常事態が起きた。
「いやいや、な、何のことですか⁉」
「ちょっと、つづり! どういう事⁉」
「い、いや、俺は、本当に知らないんだ!」
そんな俺と編のやり取りを、面白がるように眺めているこの状況を作った本人は一言、
「――うっそ」
と、笑いながら言った。
その一言で止まった俺と編は、話の続きを聞いた。
「ごめん、ごめん。いやさ、綴君と編ちゃんを見かけたから、ちょっといたずらをしたくなってしまって。本当に、ごめんね?」
可愛く両手を合わせて詫びを入れる姿に俺の記憶はそれが誰なのか、なんとか引き出すことが出来た。が、それと同時に、一驚した。
「に、二神先輩ですか⁉」
「そうそう、僕だよ。――驚いた?」
二神先輩は俺の驚きを知らぬよう笑いながら言う。
「いや、驚いたも何も――どうして、二神先輩。女性の格好なんですか⁉」
男子の制服を着ていても、女性だと錯覚してしまう程の容姿と声質なのに、それに加えて、女性の格好をしているなら、それはもう、どの角度から見ても、裸ではない限り女性にしか見えない。
何を食べて、何を学んで、何に気を付けていれば、そんな美しい女性になれるのか。本家である女子たちでも、二神先輩に問いたいぐらいだろう。
そんな二神先輩は、周りの目を確かめ、少し小声で、
「こっちの姿の方が、何かと便利なんだよねっ」
右目をパチリとウインクさせた。
――可愛いっ。
なんてことを不意にも思ってしまう。
しかし、相手は男子であって先輩で。そんな事は口に出しては言えなかった。
「何かと……っすか」
まあ、確かに二神先輩がいう事は一理ある。
『男性より女性の方が何かと便利』こう言えるのは、日頃の生活から生じる男女の差だと思う。
女性専用車両があり、男性専用車両がない。
レディースデーがあり、メンズデーがあるところが少ない。
女性が二人で遊んでいると仲が良いんだなと微笑まれ、男性が二人で遊んでいるとなんだか変に見られる傾向がある。 ――など。
でも、これはあくまでも俺、一個人の見解であって、二神先輩は何をどう女性の姿でいる事に、便利さを感じているのかは分からない事なのだが、
「女性専用車両に乗れるんだよ? 最高じゃない?」
と言う、二神先輩は見た目によらず結構、変な人なのかもしれない。
「――そ、そうですか」
隣にいる編も呆れたような顔をしていた。
「まあ、綴君! なんだか、編ちゃんに引かれているような気がするんだけど……そ、それはこの場で水に流すとして。ここで出くわしたのも、何かの縁だよ。ここの近くにお洒落なカフェがあるんだ、コーヒーぐらい僕にご馳走させてくれないか? そうそう、幻影の話も含めてさ」
――時刻は昼過ぎ。
服屋を出た時、月に『起きているのか?』と送ったメールに返信は未だに帰ってきていない。
それに幻影について詳しく教えてくれるという事なら、是非とも勉強しておきたい。これから、編と生命を共有し、生きていくには二神先輩が言う事、それは役立つに違いない。
あまり乗る気ではない編の手を引いて俺らは、二神先輩が言うお洒落なカフェへと向かった。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
だんだんと話数増えてきて、『ちゃんと連載しているんだな』という気になります。
それは僕の小説を読んでくださる方々がいるからこそ、そう思えるという事は
身をもって感じております。
『目指せ!総合評価三桁!』が今のところの僕の目指す先です。
ブクマの登録、評価、読んでいただけたら是非ともしてもらいたいです。
もっとたくさんの読者様に読んでもらいたい。
感想・アドバイス、もっと執筆の質を向上させたい。
常、日頃思っている事です。
これからも、お付き合いいただけたら幸いです!!
次話は七月六日に更新する予定ですので、
そちらのほうもよろしくお願いします。




