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読まれる日常と、読む非日常。  作者: 金木犀
弐:これから始まりを告げる為に幕が上がる。
22/46

――自画自賛。少年らしい、少女の心。(後)

すいません、延期の更新となりました!


それでは十三話目(後編)をお楽しみください。

自覚はあるようだ。

確かに小百合先輩が言うように、敬語を使うような権威は先輩から感じられない。

しかし、敬語を使わないのもそれはそれで気が引けてしまう。

だが、小百合先輩が『先輩』として言うのならば『敬語』を使うのを止めよう。

「――じゃあ、小百合先輩。 プレゼントっていう件は無しにしないか?」

「いいや、無駄だ! 一回決めた事を変えるのは私のモットーに反する! だから、ここは人助けのつもりで、一つ宜しく頼む」

「お姉ちゃんが今、自分で言ったように、一回決めた事にはなかなかブレませんから……諦めた方が良いかと……」

「三緑の言うとおりだ! ――さぁ、綴くん!」

小百合先輩は俺に手を差し出した。

――握れというのだろうか。

ニコニコとしている小百合先輩は、分け隔てなくこうやって交友関係を広げていったのだろう。

簡単に言うなら――コミュ力の高さ。

半端ない人だ。

「――お言葉に甘えようか、編」

「うんっ」

編はコクリと頷き、俺は差し出された手を握った。

小百合先輩の手は小さく、柔らかい。

同性の先輩と話している感覚に陥る時があったが、それでも体はちゃんと異性の先輩だと主張しているようなぐらいだった。

「そうと決まれば……」

取り引きが成立した今、小百合先輩は何故か、散らかっているこの部屋にまた、一人分ぐらいのスペースを確保した。

「何を――」

そう聞こうとした時、スペース確保の手伝いをしていた三緑ちゃんが慣れたように声だけをこちらへ向け答えた。

「こんなお姉ちゃんでも幻影が召喚出来るんですよ」

――姉としての権威もないのか小百合先輩。

いや、そうじゃない。

「いつもありがとう、三緑っ」

「ううん、いいの」

小百合先輩は、こうゆう人間なんだ。

権威が無いようで、慕われている。

どうにか憎む事が出来ない性格の持ち主なのだろう、小百合先輩という人種は。

「さっ! 準備が整ったぜ!」

パンパンッと手を叩く小百合先輩。

その横では栞のあるページを開いて三緑ちゃんの方も準備万端らしい。

「それじゃあ、私の幻影を披露させてあげましょう! 」

その言葉を合図に、追加で一人分のスペースを確保した場所が、眩い白光を放ち始めた。

「久々のお仕事ですよー! 一発、かましてあげましょう! ――さぁ、百合! レッツ、カモンッ!」

テンション高く言い放った言葉と同時に、白光の中から薄っすらと影が浮かび上がる。次第に白光は消えていき、正体を現したのは、

「やぁ、久しぶり! 元気にしてたか? ――綴君! 編ちゃん! 紹介しよう! こちらが私の幻影の『百合』だっ! ――仲良くしてやってくれ」

頭の天辺は赤く、顔から首周りまで黒い、胴の方は汚れもない真っ白で、尾は黒い。

スラットした長い二本足に、スリムな首。

凛と立っているその姿からは、小百合先輩の幻影とは思えないほど、物静かだった。

「うわぁ、鶴だ!」

隣では編が目を丸くして眺めている。

「お? 編ちゃん、鶴が好きかな? ――でも、残念だなぁ、百合は女の子だっ」

――いや、そうゆう事じゃないだろ。

「――女の子か」

――そうゆう事なの⁉

「まぁ、それはさて置いて。 ――綴君は、鶴の恩返しって昔話を知ってるかい?」

「助けた鶴が美人な女性に化けて恩返しに来るっていう、実際に起こったらホラーな話でしょう? 」

「はっはっはっ! ――まぁその通りだ。 そこまで知っているのなら話は早いし、いちいち説明しなくてもいいなっ! それじゃあ――」

小百合先輩は三緑ちゃんからカタログを受け取り、その開いたページを幻影『百合』へと見せた。

「これを幻影用で織ってくれ」

簡易な一言に百合はコクリと頷き、三緑ちゃんはこの部屋にあるもう一つの扉を開けた。

「よろしく頼んだぞ」

百合はその部屋へゆっくりと入っていった。

小百合先輩は扉に手を掛けると、

「分かっているとは思うが――」

ニコッと笑い。

「覗いちゃだめだぞ?」

ガチャン。と重々しい扉を閉めた。


最後まで読んでいただきありがとうございます。


延期の理由は

思っていたより、期末の範囲が広くて、高校三年の就職にかかわる大切なテストだという事で、焦りが出てきたため勉強をしていました;;


勝手な理由で申し訳ないです!


次話は七月二日に更新する予定です!

是非ともお付き合いください。


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